ELECTRA Townie Go! 太陽と旅するE-Bikeの実力を検証する【レビュー】

アメリカの自転車・E-Bikeブランド「Electra」はビーチクルーザーを中心に、街乗り・サイクリング用のモデルを多数売り出している。

E-Bikeに関しても海外では様々なモデルを展開しているが、日本国内ではTownie Go! 8dのみの展開となる。

このようなビーチクルーザータイプのE-Bikeは、街乗り用でサイクリングには不向きなモデルが多い。Townie Go!に関しては、街乗り向けのE-Bikeという位置づけだが、今回、B.B.BASE内房に乗車し、サイクリングを行ってみたところ、街乗りだけではなく旅用E-Bikeとして見てもポテンシャルの高さを実感したので紹介する。

オートバイ風ながら機能性を重視したTownie Go!

両国駅(朝)

ELECTRA Townie Go!には男性向けのステップオーバータイプと、女性向けのステップスルータイプの2種類があり、今回借りたモデルはステップスルータイプとなる。

ステップオーバータイプ
ステップスルータイプ

ステップオーバータイプとステップスルータイプの違いは、トップチューブをまたぎやすい形状にしただけに見えるが、海外サイトを見るとステップスルータイプのほうがコンパクトのようだ。

日本国内公式サイトでのTownie Go!の適応身長は書いていなかったが、海外本国サイトでは、ステップオーバータイプの適応身長は160から190センチ(URL)、ステップスルータイプの適応身長は149から185センチ(URL)となる。

個人的にオススメしたいのがステップスルータイプ。またぎやすいため気軽に乗り降りができるので非常に乗りやすく、身長183センチの筆者が乗車しても苦しくない姿勢で走れるため、男性でもステップスルータイプを選んでも良いと感じた。

両国駅(朝)

Townie Go!は他ではあまり見ないデザインを採用している。フラットフットテクノロジーと呼ばれているこのデザインは、一般的な自転車の乗車スタイルであるペダルを下へ踏み込むのではなく、やや前方に漕ぐライディングポジションを採用している。

ほぼ直立した乗車姿勢で快適に走れるように様々な部分に拘っており、ハンドル高は一般的なクロスバイクよりも高い。ハンドルからサドル間の長さ(トップチューブ長)も、一般的なクロスバイクよりも遥かに長いが、これはアップライトな乗車姿勢で上半身が窮屈にならないようにするため。また、アップライトポジションだと、後輪に荷重がかかりぎみになるが、一般的なクロスバイクやマウンテンバイクよりも長くとることで後輪荷重過大を阻止している。

ペダルを支えているクランク軸をサドルの下のパイプより前に出してシート角を寝かしているのも注目だ。シート角を寝かすとやや前方に漕ぐライディングポジションになる。Townie Go!のサドルは、ママチャリよりも広くて厚いため、直立した乗車姿勢でも快適に走ることができるが、これもシート角を寝かしているためだ。一般的な自転車はペダルを下へ踏み込むため、幅が広いサドルを装着すると太ももがあたってしまいマトモに走れないが、Townie Go!のように、やや前方に漕ぐことでサドルの幅が広くても、太ももが当たらないため快適に走ることができる。

そして、フラットフットテクノロジーは、足が届くようにサドルを下げても、サドルとペダルの距離を長くとることができる。そのため、一般的なスポーツ自転車では力が入らない、サドルに座った状態で両足がかかとまで地面についている状態で快適に漕ぐことができる設計となっている。また、幅広い身長の人にも対応するのも嬉しいところだろう。

因みに、B.B.BASEは、電動アシスト自転車やE-Bikeなど、車内にあるラックに載せることができない自転車でも載せることが可能だ。

関連記事:B.B.BASEがE-Bikeの乗車を歓迎! B.B.BASEにE-Bikeを載せてサイクリングを楽しもう!

街乗りだけではなく、サイクリングも楽しめる性能を持っているTownie Go!

今回は館山駅で下車して、安房グリーンラインを走り、野島埼灯台に出た後海岸線を走り、館山駅に戻るコースを走ることにした。

最初のひとこぎで感じたことは、見晴らしが良いという事。Townie Go!は従来のスポーツ自転車よりも、アップライトな乗車姿勢を採用しているため、目線を高く取ることができる。このようなライディングポジションはスピードを出さなくても非常に気持ち良い。Townieシリーズはジャンルとしては街乗りビーチクルーザーだが、車体重量は22.5キロとE-Bikeの中ではそれほど重くないので、一般的なクロスバイクタイプのE-Bikeに近い軽快さを持っている。


安房グリーンラインは上り下りがあるアップダウンを走ることとなる。Townie Go!に搭載されているBosch Active Line Plusは定格出力250W、最大トルク50Nm。街乗りやサイクリング向けのE-Bike用ドライブユニットで、このような舗装路でのサイクリングでは必要十分の性能を持っている。

Bosch Active Line Plusは、アシスト時に発生するノイズが殆どなく静かなのが特徴で、Townie Go!のようなE-Bikeにはぴったりだ。上級モデルの定格出力250W、最大トルク85Nmを発揮するPerformance Line CXだとアシスト音が発生するが、Townie Go!には似合わないだろう。

下り坂に関しては、Townie Go!は非常に乗りやすくて初心者に優しい。通常のスポーツ自転車と比較して乗車姿勢がアップライトなので視界が良く、前傾姿勢にならないため前転の不安も少ない。ホイールベースも長いため、直進安定性が高くリラックスした状態で走行できるためだ。

大規模海底地すべり地層

安房グリーンラインを走る上でチェックしたのが「大規模海底地すべり地層」。これは、安房グリーンライン白浜トンネル北入口の路側にある地層で、海底の斜面に貯まった堆積物が地震で液状化し、斜面をすべり落ちる「海底地すべり」の地層を間近で見ることができる。この海底地滑りの地層を間近で見ることができる場所は少ないようだ。

降りてから、海岸沿いを走ることになるが、このような海岸沿いの道をゆったりと走るのは、Townie Go!の得意領域だ。アップライトな乗車姿勢は見晴しが良くて、クロスバイクタイプのE-Bikeにはない、独特の開放感を体験することができる。

特に、このような晴れた日だと、ゆったりとした速度で走ったほうが気分がよく「太陽と旅する」という雰囲気を持っていると感じた。

最初の目的地である野島崎に到着。ここには、全国に16しかない上れる灯台の1つが用意されており、明治2年に日本で2番目に点灯した野島崎灯台として知られているとのこと。また、岬先端にはラバーズ・ベンチというデートスポットもある。野島崎付近は観光地なので、ホテルや食事ができる食堂やレストランがあるので、休憩するのならここで休憩しよう。

国道410号線を館山駅方面に進んで行く。このあたりは平地や緩い上り坂が多く、時速20キロから24キロで走るのが気持ちいい。Townie Go!は、前に踏み出すような漕ぎ方を行うが、このような漕ぎ方の欠点は、ロードバイクやクロスバイクなどの本格的スポーツサイクルのように、脚を高回転で漕ぐのは快適ではないこと。

同じモーターを搭載したクロスバイクタイプのE-Bikeなら時速24キロ以上出せる場面でも、Townie Go!は時速22キロから24キロで走るのがちょうどいいと感じる。ただ、Townie Go!を購入する人は、スポーツサイクルのようなスピードは求めていないので問題ないだろう。

乗り心地は、一般的なクロスバイクタイプのE-Bikeと比較して良い。これは、ママチャリよりも幅広いサドルのおかげでお尻に圧力がかかりにくいのと、26×2インチクラスと幅広なバルーンタイヤを採用しているため、細かい段差の衝撃をいなしてくれるためだ。

 

 

太陽と旅するE-Bike「ELECTRA TOWNIE GO!」

ELECTRA Townie Go!を一言で表すと「太陽と旅するE-Bike」。アップライトな乗車姿勢は、見晴らしが良くて、広い視界のおかげで、日差しが良い日に走ると他のE-Bikeには無い高い解放感で走ることができる。

また、アップライトな乗車姿勢に合わせるようにロングホイールベース化やシート角を寝かすなど、適切な設計にしているので、無理矢理アップライト車にした改造車にある、ハンドリングの悪化などは無く、リラックスして快適に走ることができる。

Electra Townie Go!を購入する際、同じ価格帯のクロスバイクE-Bikeを購入するか気になる人もいるだろう。クロスバイクタイプのE-Bikeは、Townie Go!と比較すると前傾姿勢で走り、脚を高回転で回しても走りやすい。そのため、スポーツ走行を楽しみたいのならクロスバイクタイプのE-Bikeを選んだ方が良い。

一方で、Townie Go!は、ゆったりとした姿勢でママチャリ以上にリラックスした姿勢で快適に走れるという大きな利点がある。一般的なスポーツサイクルの乗車姿勢が好きではなく、リラックスした姿勢でサイクリングを楽しみたいのならTownie Go!が良いだろう。

夜間走行に関しては街乗り向けといったところ。ハンドルに装着されているBosch Intuviaディスプレイはバックライトが点灯し、リアフェンダーにはテールライトを装備。ヘッドライトの明るさは街灯がある街中や帰宅時の短時間走行なら問題ないが、街灯が無い場所を自動車やオートバイのような安心感で走るだけの明るさは持っていない。これは、車体価格が30万円を切っているため仕方ない所だろう。もし、ヘッドライトの明るさが気になるなら、社外品の交換をお勧めする。

Electra Townie Go!は街乗り用E-Bikeという扱いだが、筆者が房総半島を50キロほど走行した限りでは、ツーリング向けE-Bikeとしてのポテンシャルはあると感じた。直進安定性が高く、ママチャリよりもアップライトでリラックスした姿勢で走行できる車体は、長距離走行でも疲労が少なく、ママチャリよりも幅が広いサドルはお尻が痛くなりにくい。おそらくBrooksのシティサイクル向けの幅広革サドルに交換すればもっと快適だろう。泥除けやヘッドライト、テールライトも標準装備されているので、雨対策や夜間走行も一通り可能だ。

また、Bosch E-Bike Systemはバッテリーやディスプレイの拡張性が高く、バッテリー容量は最大500Whの「Bosch PowerPack500」に増量でき、ディスプレイはカラー液晶の「Bosch Kiox」に変更できる。Townie Go!は、街乗りだけでなく、クロスバイクタイプのE-Bikeには馴染めない、リラックスした乗車姿勢や乗り心地の良さ、快適性を重視したサイクリング用E-Bikeが欲しい人にお勧めだ。価格は26万1800円(税込、以下同)。

フォトギャラリー

Electra Townie Go!のスペック

  • フレーム:Alloy
  • フロントフォーク:Alloy
  • 重量:-
  • ブレーキ:機械式ディスクブレーキ
  • ギア(前):-
  • ギア(後):8段変速
  • フロントホイール:26インチ
  • リアホイール:26インチ
  • タイヤ:26インチ
  • ドライブユニット:Bosch Active Line Plus(定格出力250W、最大トルク50Nm)
  • アシスト方式:ミッドドライブ
  • バッテリー:Bosch PowerPack300 300Wh 36V 8.2Ah
  • 充電時間:約2.5時間※Bosch E-Bike System公式サイトから
  • アシストモード:4段階(ECO/TOUR/SPORT/TURBO)
  • 航続距離:(100km/65km/60km/55km)※Bosch E-Bike System公式サイトから

文 松本健多朗

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