デイリーアーカイブ Sep 16, 2025
ヤマハ製ユニットを搭載したGIANTの電動アシストロードバイク「RoadE+」とYPJ-Rを比較する
電動アシストロードバイクで有名なモデルと言えばヤマハ・YPJ-Rだが、海外でも僅かながら電動アシストロードバイクが存在する。Bosch製ユニットを搭載したHaiBike・XDURO RaceやShimano製ユニットを搭載したDe Rosa Milanino E-Roadが有名だが、ヤマハ製ユニットを搭載した電動アシストロードバイク「GIANT・Road E+」が登場した。
GIANT・Road E+はYPJ-Rと同じくヤマハ製ユニットを搭載している。そこで今回はYPJ-RとGIANT・Road E+を比較してみた。
写真で見るGIANT・Road E+とYPJ-R
出展:https://www.giant-bicycles.com/en-gb/bikes/model/road.e.2/24987/90636/
出展:http://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/product/color/
YPJ-Rよりもカバーを多く付けて滑らかなデザインとなっている。
電動アシストユニットは、ヤマハ・YPJ-Rと同じPWシリーズを搭載している。YPJ-Rの場合は電池部分やアシストユニット部分のカバーは最小限となっているのに対し、E-Road+は、アシストユニット部は滑らかに見えるようにカバーを装着し、バッテリーの装着部もフレームと一体になっているように見える形のため、非常にまとまっている。Bosch製アシストユニットのように、滑らかな形状の一方でアシストユニットがデカいのなら、ヤマハのようにアシストユニットはエンジンのような形状を意識しコンパクトにして、カバーを装着するのも1つだろう。
フレーム設計はYPJ-Rよりも非競技向きで想定ユーザーに合っているか
YPJ-Rは非競技向けで、雨の日では制動力が落ちるキャリパーブレーキに、やや前傾姿勢気味のフレーム、太いタイヤが履けないという設計となっている。YPJ-Rの対象ユーザーは非競技志向らしいが、競技用を非常に意識した車体設計は非常にチグハグしている。
ヤマハ新電動アシスト自転車YPJのターゲット設定がすばらしいw pic.twitter.com/39ZFQXAfXf
— いしたにまさき(mitaimon) (@masakiishitani) 2015年10月1日
GIANT・E-Road+は、前傾姿勢が比較的緩いフレーム形状を採用し、雨にも強いディスクブレーキ、路面状況に左右されにくい32ミリ幅タイヤを装着し、さらにフレームとの隙間が大きいので、太いタイヤも装着可能となっている。フロントフォークには泥除け装着が可能な穴がある。RoadE+はYPJ-Rよりも初心者向けで、YPJ-Rよりも想定ユーザーに合っているだろう。
車体価格は約35万円
RoadE+はYPJ-Rよりもお金がかかっているが、価格差も大きい。RoadE+の一番安いモデルは£2,299.00。2016年6月12日現在の日本円に換算して約35万円と高価だ。
RoadE+とYPJ-Rの大きな違いはコンセプトだろう。YPJ-Rはロードバイクの設計を入れた電動アシスト自転車なのに対し、RoadE+はロードバイクの雰囲気を入れた電動アシスト自転車だろう。そのため細いタイヤや前傾姿勢などロードバイクの使いにくい部分を残しているのに対し、RoadE+は、ロードバイクの雰囲気を入れた一方で、タイヤはロードバイクよりも太い、前傾姿勢が比較的緩いなど、乗りやすさを意識している。現在の電動アシスト自転車は乗りやすくするための乗り物だと、自分は思っているためロードバイクの雰囲気だけの一方で、乗りやすさを入れたRoadE+を評価する。
自転車の世界ではあまり言われないが前後重量配分は重要だろう
自転車の世界で重要なことを言うのは少ない。例えば電動アシスト自転車の駆動方式の違いや、前後重量配分はあまり聞かない。特に前後重量配分について理解している人の殆どは、設計関係とインストラクターの人ぐらいで、自分みたいな素人が書くのはあまり無い。まずは自動車やオートバイの世界での前後重量配分を見てみたい。
自動車の例
自動車の世界で前後重量配分は、スポーツカーは50:50がベストといわれている。ただ、そのような前後重量配分も、どんな車でも拘ってしまうと上手くいかない例がある。
当時のホンダのアナウンスでは、このレイアウトのお陰で、前後の重量配分が50:50に出来、スポーティーなハンドリングが可能になったと言っていますが、実はFFの場合、前輪荷重を小さくするのは、危険なことでもあるのです。
車が加速する時は、必然的にフロントが浮き気味になりますが、FFの場合、下手に前輪荷重を軽くすると、その浮き上がりから、加速時にスリップを起こしてしまうのです。
事実、その軽い前輪荷重のお陰で、特に雨の日の発進時は、必ずスリップを起こしたもので、トラクションコントロールは不可欠な装備でした。
ホンダ・インスパイア/ アキュラ・ビガー ( 自動車 ) - 消え行くアメリカ車たちを追って - Yahoo!ブログから引用。前輪に荷重がかからないとタイヤがグリップしないFF車で、前輪に荷重がかからないFFミッドシップを採用したホンダ・インスパイア/ビガー。コメント欄で「友人が雨の日に事故でインスパイアを廃車にしてしまいまった。」と書いている。
オートバイから見る前後重量配分の重要性
自分はオートバイの免許は無く、教習所の体験でもまったく心が動かなかったので、乗る気は無い。ただ、牧歌的で排気量が小さくこじんまりとした第2次バイクブームよりも、世界を相手にした日本の大型オートバイを高校生が乗る第1次バイクブームが過激で面白いのでナナハン世代の記憶を作ってまとめている。今回はナナハン世代の某氏の話を使い、オートバイの前後重量配分の重要性を書いてみたい。
(ナナハン時代のオートバイについてはナナハン世代の記憶で。)
ナナハン世代では4サイクル大排気量のオートバイが非常に人気だったが、価格の安さで2サイクルのオートバイもあった。その中で、2サイクル市販レーサーで有名だったヤマハは、この時代に市販ロードレース用オートバイTR-3/TD-3の公道仕様として登場させたオートバイのRX350/DX250を登場させた。
ヤマハ・TR-3
http://www.tz350.net/r5-tr3_conversion.htmから
ヤマハ・RX350 装備重量160kg 36ps
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_rx350_sport%2070.htmから
70年代前半唯一の2サイクルレーサーレプリカのRX350は、前傾姿勢で乗るオートバイの設計だった市販ロードレーサー「TR-3」を公道用にするために、基本的な車体設計は同じのままで、前傾姿勢で乗るセパレートハンドルから、法規的な問題でCB750Fourのようなアップライトなハンドルに変更するなど乗車姿勢が変わった。某氏いわく、この後に乗ったW1スペシャルやCB500Four、XS650E、TX500と比べるとパワーは低いが、発進時に荒っぽくスロットルを回すとウィリーするというオートバイだったとのこと。
因みにMr bike bgでは、さも有難るオートバイでナナハンキラーと呼ばれていたと言っているが、TX500やCB500Fourなどに乗っていた某氏曰く、そこ迄速くなく所詮350CCとのこと。
ホンダ・ドリームCB500Four(48馬力・装備重量201kg)
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/honda/honda_cb500_four%2071.htmから引用
ヤマハ・XS650E(53馬力・185kg)
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_xs-2%2072.htmから引用
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_tx500%2073.htmから引用
ヤマハ・TX500(48馬力・182kg)
これらのオートバイと比べても、RX350はエンジン搭載位置などがやや後ろにあり、重量配分が後ろよりにあり、ウィリーしやすい理由も分かると思う。
前後重量配分が悪い例で一番わかりやすいのが、カワサキ・SS500 マッハ3。開発時のコンセプトがウィリーしやすく、ゼロヨンで速いというのを実現するために、最終的には非常に乗りにくいオートバイとして有名になった。そのため1973年付近の上野オートバイ街では、乗りやすくて速くて燃費が良いCB750FOURやCB500FOURが沢山あり、人気車で容易に購入できない価格なのに対して、マッハ3はまったく見ず、たまに見ても1クラス下の350CC車と同価格の現役不人気車となった。
カワサキ・SS500 Mach3
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/kawasaki/kawasaki_h1%20500%2070.htmから
自転車の重量配分はどのように考えるべきか
「自転車は、乗車時は前後重量配分は少し後ろより、立ち漕ぎ時は前後重量配分は真ん中となる。」
これは、マウンテンバイクの初心者向け講習で聞いた話。この話を思い出すと、これは、マウンテンバイクだけでなく、多くの自転車でも言えることなのでは無いかと思う。因みに、自転車の前後重量配分を実測した人(車種不明)によると、人が乗った状態で、前:後=36:64との意見がある。また、自転車工学の専門書では、前後のバランスは45;55がベスト、50;50以上前に荷重が偏ると危険との意見もある。
参考:醤油29リットル 「自転車の前後重量配分」・カーボンだからできる、自分で作る自転車 2 : 自由大学
なんで、このようなことを書いたのかというと、前後重量配分は、荷物の積載や乗車姿勢、前後タイヤの極端な減り方の違い、前輪が落ち着かない、アップハンドルが通常のスポーツ自転車にあわない理由、ストライダがやたらとふらつく理由、リアセンターが短いほど良いという考えの間違いの全てに理由が説明がつくため。まずは、後ろに積みすぎる荷物をどうやって効率よく分散できるかからこの理屈を使って考えてみるつもりだ。
エアロに拘る競技用ロードバイク TREK Madone9のブレーキシステム
https://www.youtube.com/watch?v=NOl7tytbOnc
競技用の乗り物は、競技の分野に極限まで特化している物が殆どだ。レーシングカーの多くは普段での使用は不便で、長期間の使用は適さない物となっていると言われている。
自転車の世界も、レーシング用モデルは素人から見ても極限まで競技用に特化している。一番良い例がTrek Madone9。Madone9は多くの部分をエアロ化している。特に面白いのはワイヤーが殆ど見えず、フロントフォークに装着されたブレーキが、フロントフォークと一体化しているように見えるほどだ。
気になるのはステアリング構造で、中に入っているワイヤーやブレーキはどのようにして干渉しないで曲がることができるのかで、実際はこのような感じとなっている。
TREK MADONE9 ブレーキシステム pic.twitter.com/d6IlWHBMoC
— 丸山 拓己@FFWD注文待ち (@mtgtr860821) 2016年5月28日
ステアリングは、フレームにからくり的な仕掛けを備えることでワイヤーが干渉しないようになっている。公道用として見ると、このようなからくり機構は整備が大変そうなので、メカニックサポートがある競技者が乗るのが一番なのではないかと思う。