電動キックボードは坂道を上れない!? 急坂が上れない理由を考える

特定小型原付の登場により、様々な所で注目されている電動キックボード。ここ最近SNS上で注目されているのは上り坂を上ることができない車種がある事だろう。電動キックボードは坂道に弱いという噂が出ているが、なぜ、このようなことが起こったのだろうか。

一定の法律を守れば免許無しで運転できる特定小型原動機付き自転車の出力は法律で規定されており、最大定格出力が600Wと定められている。ただし、定格出力というのは安定して出力し続けることができるという値で、実際には瞬間的には定格出力以上の出力を出しても問題ない。例えば、原付ミニカーの「コムス」は、定格出力600Wだが最大出力は4000Wとなっており、実際には定格出力以上の出力を出すことができる。

しかし、電動キックボードのモーターは、最大出力も期待できないだろう。それはインホイールモーターの特性が絡んでいる。

モーターは基本的に大きければ大きいほど、モーターの出力やトルクが大きくすることができる。これは、モーター内部に歯車を複数搭載することで高パワーや高トルクを実現することができるため。しかし、インホイールモーターの場合は、モーターサイズの制約が大きいため高パワーや高トルクを出すことができない。

インホイールモーターを搭載した市販電動モビリティは、舗装路や街乗り向け電動アシスト自転車や、低価格の街乗り向け電動スクーターといった高出力や高トルクを必要としない用途の車種に搭載されている。

BESV JF1(リアインホイールモーター)

電動アシスト自転車やEバイクは、小型のインホイールモーターを搭載している。これは「Eバイク事始め」でも書いたが、電動アシスト自転車やEバイクのモーターというのはあくまでも補助で、人間の脚力とモーターパワーを合わせて走行するため、出力やトルクが少ない小型モーターでも問題ない。さらに多くの電動アシスト自転車やEバイクは変速機を搭載しているため、坂道など大出力や大トルクを発揮する場面では、軽いギアに入れることで失速することもなく走行することができる。

一方で、電動キックボードの場合は、電動アシスト自転車やEバイクよりも更に小型のインホイールモーターを搭載し、基本的に人力による補助なしの自走で移動する。また、殆どの電動キックボードは、ギアが搭載されていないため、坂道でも平地と同じギア比で走行することとなる。

電動キックボードは新しいモビリティとして注目されているが、現時点では車体の使用方法や特性などに限界があるため、坂道が多い場所で快適に使うことは厳しいだろう。

文:松本健多朗

関連記事

編集

Eバイクや電動アシスト自転車、自動車、アクティビティなどを紹介しているWebメディア。「Eバイク事始め 次世代電動アシスト自動車がよくわかる本」が好評発売中。

当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。

spot_img
spot_imgspot_imgspot_img