クラファンで一躍有名な「HONBIKE」チェーンレス電動アシスト自転車の実力は?【レビュー】

クラウドファンディングサービスのMakuake(マクアケ)で、史上最高額の6億円超えを達成したことで知られているのが電動アシスト自転車「HONBIKE」だ。

HONBIKEは世界初の前後輪ワンアームチェーンレスを売りにした電動アシスト自転車。特徴的なデザインはグッドデザイン賞2020でベスト100に選ばれていることで知られている。また、PRも大々的に力を入れており、第32回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2021で初披露し、テレビCMではデヴィ夫人を起用。2022年4月2日、3日に行われたサイクルモード2022ではサイクルイベント初となる「HONBIKEと水着モデルによるランウェイショー」が行われた。

様々なPRで有名だが、HONBIKEの実際の性能を聞くことは少ない。今回はサイクルモード2022でHONBIKEに試乗することができたので紹介しよう。

デザインやハイテク機能は世界的に見ると平凡

HONBIKEの特徴で先進的と言えるのがデザインだろう。流線型のハンドルや片持ち式のフロントフォークやスイングアーム、オートバイを連想させるキャストホイールを見ると先進的に見える。ただ、全体的な造形は一般的な折りたたみ自転車で平凡だ。デザインのためのデザインを見事に昇華させた「ビアンキ E-SUV」や、世界トップのモーター企業で有名な日本電産のモーターを搭載した「STREEK ACTIVE CARGO TRIKE」などを知っていると、先進的には感じにくい。

STREEK ACTIVE CARGO TRIKE

また、HONBIKEは採用されている部品の殆どが専用部品を採用している。これによりまとまったデザインを実現したが、部品交換が非常に難しくなっている。

ハイテク機能に関しては、盗難防止ロック機能、MAP走行ログシステム、所要時間・走行距離・最高速度・平均速度などの走行分析システムを搭載している。一般ユーザーから見るとハイテクに見えるが、これも世界的に見ると平凡だ。

筆者がハイテクだと言えるシステムは、T-Mobile社製の統合eSIMカードを使用しアプリと接続を行い、フロントとリアには1080p HDカメラを装備し、定期的なソフトウェアアップデートを行う「Greyp G6」(記事)や、デジタルバックミラーとなるリアカメラや、ナビゲーション、ビデオ録画、位置情報サービスなどの機能を採用した、ポルシェの「サイクラー」(記事)だろう。

筆者が所有している、Specialized Turbo Vado SLは、スマートフォンアプリを使うことでアシストレベルの調整や、今まで走行した場所、電池の消耗などの履歴、モーターやバッテリーの異常の判断や診断を行うことができる。一般ユーザーから見ればハイテクに思えるが、このレベルはE-Bikeの世界ではハイテクレベルは平均レベルだ。

デザインやハイテクは基本的だが、実売20万程度という世界的なE-Bike市場から見ると低価格なので致し方ないだろう。

走行性能は論外

HONBIKEの評判は、電動アシスト自転車に乗ったことが無い人には評判が高い。しかし、多種多様なE-Bikeを乗っている人たちの評価は全く違う。

某E-Bikeブランド社員は「シャフトドライブは人力時代からギア欠けなどのトラブルが続出し、殆どの会社が撤退した。シャフトドライブを採用しないのは理由がある」と語ったり、実際に試乗した業界関係者からは話にならないなどの話を聞く。また、E-Bikeのエバンジェリストで有名なe-naya.comでは”ゴミ”と一刀両断している。

2022 サイクルモードライド大阪(e-naya.com) http://e-naya.com/bicycle/cyclemode/cyclemode2022.html

筆者は、Specialized Turbo Vado SLを所有(記事)し、Bosch Performance Line CX(記事)、YAMAHA PW-X2(記事)、欧州仕様Brose Drive S(記事)、欧州仕様BAFANG M500(記事)、日本未発売のMotinova「Volans」(記事)、世界未発売の日本電産「Nidec 41R」(記事)を搭載した様々なE-Bikeに乗っている。シクロライダーの読者も、E-Bikeを複数台所有し、80万円クラスのE-Bikeを持っている人もいるだろう。

HONBIKEのインプレを一言で表すと、非常に低水準な電動アシスト自転車だ。小径自転車ならホイールベースを長くするなど、安定性を重視した設計にするはずが、ホイールベースが短く、サドル高が低く後輪荷重過大で、前輪に荷重がかかりにくいため、まっすぐ走りにくくふらつきやすい。サドルも、自動車のシートみたいなカタチにしたため、漕いでいる時にお尻が落ち着かないため、不安定さを助長させる。

また、乗り心地も悪い。e-naya.comでは台車に乗ってるような感覚で、ゴリゴリの体感と語っているが、これは、ママチャリ姿勢によりお尻に荷重がかかるのに、薄っぺらく小さいサドルにより衝撃が伝えやすく、キャストホイールが振動を吸収しないのもあるだろう。オートバイではキャストホイールを採用しても問題ないのはサスペンションで衝撃を吸収しているからだが自転車では問題になる。

モーターのアシストは非常に薄く、アシストを切った時の走行感覚は重い。今まで様々なE-Bikeに試乗したが、こんなアシストは乗ったことがない。オートバイ風デザインのカッコ重視の電動アシスト自転車「BRONX BUGGY」のほうがよく走るし、BRONX BUGGYに乗ったほうが楽しい。

BRONX BUGGY

電動アシスト自転車のモーターのパワーは、一般的にクランクに装着するミッドドライブがパワフルと言われている。これは、モーター内部に減速ギアを搭載できるスペースを大きく取ることができるため、パワーとトルクを出せるのだ。一方で、車軸に搭載するインホイールモーターはモーター内部に減速ギアを搭載できるスペースが少ないため、パワーとトルクが出しにくい。

ミッドドライブの例(BAFANG M200) 出典:https://bafang-e.com/jp/%E8%A3%BD%E5%93%81/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/m200/

HONBIKEに搭載されているモーターはフロントインホイールモーターで、定格出力200W、最大トルクは不明。モーターサイズも小さいため、パワーに関しては不安に感じていたが、このアシスト力の薄さは様々なE-Bikeに乗っていた筆者ですらあまりのパワーの無さに驚愕してしまった。変速機も無いためどうにもできない。

BAFANG M445 出典:https://bafang-e.com/jp/%E8%A3%BD%E5%93%81/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/m445/

因みにシャフトドライブでも変速機を装着することはできる。BAFANG M445はシャフトドライブ用ミッドドライブシステムで定格出力250W、最大トルク50Nm。BAFANG M445を搭載した、BEIXO E-Slim(URL)は、シマノNEXUS 内装7段変速を搭載しているので、設計を変更すれば変速機は搭載できるだろう。

HONBIKEの価格は19万9900円(税込、以下同)。PRに非常に力を入れているHONBIKEだが、肝心の商品の性能がこれだと未来はお先真っ暗だ。ともかくカッコありきのカタチで性能を犠牲にしていると感じた。HONBIKEを購入するのなら、普通に大手国産電動アシスト自転車を買ったほうがいい。

HONBIKE関係者は取り敢えず、TREK Railシリーズ(但しBosch Kioxを搭載)、Specialized Turbo Levo SL、YAMAHA YPJ-MT Pro、FANTIC XTF1.5シリーズの”日本国内E-MTBビッグ4セット”を買って、E-Bikeとはどういう物か知るべきだろう(記事)。この4台セットを買えば、筆者の言っている事がすぐにわかるだろう。価格は、TREK Rail9.7が97万6800円。Specialized Turbo Levo SL Expart Carbonが104万5000円。FANTIC XTF1.5 CARBONが81万2000円。YAMAHA YPJ-MT Proが68万2000円。4台合わせてたった351万5800円でE-Bikeの勉強ができるのでお買い得だろう。

2022年4月7日追記

Pacific MOOVE 出典 https://www.pacific-cycles.com/moove/MOOVE?lang=zh

もし、HONBIKEをマトモな設計に変更する場合、参考になるのが台湾Pacific CyclesのMOOVE(URL)だろう。片持ち式ホイールは衝撃を吸収しやすい通常のスポークホイールで、モーターは、パワーとトルクを出しやすい一般的なミッドドライブシステムを搭載。乗車姿勢はクロスバイク風のポジションで後輪荷重過大を抑えて安定性を重視している。

仮に MOOVEをベースにHONBIKE風にするのなら、シャフトドライブは廃止し、ベルトドライブ+フルチェーンケースに変更。ホイールはGIANT Revive DX(Youtube)のようにカバーを装着して先進性をアピール。折り畳みは一般的なフレームにヒンジを装着した横折れ式で、バッテリーはフレーム内蔵にする。バッテリー容量は推定252Whから300Wh。これで通常販売価格26万円ぐらいなら、PR倒れにはならなかっただろう。

文:松本健多朗

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