マンスリーアーカイブ 7月, 2019

MTB風味を持つグラベルバイク GIANT TOUGHROAD SLR

https://youtu.be/tqBJR6Dzybk 2016年モデルで登場した、GIANTの新世代ツーリング自転車「TOUGHROAD SLR」シリーズ。マウンテンバイクみたいに太いタイヤを履き、道を選ばないツーリング自転車だ。 フレーム素材は、ALUXX-SLRというGIANTのアルミの中でも軽量を売りにしている。GIANTの自転車の中でも高価なモデルに採用されている種類のアルミだ。フレームはマウンテンバイクみたいだが、ヘッドチューブが長く、サスペンションの装着は想定していないように見える。全体的な形状もGIANTの近年のハードテールマウンテンバイクのように、極端にスローピングせず、各部の隙間もMTBよりも狭いように見える。 シートポストは、D型形状のD-FUSEシートピラーを採用。撓りやすいシートピラーを特徴としていて乗り心地を良くする一方、汎用性が低くなる。フロントフォークはサスペンションが無いリジッドフォークでカーボン製だ。 ギア比はマウンテンバイク用で軽いギアが有り、上級モデルのSLR1は前2段と流行のダブルギアを採用している。タイヤはマウンテンバイク用。29インチは700のリムと径が同じなので、700のクロスバイク用タイヤの装着が可能と思われる。スプロケットは36Tと大型のギアを装備している。SLR1は、前後キャリアやチェーンステーカバーを装備している。前後キャリアは溶接から見て恐らくアルミ製。前キャリアは片側7.5kg、リアキャリアは25kgまでの荷物を積むことができる。また、荷台を使用しないで車体に装着するバッグ「SCOUTシリーズ」を装着することもできる。 GIANT TOUGHROADに乗ってみた 今回、サイクルハーバー青梅でレンタサイクルとして使われているGIANT TOUGHROADに試乗することができた。このTOUGHROADは、SRAMの1×11速仕様に、後付でハブダイナモを装備している。 最初に見て、クロスバイクと大きく違うように感じるのがタイヤとホイールだ。ホイールの大きさは29インチと、マウンテンバイクに使われている規格だ。車輪径を大きく障害物が乗り越えやすい29インチは、クロスカントリーMTBレースでよく見る形式だ。 TOUGHROAD SLRの標準タイヤはグラベル重視のブロックタイヤを装備しているが、今回試乗したTOUGHROADはWTB Thickslick 29×2.1というスリックタイヤを装備。タイヤの重量は786g。 舗装路では、GIANT Escape R3などのスピードクロスバイクと比較すると安定感が高いのが特徴だ。カーブを曲がる時の感覚も同じで、細いタイヤを装着したロードバイクやクロスバイクのひらひらとした軽快感とは対称的な走りとなっている。公道にある段差も特に気にしないで通過できるため、 漕ぎ出しに関しては、タイヤが太いためオンロード用スポーツサイクルと比べると重いが、マウンテンバイクよりも軽快だ。Specialized Diverge E5+パナレーサー・グラベルキング700×38Cと比較した場合、Diverge E5のほうが軽快だろう。しかし、スピードを出さなければ、これで舗装路の長距離サイクリングもできるレベルだろう。 ギア関連に関してはSRAM GX1000 36T+SRAM PG1130 11S 11-42T。1×11ながら、ギア比1以下のギアが装備されているので、長距離サイクリングでの山越えも可能だ。 舗装路では、タイヤの太さを生かして安定感がある走りが楽しめるTOUGHROADだが、ジープロードでもその良さを実感できる。今回、TOUGHROADで林道の下りを走行したが、スピードは遅いながら”操縦”して下ることができた。このような砂利道だと、一般的なクロスバイクは恐る恐る走行しないといけない一方、TOUGHROADが安定して走行できたのは、29インチホイールの走破性もあるだろう。 TOUGHROADが合っている人は、嘗てマウンテンバイクでサイクリングを楽しんでいた人だろう。ジャンプやハードなコースは走らないが、砂利道は安定して走行できる頑丈さを求める人は今でもいる。今のマウンテンバイクは、オフロード走行に特化した影響で、低価格のエントリーモデルでも重装備となっており、舗装路はマウンテンバイクよりも軽快に走行でき、砂利道はクロスバイクよりも安定して走れるTOUGHROADは貴重な自転車だ。 注意点を挙げるとするならタイヤだろう。TOUGHROADに採用されている29インチタイヤは、MTB用のブロックタイヤか、重い街乗り用タイヤしかない状況だ。流行のグラベルロードでは、650B×47Cというロードプラス規格を使用できる自転車がある。こちらでは軽量なタイヤが用意されており、600gを切る太いスリックタイヤも存在する。(パナレーサー・グラベルキング 27.5×1.90:584g)舗装路走行がメインの人なら軽量タイヤが装備できるグラベルロードを選ぶのも1つ。TOUGHROADはグラベルをメインに楽しみ、オンロードはマウンテンバイクよりも軽快に走行したい人のためのグラベルツーリングバイクだろう。 車両協力:サイクルハーバー青梅

東京23区の折りたたみ自転車宅配レンタサイクル「WHeeLING TOKYO」が登場

合同会社FANGOWは東京23区内で訪都観光客に向けたデリバリー・レンタサイクル ”WHeeLING TOKYO(ウィーリング・トーキョー)” のサービスを開始した。 シェアサイクルを中心に自転車レンタルサービスが拡がりを見せている東京。東京オリンピックを来年に控え、増加する訪都観光客に向けて移動手段の手段の一つとしてシェアサイクルの利用が注目されている。WHeeLING TOKYOは、より簡単で、使い易く、東京の交通事情にマッチした自転車利用手段として、折りたたみ自転車を利用客の宿泊施設までデリバリー・レンタルするサービスを開始した。 レンタル可能な自転車は、英シンクレア・リサーチ社のA-bike city。折りたたみ、オリジナルのバックパックに収納したときのサイズは縦71cm×横43cm×奥行22cm、重量はおよそ7kg。一般的なスポーツバッグと同等の大きさにまとまるので朝の満員電車にも難なく持ち込むことが可能。車体の耐荷重制限は100kgまで。8インチのパンクレスタイヤを装着している。オンラインで簡単に予約・決済を行い、利用日の朝には自転車が宿泊施設まで届くシステムとなっている。また、返却もフロントへ行うとのことだ。利用プランは、1日プランで ¥2,500(消費税、往復デリバリー料含む)。連泊プランは¥2,500 + ¥1,000/翌日以降1日ごと。時期により価格は変動する場合がある。 WHeeLING TOKYO ホームページ:https://www.wheelingtokyo.com https://www.cyclorider.com/archives/20504

電動キックボードと超小径折りたたみ自転車を比較する パーソナルモビリティに未来はあるか

人間の歩く速度+αのスピードで楽に動き回れて、常に持ち運びできる人力の乗り物というのは非常に少ない。この手の乗り物と言えばキックスケーターが浮かびあがるが、筆者ならキックスケーターよりもDAHON DOVE(BYA412)、ルノー・ウルトラライト7/ライト8といった14インチ折りたたみ自転車を選ぶだろう。かつて、旅行先で回る場合、徒歩よりもスピードが出て楽に移動できる乗り物としてキックスケーターを考えていた。しかし、キックスケーターは以下の問題がある。 最初に思い浮かぶのが走行性能が低いことだ。多くのキックスケーターは空気が入っていないタイヤのため乗り心地が悪いのと、足で蹴って進まないといけないため、自転車よりもスピードが出ない。実際、キックスケータを通勤で使う人のユーザーインプレッションでは、自転車よりも疲れ、移動範囲は徒歩と同程度と語っている人もいる。ブレーキ性能も、自転車用と比較するとチープだろう。非常に高価なモデルなら、マグラ製のディスクブレーキを搭載するモデルもあるが、折りたたみ自転車と同程度の価格になる。 超小径車クラスでは一番自転車に近い超小径車折り畳み自転車として知られているBYA412シリーズ(DAHON DOVE・ルノーウルトラライトシリーズ)は、キックスケータと比較するとあらゆる面で優秀だろう。小径車なので段差などに弱いがキックスケータよりも行動範囲は確実に広がる。 更にBYA412系統の折りたたみ自転車で凄いのは、中型コインロッカーに入れられることだ。中型コインロッカーに入れることができる自転車では最安クラスだ。また、公道を走行可能なキックスケータは中型コインロッカーに入れないだろう。 https://www.cyclorider.com/archives/18669 キックスケーターとBYA412系統の折りたたみ自転車を比較した場合、BYA412の欠点を挙げるとすると重量と価格。大人用キックスケーター(oxelo TOWN等)は6kgなのに対して、14インチ折りたたみ自転車は7~8kg後半が多い。 軽さを売りにしているDAHON DOVE UNO PLUSは6.97kgで価格は78,000円。ブレーキ付きの大人が乗れるキックスケーターは25,000円。 BYA412系統の一番安いRENAULT LIGHT8は34,800円~とキックスケーターのほうが安い。しかし低性能と法律的にグレーゾーンに位置しているキックスケーターよりも、このような超小径折りたたみ自転車のほうが良いだろう。 電動キックボードと超小径折りたたみ自転車を比較する 近年注目されているのが電動キックボードだ。世界各地で電動キックボードのシェアリングを行う業者が登場しており、公共交通機関から目的地までのラストワンマイルの移動に注目されている。日本でも、様々な会社が電動キックボードのシェアリング実験を行っている。 今回、モビリティ関連の合同試乗会で電動キックボードに簡単に試乗する機会ができた。今回試乗した電動キックボードは「LUUP」というシェアリング事業者。最初に足で地面を蹴ってからボタンで加速するタイプ。一番電気が必要な発進を脚でアシストすることで、電池の消費量を抑える期待ができる。 筆者が所有している超小径折りたたみ自転車「ルノー・ウルトラライト7」と比較すると、安定性に関してはすべてが劣る。今回試乗した電動キックボードの最高速度は時速10km/hだが、その位の速度でもルノー・ウルトラライト7と比較すると不安定さを感じる。無意識で運転しているつもりでも、車体を安定させるために体が僅かに緊張しているのがわかるほどだ。車輪もルノーウルトラライト7よりも小さいので、小さな段差ですら安心できない。 また、足の置き場も気になった。後ろ足はリアフェンダー近くに置く必要があるが、これはリアフェンダーを踏んで止める手動キックボードの流れを組んでいると思うが、足が落ち着かず、ゆったりと乗れる乗り物ではない。 スピード、安定性などモビリティの基本性能としては超小径折りたたみ自転車と比べてすべてが劣る電動キックボード。なず、多くの新興シェアリング会社が電動キックボードを使用しているのか?おそらく、電動キックボードは脚を動かさない乗り物としては非常に低価格で購入できるのもあるだろう。日本でも私有地用の電動キックボードを販売している業者があるが、5~6万円で購入できる物が多い。超小径折りたたみ自転車は低価格モデルでも4万円ほどと安くない。また、不安定なので心理的に長時間走行できないのも利点だ。 単なる移動手段として考えると、構造上の欠点を理解しつつ乗り物として進化し続けている超小径折りたたみ自転車を支持したい。シェアリング用モビリティとして見た場合、モーターで誰でも走行できる電動キックボードが有利だろう。しかし「乗り物」ではなく「乗用玩具」レベルの設計である電動キックボードが、シェアリング用モビリティとして普及するのか疑問に感じる。電動キックボードが幅広い乗り物とするには、2輪よりも3輪が良いだろう。しかし3輪はステアリング機構などの設計が難しく、大手企業の寡占になる可能性が高い。実際、ヤマハやトヨタから電動3輪立ち乗りモビリティが登場している。このままだと、電動キックボードのシェアリングは、3輪立ち乗りモビリティに変わる可能性が高いだろう。