ボッシュ パフォーマンスラインCXスマートシステム(日本仕様)登場! 新型モーターの特徴を解説

ボッシュから、新型Eバイク用ドライブユニット「パフォーマンスラインCX スマートシステム」が登場した。

パフォーマンスラインCXは、ボッシュ製Eバイクドライブユニットの中でも、フラグシップモデルに位置するモデル。パフォーマンスラインCX スマートシステムは、2021年9月に海外で発表され、今回、日本国内に登場した。今回紹介するのは、ボッシュが製作した広報車。正式発表前に特別に試乗することができたので紹介する。この試乗記事を読む前に注意したいのは、広報車のサイズが小さい、公式発表前に広報車を破損による消失を行わない、試乗当時は機密車両のため走行場所を制限していたため、普段の5割以下の感覚で走行している。

今回搭載されていたスイッチは新型のLEDリモコンタイプ。カラーでアシストモードやバッテリー残量がわかるという利点があるが、左端に集約されたハンドルスイッチは、上下左右にボタンがあり、軽いタッチで反応するため、オフロード走行ではいつの間にか押してしまうことがある。スイッチの形状は出っ張っているが、今回のスマートシステムには、よりシンプルなミニリモコンタイプが用意されている。ディスプレイはKIOX300で、スマートフォンのような高精度カラーディスプレイを採用している。

パフォーマンスラインCX スマートシステムのモーター音はギューン系からヒューン系と大きく音質が変化している。パフォーマンスラインCX初期(75Nm仕様)と比較して明らかに音が静かだ。モーター音は走行中の風切り音やタイヤのロードノイズといい勝負で、ヤマハ PW-X3には劣るが優良ラインに達している。アシスト切れの速度はほぼ時速24キロでキッチリと切れて、パワー感やトルク感は、ヤマハPW-X3日本仕様とほぼ同等だ。

今回のパフォーマンスラインCX スマートシステムの売りは、アシストモードを入れ替えることができるということだ。パフォーマンスラインCXスマートシステムのアシストモードは、TURBO、SPORT、eMTB、AUTO、TOUR+、TOUR、ECOの7モードがあり、そのうち5モードを車体に入れることができる。今回は、新たに登場したTOUR+とAUTOモードを紹介する。

TOUR+モードは、パフォーマンスラインCXの特徴である可変アシスト「eMTBモード」のアシストをより穏やかにしたような可変アシストだ。基本的には平地では必要十分のアシスト力を提供しつつ、もっとパワーが欲しい所で踏んだ時にパワーを出す特性があり、一々アシストモードを切り替えなくて良い。ボッシュパフォーマンスラインCXのTURBO、SPORT、TOURモードのアシストは、発進時にグワっとアシストが出るような意図的な盛り上がり感があるイメージだが、TOUR+モードは舗装路からトレイルまで対応する扱いやすさがある。

速度をなるべく保つのを売りにしているAutoモードは、ダラダラとアシスト力を出すイメージで舗装路をダラダラと走るのに向いている。

一方で、踏んだ時とアシスト感覚が微妙にズレる感覚があり、写真のような落ち葉が積もっている滑りやすい場所では、実際には滑っていないが少し滑りやすいような感覚がある。このような場所は、eMTBやTour+で走行したほうが良いだろう。

パフォーマンスラインCXスマートシステムのAUTOモードは、ヤマハ・PW-X2/X3のオートマチックサポートのようにオフロード走行でも乗りやすくする特性とは違う。舗装路モードといったほうが正しい。

今回、試乗したモデルは容量750Wh「パワーチューブ750」を搭載している。気になったのが前輪荷重の大きさで、前輪の接地感はバッテリーの搭載方法の違いを加味していても、625Whよりもあきらかに大きく、コーナーではブレーキやペダリングのオン・オフ、体の動かし方を明確に行う必要があると感じた。

個人的な意見としてはTREK Railシリーズ、SCOTT GENIUS eRIDEなど、従来の500Whバッテリー、625Whバッテリーを搭載したE-MTBで慣れていたユーザーが、同じ感覚で曲がろうとすると前輪荷重の大きさを実感するのではないかと思う。YPJ-MT Proなど例外を除いて500WhバッテリーE-MTBから625Whバッテリー搭載E-MTBに乗り換えると、頭が少し重いと感じるが違和感なく走行できるが、625Whバッテリー搭載E-MTBから750Whバッテリー搭載E-MTBに乗ると前輪荷重の大きさに驚くだろう。他車を知らない人なら、こんな物かと思い普通に走ると思うが、500Wh、625Whバッテリーを搭載したE-MTBに乗っていて、750Whバッテリー搭載車に乗り換える場合、前輪タイヤの選択や空気圧調整、フロントサスペンション調整、前輪荷重の大きさを逆に活かした走りに変えるのを考えたほうがいいのかもしれない。

出典:ebike E-MTB All Mountain XMF 1.7 (fantic.com)

Eバイク業界ではバッテリーの大容量化が流行しているが、大容量バッテリーのEバイクは、車体設計で走りは大きく変わるだろう。例えば、ファンティックE-MTB 720Whバッテリー搭載車は、今回試乗した、パフォーマンスラインCXスマートシステム広報車と比較して、前輪荷重過大の感覚をあまり感じなかった。おそらく、前後異形ホイールで、バッテリーの全長を切り詰めた形状もあると思われる。700Whクラスのバッテリーを搭載するE-MTBは、車体の軽さで誤魔化しがきかないので車体設計が重要になるだろう。

750Whバッテリーのサイズは484x84x65mm。参考として容量500Whのパワーチューブ500は349 x84x65mmで、容量625Whのパワーチューブ625は415x84x65mm。750Whバッテリーは長く、重量も4.3キロと重い(パワーチューブ500は3キロ、パワーチューブ625は3.6キロ)ため、バッテリーをバッグパックに入れて背負う運用は非常に難しい。基本的に1バッテリー運用と考えるのがメインだろう。

スマートシステムで注意したいのが、従来のボッシュEバイクシステムと互換性が無いことと、世界市場ではスマートシステムの売りであるスマートフォン接続が2023年6月6日時点では、日本国内ではできないこと。実際、ボッシュスマートシステムアプリをAndroidの野良アプリ(公式のアプリケーションストア以外で提供しているアプリストア)から入れて、広報車との接続を試したが接続できなかった。現時点ではボッシュ側で接続できないようになっているとのこと。ボッシュは、日時は未定だが将来的にはスマートフォン接続に対応するとは表明している。

ボッシュ パフォーマンスラインCXスマートシステムのライバルは、ヤマハ PW-X3だろう。PW-X3のエクストラパワーモード特有のトルクの出し方など、PW-X3が勝っている部分もあるが、ボッシュ パフォーマンスラインCXスマートシステムのカラーディスプレイや新アシストモードなどPW-X3に勝っている部分が多くある。

また、2023年からは、オルベアからフルサスE-MTB「WILD」が、トレックからは「パワーフライFS」などが登場する。パフォーマンスラインCX スマートシステムは、スマートシステム接続機能が無いという不満があるが、日本投入時のパフォーマンスラインCXの欠点は潰している。現時点でもヤマハ PW-X3と同等のトップクラスのドライブユニットと言えるだろう。

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