ミニベロE-Bike BESV PSA1をインプレ 伊豆大島を回って気づいた事をまとめる

電池とモーターのアシストで走るE-Bike(電動アシストスポーツ自転車)を詳しく知りたいのなら、イベントの試乗コースでなく実際に走るのがベストだ。それも、伊豆大島のようにアップダウンが大きい道を走るのが良いだろう。今回、ZuttoRide Sharing株式会社が運営する宅配レンタサイクルサービス「CycleTrip」(https://cycletrip.jp/ja/)の協力で、BESV PSA1とBenelli TAGETEを伊豆大島で走らせることができた。

BESV PSA1とはどういう自転車か

数あるE-Bikeの中でもデザインを重視したBESV。その中でもPSA1は、フルサスペンションを搭載したミニベロE-Bikeとして知られている。ドライブユニットはBESVオリジナルの後輪インホイールモーターを採用。ヤマハ(PW系統)やパナソニック(スポーツドライブユニット)など、有名ブランドのミッドドライブユニットと比較してマイルド感が高いアシストを採用している。

ドライブユニットはカーボンフレームを採用した上位モデル「PS1」と同じユニットだが、特性を変えている。上位モデルのPS1はアシストのかかりを強くしてパワー感を出しているのに対し、PSA1はアシストのかかりをフラットにして乗りやすくしているようだ。

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車体重量の割に取り回しが良い

重いバッテリーを搭載したE-Bikeは、車種によって押し歩きでの取り回しが異なる。BESV PSA1の重量は19.7kgと軽くないが、今回乗った限りではPSA1よりも軽いミヤタ・クルーズ(車体重量18.4kg)よりも、取り回しは良い。

理由は様々あるが、バッテリーの重量(ミヤタ・クルーズは36V/11.6Ah、PSA1は36V/10.5Ah)だけでなく、バッテリー搭載位置も関係しているだろう。一般的な大容量バッテリーを搭載したE-bikeは、車体中心からずれた位置に搭載しているのに対し、PSA1は車体中心に近い位置にある。これにより、E-Bikeの中では取り回しの良さを実現した。

街乗りメインのアップライトな乗車姿勢

PSA1の乗車姿勢は、サドルよりもハンドル位置が高いアップライトな乗車姿勢を採用した。一般的なスポーツ自転車は、高速走行を重視するため前傾姿勢で乗る自転車が多い。

PSA1のようにアップライトな姿勢の利点は、見晴らしが良く景色を楽しみながら運転できることと、首など身体に負担がかからない所だ。一方、欠点はお尻に体重がかかりやすい事。長時間運転しておしりが痛いと感じたら、スポーツ自転車用の厚めのサドルに交換するのがベストだ。

アシストはマイルド

BESV PSA1に装備されているドライブユニットはBESVオリジナル・後輪インホイールモーターとのこと。平地での発進時はふわっとした加速をする。Benelli TAGETE27.5よりはパワフルではないが、上りはきちんとアシストしてくれる。

E-Bikeを感じさせない軽快なハンドリング

BESV PSA1の一番の利点はハンドリングだろう。バッテリー搭載位置が車体中心部からずれているE-Bikeは、コーナーでは車体をねじ伏せるようにして曲がるタイプが多いのに対し、BESV PSA1は非電動アシスト自転車と同じ感覚でコーナーを曲がれる。特に下りのコーナーでは、Benelli TAGETEやMiyata Cruiseでは注意して曲がらないといけない下りコーナーを、安心して曲がれるのは大きなアピールポイントだ。

BESVはオリジナルユニットを搭載したE-Bikeをメインに販売している。大手E-Bike会社と比較すると、アシストのパワフルさは大手と並んでいない状況だ。しかし、PSA1に関してはハンドリングに関しては大手ブランドの大容量バッテリー搭載E-Bikeの先を行っている。将来的に「ハンドリング・バイ・BESV」をアピールできるかが鍵だろう。

バッテリー容量は必要十分

BESV PSA1に搭載されているバッテリーは36V/10.6Ah。最大航続距離は100kmと、一般的なサイクリングを楽しむのなら十分だが、三原山を最大アシスト力で上り→大島1周を回るのは難しい。(大島1周だけなら可能。)長距離走行やヒルクライムを多用した道を走るのなら、充電器を持っていこう。

タイヤを交換すれば乗り心地は良くなる

PSA1には前後にサスペンションを装着しているが、街乗りの段差を通過した時の乗り心地を良くするために装着された物だろう。サスペンションは柔らかく、スポーツ自転車マニアよりも、ママチャリからの乗り換えユーザーに合っている。

路面のひび等、細かい振動を伝える原因はタイヤだろう。タイヤブランドはメーカー未公表だが、恐らく耐パンク性能を意識して、頑丈で硬めのタイヤを装備していると思われる。この乗り心地が気になったら、耐パンク性能を落としてでも柔らかいタイヤを装着しよう。

ディスプレイやスイッチの設定は良い

PSA1にはハンドル中央に大型ディスプレイが装備されている。デザインは高級感があり文字も大きいため見やすい。しかし、バッテリー残量表示は数字での表示が良いだろう。アシスト関係のスイッチはデザインが良いだけでなく、普通の手袋を装着しても簡単に押せるので、ここは良い所だ。

PSA1のディスプレイが小型カラーディスプレイに(2020年3月22日追記)

PSシリーズ(PS1/PSA1/PSF1)は、従来のモノクロ大型ディスプレイから、小型カラー表示ディスプレイに変更となった。スピード、トリップメーター、平均速度、最高速度、走行可能距離、総走行距離、RPM、パワーメーター、時計、カロリーなどが表示され、インフォメーションボタンから必要なパラメーターを切り替え表示ができ、また表示するパラメーターも任意で設定が可能。パワーメーターは、BBに内蔵されたトルクセンサーで、左右ペダルの踏み込みトルクから算出している。また、カロリー計は、ペダルトルク×ペダル回転数×時間で算出する方式だ。

大手には無い独自のE-Bikeを出すことで成功したPSA1

BESV PSA1が合うユーザーは、街乗りや一般的なサイクリングをメインに行う人だ。伊豆大島ヒルクライムでスピードを出して走る人はパワフルなBenelli TAGETEがベストだ。しかし、混雑した都会を走ったり、サイクリングロード等を走るのなら、見晴らしがよく乗り心地も良いPSA1が良い。大手には無い独自のE-Bikeを出すことで成功したPSA1。後は、大手自転車ブランド並に詳細スペックを公表したり、部品サポートに関して明文化を行う等、さらなる信頼確保を行うべきだろう。

BESV PSA1のスペック

  • フレーム:アルミフレーム(リアサスペンション付き)
  • フロントフォーク:RST CAPA 20 50mmトラベル
  • 重量:19.6kg
  • ブレーキ:TEKTRO 機械式 ディスクブレーキ (エレクトリックブレーキ装備)
  • ギア(前):48T
  • ギア(後):12-28T 7段変速
  • フロントホイール:20インチ
  • リアホイール:20インチ。インホイールモーター
  • タイヤ:CST C1854 20×1.95
  • ドライブユニット:BESV インホイールモーター(最高出力、最大トルク不明)
  • アシスト方式:リアインホイールモーター
  • バッテリー:36V 10.5Ah
  • 充電時間:約4.5時間
  • アシストモード:最大3段階
  • 航続距離:90/74/60km

執筆:マツモトケンタロウ
協力:CycleTrip/ZuttoRide Sharing株式会社

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