マンスリーアーカイブ 5月, 2019

盗難補償があるスポーツ自転車 ブリヂストン・CYLVAシリーズを解説

ブリヂストンの街乗り用自転車ブランド「グリーンレーベル」の中で、CYLVAシリーズはケレン味がないロードバイク、クロスバイク、折りたたみ自転車をラインナップしている。2017年モデルからはストリート系のグラフィックは廃止し、BRIDGESTONE GREEN LABELロゴをフレームに貼り、落ち着いたスタイリングになった。 出典:CYLVA F24|CYLVA|BRIDGESTONE GREEN LABEL CYLVAシリーズで一番注目する所は、三年間盗難補償がある事だ。 三年間盗難保証は、条件を満たした場合で自転車が盗難された場合、僅かなお金で自転車を手に入れることができる制度。一般的なスポーツ自転車には採用されていないが、CYLVAシリーズには全車に盗難補償が付帯されている。 参考:各種補償制度、防犯登録 | お客様サポート | ブリヂストンサイクル株式会社 この3年間盗難補償はお買上げと同一車種(生産中止又は価格変動等が発生した場合は最近似の自転車・盗難補償は1回のみ有効)を自転車は3,000円(税抜き)、電動アシスト自転車は標準現金価格の30%で代替車として購入できると、非常にお買い得な制度だ。ちなみに従来の1年間盗難補償の場合、お買い上げ車と同じ新車(生産中止、または価格変動の場合は最近似の自転車)を標準現金販売価格の60%に消費税と組立手数料(大人車2,500円(税抜き)、幼児・子供車2,000円(税抜き))を加えた価格で代替車として購入できるとなっているため、以下にお買い得な制度なのかがわかるだろう。 CYLVA FR16:フラットバーロードバイク CYLVAシリーズ唯一のフラットバーロードバイクなのがCYLVA FR16。クロスバイクのCYLVA F24に似ているが、FR16はやや前傾姿勢で乗れるため、スポーティな乗車姿勢を実現した。 ブレーキはロードバイクタイプのキャリパーブレーキを採用。FR16のブレーキは、通常のロードバイクタイプのキャリパーブレーキよりも、サイズが大きいロングアーチブレーキを採用している。ギアはロードバイク用の前二段、後ろ八段を採用し、クロスバイクのF24よりも細かいギア比を採用しているスピード重視のギア比となっている。タイヤ幅も28ミリの細めタイヤを採用し、舗装路をスポーティに走れる物を装着した。 CYLVA FR16の一番の特徴は、純正ドロップハンドルキットがオプションで存在する事だ。あとからドロップハンドルが装着できるので、初心者でも安心の自転車とも言える。 全体的な設計は、汎用性が高いフラットバーロードバイクだ。一般的なフラットバーロードバイクは、ロードバイクの設計のままフラットハンドルを装着するため、荷台や泥除けが装着できない、直進安定性を犠牲にしてクイックなコーナーリングを重視したため、街乗りでは不安定という欠点がある。 CYLVA FR16は、本格的ロードバイクのレーシーな設計をやめた一方、サイドスタンドや泥除け、荷台が装着できるため、他のフラットバーロードバイクでは珍しい汎用性を持っている。 CYLVA F24:クロスバイク 初心者にも乗りやすくてお買い得なクロスバイクの1つがCYLVA F24だ。タイヤ幅は32ミリとママチャリよりも少し細いだけのタイヤ幅は、歩道の段差の通過にも安心感があり、タイヤもパンクリスクを軽減するプロテクターをタイヤに搭載している。フレームサイズは4種類と比較的幅広い身長に合わせることができる。普通のクロスバイクでは標準装備されないスタンド、ライトが標準装備されているため、後から購入しなくてもいい。 マウンテンバイク並に軽いギアがあるギア比は、きつい峠越えも苦にならず、裾が痛みにくい簡易ガードは装備されている(但し裾バンドは持っていたほうが良い)。泥除けや荷台の純正オプションがあるので快適街乗り仕様に変更が可能となっている。 部品構成も5万円台のクロスバイクには採用されにくい、シマノ製Vブレーキやボトムブラケットを採用し、3年間盗難補償で万が一の盗難にも対応可能と至れり尽くせりすぎるクロスバイクとなっている。非常にお買い得な一台でケチを付ける部分が無いほどだ。あえて言うのならスポーク数が少し少ないホイールだけだろう。 CYLVA F6F/F8F:折りたたみ自転車 CYLVAシリーズの折りたたみ自転車であるCYLVA F6F/F8F。一番の特徴は、ハンドルとサドル間の長さが短いため、小柄な人でも自然な乗車姿勢を実現した事だ。エントリーモデルのF6Fは、太めのタイヤを採用し、安定性を重視しているのに対し、上級モデルのF8Fは細いタイヤを装着して舗装道路のスポーティな走りを楽しめるモデルとなった。 https://www.cyclorider.com/archives/14887

トランジットコンパクト風折りたたみ自転車「MOBILLY ONE」を解説する

超小径折りたたみ自転車は、走行性能よりも折りたたんだ状態の性能を重視している。今回紹介するMOBILLY ONEはXフレームを採用し低価格で購入できる超小径折りたたみ自転車だ。 MOBILLY ONEのフレームはスチール製を採用した。車体重量は13.8kgと重いが、これはフレームの重さだけでなく、泥除けや荷台が装備されているのもある。折りたたんだ状態のサイズは755×1100×500mmと、一般的な超小径自転車としては大柄だ。これは折りたたんだ状態でも車輪で転がして移動できるためだ。 タイヤ/ホイールのサイズは、12×2-1/4インチ。車輪が非常に小さいため段差や荒れた道の運転には注意しよう。ギアはシングルギアのため短距離向けと割り切ろう。 かつて存在したブリヂストンサイクル・トランジットコンパクトと比較する   View this post on Instagram   こよっぴ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾さん(@koyo0918)がシェアした投稿 - 2018年 6月月22日午後5時07分PDT MOBILLY ONEを見て、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、かつてブリヂストンサイクルから登場したトランジットコンパクトだろう。2008年に生産終了したトランジットコンパクトは、MOBILLY ONEの先祖と言えるが、両車を見ると様々な所に改良点を加えている。 MOBILLY ONE フレームはボトムブラケットとシートチューブ部に補強が加えられている。これはトランジットコンパクトでは見られなかった物だ。ホイールもトランジットコンパクトではプラスチック製のホイールだったが、MOBILLY ONEでは一般的な自転車と同じスポークホイールになった。強度面も向上している。また、MOBILLY ONEには泥除けと荷台が装着されているので実用性も強化された。一方、トランジットコンパクトの利点は車体重量で12.8kgと軽量だった。MOBILLY ONEは車体重量13.8kgと重いが、泥除けと荷台を外した場合の重量が気になる。 低価格で購入でき、独創的なデザインで多くの人に愛されたトランジットコンパクト。今でもネットオークションや中古市場では高値が付く状況だが、MOBILLY ONEの登場でその流れも変わるだろう。 https://www.cyclorider.com/archives/32391 https://www.cyclorider.com/archives/36313 関連リンク Gic  

令和の主流になるモビリティはE-Bike・パーソナルモビリティ・自動運転車か

平成では、自動車はヒエラルキーが変化し最後は只の実用品に落ち、かつては一時代を築き上げた原動機付自転車(50CC)は死に体となり、オートバイはマニアの乗り物になった。そして電動アシスト自転車が登場した。令和では一体どのようなモビリティが主流となるのか。筆者はE-Bike・パーソナルモビリティ・自動運転車が、今後の社会の主流と考えている。その理由を紹介する。 令和時代を中心になるモビリティ 電動アシスト自転車/E-Bike https://youtu.be/fgVrJbcJGQM 世界的に注目されているE-bike。日本でも従来型の電動アシスト自転車だけでなく、E-MTBなどのスポーツタイプのE-Bikeや、3輪カーゴバイクが注目されている。 電動アシスト自転車やE-Bikeは従来の自転車よりも自由に移動できる所だ。従来の自転車では、運転者の脚力により走行できる距離に差があったが、電動アシスト自転車はその差を縮めることができる。また、多くのモビリティの中では、スピードが出にくく機械が原因による暴走運転ができないため、免許不要で気軽に運転でき、幅広い年齢層が運転できる。 また、E-Bike/電動アシスト自転車は、原動機付自転車よりも自由な設計が可能だ。これは、世界で電動アシスト自転車やE-Bike用の部品があり、複雑な構造ではないため設計に自由がある、スピードが出ないため自由な設計ができる事が関係しているだろう。E-Bike市場では遅れている日本ですら、既にクロスバイクやE-MTB等のスポーツ自転車型から、折り畳みタイプ、カーゴバイクタイプ、高齢者用タイプなど様々な電動アシスト自転車/E-Bikeが売られている。 https://www.youtube.com/watch?v=FUJUsuaHF2Q 日本では、モペッド文化が無いため、複雑なアシストセッティングを行う必要がある。一部ではアシストをアップさせて、もっと速く走れるようにする風潮もあるが、海外でも高速走行可能なE-Bike(S-Pedelec)は原動機付自転車のように免許が必要だ。また、Trek Super Commuter+のように自転車の軽快さよりも原動機付自転車のような、重厚感があるスタイルになるだろう。 パーソナルモビリティ https://www.youtube.com/watch?v=VtK0gkBUv4s 町中での近距離移動を想定した乗り物として知られているパーソナルモビリティ。一般的には自転車程度の速度が出る電動モビリティの事を指す。日本ではパーソナルモビリティの殆どが公道走行できない。日本のパーソナルモビリティで有名なのはWHILLだろう。次世代の電動車椅子のWHILLは、動画のように自動運転実験やシェアリング実証実験を行っている。 https://www.youtube.com/watch?v=tyuUQGztQrk   出典:ヤマハ また筆者が注目しているのは、ヤマハ・TRITOWNだ。停車時でも自立する立ち乗り型のパーソナルモビリティで、従来のキックボード型にはない安定感が期待できる。 パーソナルモビリティの問題点は、日本ではパーソナルモビリティに対する整備が無い事だ。これは、日本の道路事情も関係しているので一律に規制を緩めるわけにはいかないだろう。日本でもパーソナルモビリティを使用したシェアリングサービス「WIND(https://jp.wind.co/)」があるが、日本では原動機付自転車扱いになりヘルメットや免許証が必要だ。 また、既存の電動アシスト自転車の存在はパーソナルモビリティの最大の障壁になる。現行法でも運用でき、電池が切れても走行できる電動アシスト自転車は、パーソナルモビリティ普及の最大の壁になるだろう。 自動運転車 https://youtu.be/VG68SKoG7vE 世界中で注目されている自動運転車。動画のテスラのように安定した運転を行うのもあるが、現時点では様々な不安がある。また、自動運転を行うには非常に複雑なセンサーやソフトウェアが必要なので、一般的な自動車に搭載されるには時間がかかるだろう。しかし、運転技術や知識、補償が自動運転以下の手動運転が膨大にある現在、自動運転車が普及すれば手動運転車は保険料が膨大に上がり社会的に排除される可能性が高い。これはアメリカのスポーツカーブーム衰退の原因の1つに保険料高騰があるため非現実的な話ではない。 https://www.youtube.com/watch?v=eS5NopYqVIQ また、自動運転車は一般的な自動車よりも、公共性が高い自動車のほうが早く採用されるだろう。例えば、DenaのRobot Shuttleのは道路界の新交通システムだ。これは、線路を敷かなくてよく、自由に道を設定できるため従来の公共交通機関のハブ交通の役割も期待できる。 https://www.youtube.com/watch?v=qf2sqif60iA DeNAはRobot Shutteだけでなく、日産製電気ミニバンタクシーを使用した、自動運転タクシー「Easy Ride」の開発も行っている。こちらはRobot Shuttleとは違い、一般の手動運転車との混合での走行も可能。2020年代前半の本格サービスの提供に向けて開発している。 https://www.youtube.com/watch?v=Q_OH-EXyNmg 歩行者扱いの電動車椅子も自動運転化が模索されている。つくば市では2019年4月22日に産業技術総合研究所とスズキ株式会社の協力のもと、「電動車いすの自動運転」の実証実験を全国に先駆けて実施した。 自動車は社会の中心から外れるか 人間が生活を行う上で重要な3項目と言えば衣・食・住だろう。その中でも自動車やオートバイ、自転車などのモビリティは住環境の付属品にしか過ぎない。そして、世の中の人が望んでいるのは自動車を運転するのではなく、楽に移動したいだけだ。多くの地域が車社会になっているのは、あくまでも現時点の選択肢で楽に移動できるだけでしかすぎない。もし既存の自動車よりも安全で楽に移動できるモビリティが登場したら、殆どの人はそちらに乗り換えるだろう。 車社会(モータリゼーション)の復活はあるか?と聞かれたら筆者はNOと答えるだろう。東京ビッグサイトで行われた「TRAN/SUM」の講演を聞いたり、様々な資料を見た限りでは、先進国では従来型車社会から決別し、人に優しい誰でも移動できる社会を目指している。それは日本でも同じでこの流れは静かに動いている。シクロライダーもこの流れに関して定期的にリポートする。 島内でも高齢者による交通事故は発生しているが「免許を返納すると、ちょっとした買い物でも自分で行けないし、病院に行くのも不便になりそうだから、返納に抵抗があるとの意見が多い」という。そして「高齢者だって事故は怖いし、子どもに叱られながら運転をしたくはない。早く自動運転を実用化してほしい」という切実な声が上がった。 離島で考える地域交通のあるべき姿(前編)SIP市民ダイアログレポート