世界的に、電動アシストマウンテンバイク「E-MTB」が注目されている。荒れたオフロードや急な坂道でも走れるE-MTBは、体力がない人でも楽に走れ、従来のマウンテンバイクコースでは実現できない自由なコースを作ることが可能になった。

日本でもE-MTBは注目されており、様々な試乗会で乗ることもできる。しかし、E-MTBに試乗できる場所は舗装路が多い。オフロード走行を楽しむためのマウンテンバイクで舗装路を走っても本当の良さを体験できないが、これはE-MTBでも同じこと。電気の力で楽に舗装路を走れるE-MTBでも、オフロード走行をしたほうが楽しいのだ。

E-MTBをオフロードで試乗し、複数のモデルを比較できるイベントは少ない。しかし、運がいいことに、御殿場のTRAIL JAMプレイベントでヤマハ・YPJ-XCとミヤタ・リッジランナーの2台のE-MTBに乗ることができた。今回はヤマハ・YPJ-XCとミヤタ・リッジランナーを比較する。

ヤマハ・YPJ-XCについて紹介

ヤマハのE-Bikeブランド「YPJ」シリーズ唯一のE-MTBで、YPJシリーズのフラグシップモデルでもあるYPJ-XC。シルバーに、青・黒のストライプはヤマハのフラグシップオートバイのイメージを連想させるカラーリングだ。ドライブユニットはヤマハ・PW-X。E-MTB用として作られたユニットで、他のヤマハ製ドライブユニット(PW・PW-SE)よりもパワー感があるのが特徴だ。フロントサスペンションはクロスカントリー用マウンテンバイクのROCKSHOX RECON GOLD 120mm。コンポーネントはシマノ・SLX11速で税抜価格350,000円。

ミヤタ・リッジランナーについて紹介

ミヤタ伝統のマウンテンバイクの名前「リッジランナー」がE-MTBで復活した。通常のマウンテンバイクよりも太い27.5×2.8インチセミファットタイヤを採用。手元でサドル高を上下調節できるドロッパーシートポストやサスペンションの可動をON/OFFできるリモートロックアウト機構を装備した。ドライブユニットはシマノ・STEPS E8080。回転重視のE-Bike用ドライブユニットなのが特徴だ。フロントサスペンションはクロスカントリーマウンテンバイク/E-Bike用のSR SUNTOUR SF18 RAIDON34 DS BOOST RCR。コンポーネントはシマノ・Deore10速で税抜価格369,000円。

上り・平地はYPJ-XCが有利

今回、ヤマハ・YPJ-XCとミヤタ・リッジランナーを走らせたコースは「御殿場MTBパーク FUTAGO」。2018年10月14日現在、近日オープンに向けて調整中とのことだ。TRAIL-JAMプレイベントでは、短い周回コースだったが、上り・平地・下りが入ったオールマイティなコースで、一部にはE-MTB専用の急斜面があるルートもあった。

上り・平地に関しては、YPJ-XCのほうが一枚上だ。ヤマハのドライブユニットの特徴は、自然なアシストを重視している所だがYPJ-XCに搭載されているPW-Xユニットも同じだ。YPJ-XCのアシストは、上から順にエクストラパワーモード・ハイモード・スタンダードモード・エコモード・プラスエコモードがある。オフロード走行で使えるのはエクストラパワーモード・ハイモード・スタンダードモードまで。オフロードではエコモード・プラスエコモードは非常にカッタルイ。

一番凄いのはエクストラパワーモードだ。アシストが一気にかかるこのモードは坂道でもガンガン進んでいく。通常のマウンテンバイクで9~10km/hで走る上り坂を、時速17km/hで進むため、このパワーを体感すると通常のマウンテンバイクに戻れなくなるほどだ。

一方、ミヤタ・リッジランナーはYPJ-XCと比較するとトルクが薄いと感じてしまう。体感的にはリッジランナーの最大アシストのHIGHモードはYPJ-XCのSTDモードに近い。また、リッジランナーに搭載されているドライブユニット「STEPS E8080」は、高回転で脚を回すとアシストがかかりやすい。低回転から高回転まで直結する感覚でアシストするYPJ-XCと比べるとどうしても落ちると感じる。但し、御殿場MTBパーク FUTAGOのコースを走った限りでは、登れる場所はYPJ-XCと同じだった。

下りはリッジランナーが有利

上りではYPJ-XCのほうがパワフルに走れて楽しいが、下り坂はリッジランナーが有利だ。手元でサドルの高さ調整ができるドロッパーシートポストを装備しており、下り坂ではサドルの位置を下げて安全に下ることができる。また、リッジランナーはYPJ-XCよりもタイヤ幅が太いセミファットタイヤを装備しており、安定して下ることができる。YPJ-XCはリッジランナーよりも良くできたROCKSHOX製サスペンションを搭載しているが、リッジランナーのほうが安心して下れる。

ただ、リッジランナーやYPJ-XCに限らず、E-BIKEの下りは従来の自転車と比較すると違和感を感じるだろう。筆者の場合は通常の自転車と比べるとコーナーで車体の重さを感じた。それは重いバッテリーをダウンチューブに搭載したため、重心位置の変化等があるだろう。これはE-MTBやE-Bikeで下り坂を走れば一発でわかる。E-MTBやE-Bike系の記事で、この事について書いてあったら信用できる目安になるほどだ。

おそらく、日本国内のE-Bikeで、普通の自転車のようなコーナリングを楽しめるのは、YPJ-RとYPJ-Cぐらいだが、あれは舗装路走行に特化し小型バッテリーにしたのもある。仮にE-MTBに小型バッテリーを搭載し、ハイパワーアシストでオフロード走行したらあっという間に電池切れになるだろう。バッテリー問題は、画期的な技術が開発されて小型化に成功するか、バッテリーのデザインを容易にするか、何かしらの画期的な技術が開発されないと解決しないだろう。

ヤマハ・YPJ-Cのすべて 試乗でわかった評判・感想をまとめる【E-Bikeインプレッション 】

因みに、筆者はパナソニック・XM1/XM2でオフロード走行はしたことが無い。ダウンチューブ取り付けタイプのバッテリーで、どれだけ重心位置を下げてコーナーリングが変わるのか興味がある。

ヤマハ・YPJ-XCとミヤタ・リッジランナーを買うのならどちらが良いか?

ヤマハ・YPJ-XCとミヤタ・リッジランナーのどちらかが良いかと聞かれたら筆者は困る。この質問は、その人の使い方にもよるので一概にYPJ-XCが良いとかミヤタ・リッジランナーが良いとかは言えない。

筆者の好みで言うのならヤマハ・YPJ-XC。PW-Xドライブユニットはパワフルにアシストし、フロントサスペンションもリッジランナーより良く動く。車体サイズも3種類あり価格は税抜35万円と、内容を考えたら高くはない。電動アシスト自転車のリーディングカンパニーとしての意地すら感じるほど。しかし、MTB初心者にE-MTBに乗ってもらうのならリッジランナーだ。ドロッパーシートポストやセミファットタイヤは初心者でもある程度安心して下り坂を下ることができるからだ。

一番良いのはYPJ-XCとリッジランナーの両方を乗りくらべること。サイクルイベントや試乗会でも良いが、筆者としては観光地やMTBパークにレンタサイクルとして置いてもらうのがベストだろう。