E-Bikeで東京から新潟まで走れるか!? Specialized Vado SLで挑むE-Bikeロングライド

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サイクリングの定番の1つと言えるロングライド。大容量バッテリーを搭載したE-Bikeは、アシスト可能航続距離が150キロを超える物が沢山ある。しかし、ここで気になるのが、本当にそこまで走れるのかということだ。ロングライドには様々なのがあるが、今回は、東京から新潟までE-Bikeで走れるのか検証する。

使用する車種は筆者所有のSpecialized Turbo Vado SL4.0。軽量な車体に軽量ドライブユニット「Specialized SL1.1」を搭載することで、車体重量は15キロ台を実現。Specialized SL1.1のスペックは、定格出力240W、最大出力240W、最大トルク35Nm。バッテリーは完全内蔵式で320Whで、160Whのレンジエクステンダーを装着している。

今回使用するE-Bikeは筆者所有のモデルで、好みにカスタマイズしている。タイヤはPanaracer Gravel King SS 700×32Cを搭載し、舗装路走行を重視している。標準仕様のTurbo Vado SL 4.0は、グラベル走行を重視した「Specialized Pathfinder Sport, 700x38c」を装備している。標準装備のタイヤの場合は、抵抗が大きいため、ロングライドは不利だと判断してタイヤを交換した。

E-Bikeでどこまで走れるか実際にチャレンジ

まずは、浅草の雷門から荒川サイクリングロードまでを行く。今回は、平地を走る時はできるだけ弱いアシストをメインに使っている。これは、平地のような楽に走れる場所はアシストをできるだけ使わないで、電池の消耗を抑えたいため。また、Specialized Turbo Vado SLのような軽量E-Bikeは、平地ならアシスト無しでも走行できるが、今回はそのような事は行わない。

浅草から荒川サイクリングロードまで、あっという間に到着。SpecializedのE-Bikeは、スマートフォンアプリ「Mission Control」と接続すると、走行時のデータを見ることができる。浅草から荒川サイクリングロードまではアシストモードを一番弱いモードにしていたため、バッテリーの消費量はわずか6ワットだった。

東京23区の定番サイクリングコースの荒川サイクリングロードを北上。荒川サイクリングロードのような平坦な道は、ロードバイクやクロスバイクといった人力自転車が有利な道。車体が重いE-Bikeは不向きな場所だが、Turbo Vado SLのような軽量E-Bikeは人力自転車に近い感覚で走れるので、アシストが切れる時速24キロ以上で走ることもできる。

そこで、荒川サイクリングロードのような場所では、アシストを使わないように、できるだけ時速24キロ以上で走るようにした。

彩湖で小休止していて気になったのが天候。浅草から荒川サイクリングロードを走行していても晴れないで天候が回復しない。事前の天気予報では、一日中晴れる予報だったが、スマートフォンで当日の天候は曇り。さらに、天候は回復しないと表示されていた。

本当なら、このような天候でロングライドを行いたくないが、天候を回復するのを期待して進んでいくが、天候は一向に回復せず、それどころか小雨が降ってきた。

小雨が降る中、榎本牧場に到着。榎本牧場で有名なのが新鮮な牛乳で作ったジェラードアイスで、シンプルで甘すぎないのが特徴。当日は小雨が降っていたが、多くのサイクリストが訪れていた。

スタート地点の浅草・雷門から榎本牧場までは52キロ。荒川サイクリングロードから榎本牧場までは、ほぼ平地だったためバッテリーの消耗は僅か22ワット。ここまで電池の消耗が抑えられているのは、日本の減退式アシストが高速で走行すると、アシスト比が低いため、バッテリーの消耗が少なくなるためだ。

天候が回復するのを期待しつつ榎本牧場を出発するが、晴れる気配は全くない。荒川サイクリングロード途中から利根川サイクリングロードに行くために一般道を入るが、天候は悪くなり雨足が強くなってきた。道の駅 めぬまで休憩するが、雨が止む気配はない。普通ならここで中止するがサポートカーが付いているのと、電池残量に余裕があるため続行することにした。

スタート地点の浅草・雷門から道の駅 めぬままでは92キロ。やはり、殆ど平地だったため、バッテリーの消耗は抑えられている。

運がいいことに、利根川サイクリングロードを走行している途中で雨が。道の駅 よしおか温泉に到着したときは恐らく、このとき雨が強くなっていたら中止にしていたと思うが、どこまで走ることができるのか続行することとなった。

スタート地点の浅草・雷門から138キロ地点。スタート地点からここまでのバッテリー消費量をまとめると、僅か103Wh。Speciazlied Turbo SL用補助バッテリー「レンジエクステンダー」のバッテリー容量が160Whなので、平地のサイクリングロードだけを走るのなら、140キロ程度なら、レンジエクステンダーだけで走れるということになる。

しかし、ここから先は今までのようには行かない。利根川サイクリングロード終点からアップダウンがある峠越えをする必要がある。今までは、平地のサイクリングロードしか走らなかったので、電池の消耗は抑えられていたが、ここから先は電池の消耗が激しくなるのだ。

電池の消耗を抑える方法は、アシストモードを下げて走る、ハイモードでスピードを出して強制的にアシスト比率を低くして走行する、アシストが切れる時速24キロ以上で走行する方法がある。

E-Bikeのロングライドは、ナイトライドでも人力自転車と比較して非常に安心して走ることができる。感覚的にはオートバイのようにゆとりがあり、人力自転車のような不安感がないのが良い。

アップダウンがある峠道を走るのなら、アシストモードを下げて電池消耗を抑えて走るのが一般的だが、周りが暗い中を走ると、その考えは飛んでいってしまう。早く明かりがある場所に行きたいので、本来なら一番弱いアシストモードにして走るところを、ハイモードでスピードを出して走行するのが殆どだった。

天候も夜になっても一向に回復せず、それどころか雨粒が大きくなっていく。Turbo Vado SL 4.0に標準装備されているヘッドライト「Lezyne Ebike Hecto STVZO E65, 210Lumens, 12V」は、晴れた夜なら安心して走ることができるが、雨が降っていると乱反射で見えにくくなるのが気になるところ。三国峠近くにあるセブンイレブンみなかみ布施店で休憩。スタート地点の浅草・雷門からは180キロ。高いアシストモードを多用して峠越えを行っていたため、バッテリーの消費量は一気に増加した。浅草から道の駅 よしおか温泉まで138キロ走行し、たった103Whのバッテリー消費量で済んでいたのが、今回は峠越えアップダウン込みの僅か42キロで133Whを消費している。

ここから先は三国峠までほぼ上り坂を走ることになる。普通なら弱いアシストに設定してバッテリーの消耗量を落として走るが、雨足が強くなったため、肉体的負担や精神的負担を軽減するために、最大アシストパワーで走ることにした。

最大アシストモードを使うとバッテリーの消耗は非常に大きくなり、三国峠に着く途中で、バッテリー残量は10パーセントを切ってしまった。バッテリー残量が10パーセントを切る状態だと、どのアシストモードに入れても、アシストパワーは僅か25パーセントに非常に少ないアシストで走らないといけなくなる。

Specialized Turbo Vado SLは、E-Bikeの中では車体重量が軽いため、25パーセントの弱いアシストパワーでも上れるが、速度は時速12キロまで落ちてしまう。今まで、上り坂を時速15キロから時速20キロで走っていたため、人力自転車で時速5キロ程度の歩くスピードで非常に遅く感じる。

今までの夢のようなゆとりあるロングライドから、一気に現実に引き戻され、疲労感を感じつつ上っていくと、ついに三国トンネルに入り新潟県に入る。

群馬県と新潟県を結ぶ三国トンネルを超えたら、天候の回復を期待していたが、三国トンネルを超えて、新潟県側に入っても、雨が降り続いていたため、今回はここで終了することに。スタート地点の浅草・雷門から約200キロ地点、総時間は14時間で、実走行時間は11時間ほど。獲得標高は1800メートル台で終了となった。

僅か20キロ程度の走行で、133Whのバッテリーを消費している。バッテリーの消耗やアシストサポートレベルが、今までで一番高かったのは、アシストレベルを殆どハイモードで走行していたのもあるだろう。

E-Bikeでロングライドを行ってわかった事

ヘッドライトはハイビームが欲しい

人力自転車でナイトライドを行う場合、ヘッドライトは複数の電池式ヘッドライトを装着するのが一般的。しかしE-Bike専用ライトは、1つのライトでナイトライドに対応できる性能を持っている。

ただ、E-Bikeのナイトライドは、人力自転車でナイトライドよりも簡単にできるため、条件が厳しくなる。E-Bikeは絶対的なスピードに関しては車体重量が重いため、人力自転車よりも遅いが、上り坂が速く、精神的不安が無いため躊躇せず踏めるので、平均速度が上がるためライトの性能が重要になる。

Specialized Turbo VadoSL 4.0に搭載されているヘッドライトは、普通のサイクリングで使うには問題ないが、今回のように雨が降っている状況で、街灯が全くない峠道を日中に近い感覚で走るには明るさが足りない。E-Bikeらしいナイトライドを楽しむには、スイッチひとつで、ポジションライト、ロービーム、ハイビームを切り替えるタイプが欲しいところだ。

E-Bikeのロングライドは車体の軽さが重要

E-Bikeのロングライドで重要なのが車体重量。人力自転車でも車体重量が軽いほど、楽に走ることができるが、これはE-Bikeでも同様で、場合によっては人力自転車よりも重要だ。

E-Bikeの場合、車体が軽いとアシストが切れる時速24キロ以上を出すことが容易になる。E-Bikeのバッテリー消耗を抑えるには、スピードを出してアシスト比率を低くしたり、アシストが切れる速度で走行するという技がある。今回のロングライドで、平地ではバッテリーの消耗を抑えて走ることができたのは、車体重量が軽く、弱いアシストでもスピードを出して走ることができたためだ。

E-Bikeのロングライドはバッテリー性能が重要

E-Bikeのロングライドでは、バッテリー性能も重要だ。バッテリー性能で一番わかりやすいのが容量で、大容量であればあるほど長距離走行ができるのでわかりやすい。

また、バッテリー性能に関しては容量だけでなく、充電時間やバッテリー着脱も重要。充電時間やバッテリー着脱の可否に関しては、車種によって違うため注意しよう。

Specialized Turbo Vado SLに関しては、容量320Whの内臓バッテリーだけでは、今回のようなロングライドは不安なので、オプションの容量160Whのレンジエクステンダーは必要。

充電時間は、オプションで用意されている、内臓バッテリーとレンジエクステンダーの両方を充電できるケーブルを使用すると3時間20分で充電可能。内臓バッテリー単体だと2時間30分、レンジエクステンダー単体だと3時間20分で充電できる。容量が少ないレンジエクステンダーの方が充電時間が長いのは、充電時間を短くして急速充電を行うと、バッテリーの劣化が早くなるため、意図的に充電時間を短くしているようだ。バッテリー着脱は、軽量化のために一体型にしているため、突発的な充電が難しいのが欠点だ。

E-Bikeのロングライドはドライブユニットのパワー・トルクが重要

E-Bikeのロングライドはドライブユニットのパワー・トルクが重要だ。E-Bikeのサイクリングはロングライドでも自動車やオートバイのドライブのような感覚に近い。これは、モーターアシストで体力が無限にあると”錯覚”してしまうためだが、それでも体力の消耗は発生する。そのため、アシストパワーとトルクが強いほど楽に走ることができ、体力の消耗を抑えることが可能だ。

Turbo Vado SLに搭載されているドライブユニット「Specialized SL1.1」のスペックは定格出力240W、最大出力240W、最大トルク35Nm。E-MTB用のハイパワーユニットと比較して、半分以下のパワーとトルクとなっている。これは軽さを重視した結果だが、一番ハイパワーのアシストモードを使用すると、バッテリーの消費がハイパワーを出すE-MTB系ドライブユニットとあまり変わらないのが気になる。Specialized SL1.1は、パワーとトルクが少ないため、一番パワフルなアシストモードを積極的に使うからだ。

軽さ、バッテリー性能、ハイパワー・ハイトルクのアシストの3つを全部両立することはできないため、どれかを捨てる必要がある。例えば、軽さを重視するのなら、バッテリーは自分で外すことができず、パワーやトルクは少なくなってしまう。一方で、バッテリーの着脱とハイパワー・ハイトルクのアシストを重視すると軽さは犠牲になる。E-Bikeを購入するときは、その部分を考えて選ぶのをお勧めする。

今回のE-Bikeロングライドで、たった200キロしか走れなかった原因は?

今回のE-Bikeロングライドでは、浅草・雷門から三国トンネルまで約200キロを走行し、バッテリーが殆ど無くなったため終了した。なぜ、200キロで終了したのか考えてみよう。
1つ目の理由が、ハイパワーのアシストモードを多用していたということ。荒川サイクリングロードや利根川サイクリングロードを走行していたときは、弱いアシストモードで走行していたため、パワーを抑えて電池消耗を抑えることができたが、利根川サイクリングロード終点から三国トンネルまでは、ハイパワーのアシストモードを使用していたため、バッテリーの消耗が増えたと思われる。特に、今回は雨の影響もあり、アシストモードを下げずに走行していたのもあるだろう。

2つ目の理由はヘッドライト。Specialized製E-Bikeは、車体とスマートフォンアプリをBluetooth接続を行うと、アシストパワーの変更や、今まで走行した道の確認や、バッテリーの消費量を見ることができる。今回の浅草・雷門から三国トンネルまでのロングライドで、バッテリーの総消費量を計算したところ366Whとのこと。ゴール地点の三国トンネルではバッテリー残量は残り7パーセント程度で終了したため、バッテリー内には約34Whあったと仮定すると、バッテリーの総消費量と残りを足すと約400Whとなる。

今回使用したSpecialized Turbo Vado SLのバッテリーは内臓バッテリーとレンジエクステンダーと合わせて480Wh。残りの80Whは、多少のロスに加え、恐らくライトに消えたのだと思われる。

ヘッドライト「Lezyne Ebike Hecto STVZO E65, 210Lumens」は、常時点灯式でスペックは12V、4W 210ルーメン。今回、計算したところおおよそ56Whの電池を消費しているようだ。因みにテールライト「Specialized integrated saddle mount, LED Technology, 12V」のスペックは12V、0.5Wで、今回は14時間走行したため7Whの電池を消費している。Turbo Vado SLのヘッドライトは常時点灯式なので、街乗りや普通のサイクリングでは安全性が高いが、1日200キロ以上のロングライドを行うのなら、足枷になるだろう。

Specialied Turbo Vado SLで、これ以上、航続距離を伸ばす方法は?

Specialized Turbo Vado SL 4.0で、これ以上、航続距離を伸ばす方法はあるだろうか?

まず、最初に行いたいのは上り坂でアシストを抑えること。今回は条件が悪かったため、一番パワフルなアシストモードを多用していたため、利根川サイクリングロード終点から三国トンネルの新潟側終点まで266Whを消費していた。アシストモードを抑えて最低でも60Wh削減して200Wh以下に抑えたい。

ヘッドライトも常時点灯式から変更したい。短時間での利用なら常時点灯で問題ないが、これだけの長時間走行で常時点灯で走ると、航続距離が短くなる要因になる。対策はライトスイッチ搭載のE-Bike専用ライトを装着するか、ヘッドライトを外して、OLIGHT RNシリーズのようにモバイルバッテリーでも点灯できるライトにするのも1つだ。

E-Bikeのロングライドでは、弱いアシストでも走れる車体性能が重要になる。車体性能を上げる方法で有名なのがホイールの軽量化。Specialized Turbo Creo SL/Vado SLには、オプションでTERRA CLX BOOST カーボンホイールセットがある。因みに価格は30万8000円(税込、以下同)。

 

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航続距離を増やす方法で一番簡単なのが、Specialized Turbo SLシリーズのレンジエクステンダーを、もう1個購入する方法だ。今回、320Whの内蔵バッテリーと160Whのレンジエクステンダーを接続して使用していたが、さらにレンジエクステンダーを購入し、2本運用を行えば、バッテリー容量は実質的に630Whで運用できる。問題は、レンジエクステンダーの価格が5万2800円で、2個購入すると10万円以上と高価なこと。ただ、ホイールなどの車体の軽量化などよりも確実に性能向上するカスタムなので、頻繁にロングライドを行う人はレンジエクステンダー2本運用を考えてもいいだろう。

Specialized Turbo Vado SLのロングライド性能は?

Specialized Turbo Vado SLのロングライド性能に関しては概ね満足している。通勤、街乗りからサイクリング、グラベル、列車輪行まで対応できるE-Bikeで、部品交換レベルのカスタマイズで、ここまで走れば合格だろう。

しかし、もっと電池消耗を抑えて走ったり、これ以上の航続距離を求めるのなら、放電状況を考えた適切なアシストモードの設定、途中でバッテリーを充電や、ライト交換など本格的なカスタマイズ、レンジエクステンダー2個運用などを考える必要があるだろう。

E-Bikeで東京から新潟まで走ることはできるか?

今回、E-Bikeで、東京都の浅草・雷門から三国トンネル新潟県側出口までの200キロを走り、E-Bikeでも東京から新潟まで行くことができるのを立証した。この記事を読んだ読者は、浅草・雷門から新潟駅まで走ることが可能なのか気になる人も少なくないだろう。

 

浅草・雷門から新潟駅まで360キロ以上あるため、非常に難しい。ロードバイクなどの人力自転車のロングライドのノウハウは、基本的に人間の体力や精神力重視になるが、E-Bikeのロングライドは、人間の体力や精神力はあまり重視しなくても良い一方で、ロングライドが可能なE-Bikeの選択、ルートから電池の消耗量を逆算する、アシストモードから電池消耗を予測し、場面と状況に応じて途中で充電を行う場所を考えるなど、様々なノウハウや知識が必要になる。そのノウハウも、人力自転車のように使いまわしができるわけではなく、各車種によって違うので注意が必要だ。

文:松本健多朗

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