自転車に限らず旅行では、陸路は新幹線・在来線などの鉄道や自動車、空路では飛行機が主流の一方、海路のフェリーはマイナーな旅行手段だ。遅くて時間がかかるため敬遠されがちなフェリーだが、上手く活用すれば意外と役に立つ旅行手段となる。今回は旅行手段として見た場合のフェリーの利点と注意点を紹介したい。

フェリーはきちんと食事を取ることができる

一般的な新幹線や在来線特急列車には、食事を取るための食堂車は無い。また、高速バスでは食事を取ることは難しい。一方、フェリーはレストランや軽食スペースがあるのが殆どだ。食事に関しては長距離フェリーだけでなく一部の短距離フェリーでも行っている所がある。例えば、桜島フェリーには「やぶ金」という名前のうどん屋がある。鹿児島から桜島まで15分と短いが乗客に好評で、現在は鹿児島中央駅前にも出店している。

桜島フェリー(参考)

長距離フェリーの食事は様々な種類があるが、多いのはバイキング形式。珍しい例を挙げると、東京~徳島~北九州を結ぶオーシャン東急フェリーにはレストランが無く、船内にある冷凍食品やレトルト食品を購入し電子レンジで温める方式を採用している。ラインナップは焼きそば、ナポリタン、キーマカレー、助六寿司、豚焼肉丼、さんまの塩焼き、エビスのいかめしなど幅広い商品がある。

オーシャン東急フェリー(参考)

きちんと睡眠を取ることができる・ゆったりと座ることができる

長距離フェリーの場合、航路にもよるが様々な船室がある。豪華ホテルの雰囲気がある家族やカップル向けの個室から、一人用のビジネスホテルタイプの個室、低価格とプライベートを両立したカプセルホテルタイプの部屋、低価格重視の雑魚寝タイプまで、予算と条件に応じて部屋を選べる。

近年、フェリー業界では新しく作られた新造船が増えている。新造船では低価格の雑魚寝タイプの部屋でも仕切りやカーテンを採用する船が増えている。船によっては雑魚寝タイプを廃止して、カプセルホテルタイプの部屋を一番安い船室にする所もある。

新潟~佐渡などの距離が短いフェリーでは、就寝用の船室が無く、雑魚寝タイプや座席タイプが多い。新幹線や在来線特急等の鉄道や高速バスと違うのは、ゆったりと座ったり胡座をかくことができる。また、船内を移動して気を紛らわすこともできる。

風呂やシャワーがある

長距離フェリーは宿代わりにもなっているので、一般的に風呂がついている。夜行高速バスにはトイレはあっても風呂やシャワーは無いため、ゆったりと過ごすのならフェリーのほうが有利だ。

フェリーの欠点はスピードとフェリーターミナルが都市部から離れていること

フェリーのわかりやすい欠点はスピードだ。例えば大阪南港~新門司港までを運行する名門大洋フェリーは12時間40分と長時間乗船する。また、フェリーターミナルは都市から離れている所が殆どだ。そのため移動時間に余裕を持って動かないといけない。

フェリーに乗る場合は輪行かそのまま乗るかどちらがいいか

フェリーに乗船する時、自転車を分解して袋に入れる輪行か、自転車を分解せず車両甲板に入るかどちらかの方法で自転車を入れる必要がある。

輪行の利点は大型荷物扱いで載せることができ、車両扱いよりも料金も安いことだ。ただし自転車を載せる時は歩いて載せないといけないため、その分の負担が体にかかる。

車両甲板に載せる時の利点は、自転車をそのまま載せることができるので自転車の分解の必要がないことだ。ただ、車両甲板に入る時はグレーチングがあるため注意が必要だ。特にタイヤ幅が細いロードバイクや小径自転車は不安定になりやすいので、輪行袋に入れたほうが安心だろう。

非日常だけでなく、動くホテルとして使うことができるフェリー

フェリーにはスピードが遅い欠点があるが、鉄道や高速バスと比較してゆったりと過ごすことができる利点がある。筆者は時間が十分ある旅をしていた時、積極的にフェリーを使い、船内で過ごして休息を取っていた。

ただ、航路に関しては少なくなりつつあるようだ。日本長距離フェリー協会を見ると、長距離フェリーの航路は大阪~九州航路や、新潟~北海道航路が多い。一方、東京発のフェリーは東京~徳島~北九州航路のみ。関東から北海道に行く場合は大洗から乗船しないといけない。少々寂しい状況となっているが、ゆったりと過ごすことができる船旅は、鉄道や高速バスとは違う楽しみがあるので、時間に余裕があったら楽しんではどうだろうか。