ルノーウルトラライト7の全て 評判からライバルまで解説

14インチ折りたたみ自転車のルノーウルトラライト7は、実売価格5万円台で重量7.4kg(ペダル、スタンドを除く)を達成した折りたたみ自転車として知られている。ウルトラライト7の登場により14インチ折りたたみ自転車が活性化している。今回は自分が所有しているウルトラライト7のインプレッションからライバル車の紹介まで書いていく。

ウルトラライト7のような14インチ折りたたみ自転車はどのような使い方が適しているか

ウルトラライト7等の14インチ折りたたみ自転車は近距離限定で歩きよりも速く移動したい人向けの折りたたみ自転車だ。この手の折りたたみ自転車は車体が軽いので、成人男性なら比較的気軽に持ち運びでき、折り畳み時の車体サイズも小さいため電車輪行でも邪魔になりにくい。

20インチ折りたたみ自転車と14インチ折りたたみ自転車の使い方は大きく違う。20インチ折りたたみ自転車は「自転車をメインに使う旅行で使うための自転車」で、14インチ折りたたみ自転車は「自転車をサブに使う旅行で持っていく自転車」ぐらいの違いがある。

筆者がウルトラライト7を購入してから、フリー切符を買ってウルトラライト7を持っていってふらっと旅行を行うようになった。仮に自転車が邪魔になっても中型コインロッカーに入れることが可能なため(折りたたみサイズ等は要確認)コインロッカーに入れて、徒歩での旅行もできるだろう。

コインロッカーに入れることができる折りたたみ自転車一覧

また、この手の14インチ折りたたみ自転車はコンパクトに折り畳むことができるので車載も容易だ。中型コインロッカーに入れることができる折りたたみサイズなので、荷室が小さいコンパクトカーやスポーツカーにも積むことができる。

例を挙げると、軽自動車+αの車体サイズでリアエンジン・リアドライブのため後部荷室の床面が高いルノートゥインゴの後席を折りたたまなくても2台積めたり、ポルシェ911の前トランクに搭載できる。ある意味自転車版モトコンポと言えるだろう。

ルノー・ウルトラライト7の利点と欠点

ウルトラライト7の利点は、車体重量7.4kgと軽量な所だ。公称重量7.4kgはペダル・スタンドを除いた重量だが、持った限りでは非常に軽いため嘘ではないだろう。ここまで軽いと、気軽に輪行できるので旅行で、なんとなく自転車を持っていくこともできる。折りたたみサイズも小さいので電車輪行から路線バス輪行、車載、コインロッカーに入れるなど歩行+αの使い方をするには非常に役に立つ自転車だ。

ギアは比較的大きいギアを装着しているので平地では予想よりもスイスイ走ることができ、ママチャリよりも速いスピードを出せる。また、14インチ折りたたみ自転車の割に漕ぐのをやめた時の空走時のスピードの維持が長く感じる。これは車体重量が軽いのと車輪のハブにシールドベアリングを採用しているためか、舗装が綺麗な道ではよく走るように感じる。上り坂は車体が軽いためか予想よりも上れる。ただ長い坂道でのんびり走れるのは難しいため、平地重視のルートを選ぶべきだ。

ウルトラライト7と低価格版のライト8は、14インチ折りたたみ自転車としてはホイールベースが長いため、比較的身長が高い人でも乗りやすく、安定性がこの手のクラスでは比較的良いと言われている。

欠点は段差の通過。14インチと車輪が小さく段差に乗り上げにくいため、小さい段差でも躊躇してしまう場面が多い。普通の大径車輪の自転車のように通過したら転倒する恐れがあるため段差の通過には注意が必要だ。

ハンドルポストは上下調整可能で幅広い乗車姿勢がとれそうだが、安定して走ることができるポジションは、スポーツサイクルのようにハンドルとサドルの落差が平行ぐらいのポジションしかない。これはチェーンステー長が非常に短くママチャリのようにアップライトな姿勢で乗ると、後輪に荷重がかかりすぎるためだと思われる。

車輪に採用されているスポークは前輪はアルミニウム後輪はステンレスを採用しているとのことで、スポークは13番と通常のスポークよりも太い。そのためニップル回しが入らない場合があるため、ニップル回しを買うときは注意が必要。

ウルトラライト7に装着されているシートポストは、軽量で車体重量の軽さに一役買っているが、シートポストの長さがあまり長くないため、身長が高い人はシートポストの交換が必要になる。

ウルトラライトのシートポストは溝が入っているが車体に装着されている溝付シムを外せば、34.0mm径のシートポストを装着できるが34.0mmのシートポストは少ない。DAHONやTernに採用されている33.9mmのシートポストはラインナップが多いのでシムを入れて使うのが一般的だが、33.9mm用シムを探すのが難しい。

カスタムに関しては特殊な部品を多く採用しているため、日本国内の正規輸入部品では上手くカスタムできない可能性がある。この手の14インチ折りたたみ自転車は、中国市場で人気らしく、中国の通販サイトでは専用の部品が沢山あるため、海外通販を使用して部品を調達しないといけない。

ライト8とウルトラライト7ならどちらを買うべきか

ルノーウルトラライト7には低価格版のライト8というモデルがある。ライト8はウルトラライト7と比較すると、重量1kg重い、溝なしシートポストを採用している、フロントギア46T、リアギアは11Tとウルトラライト7よりも軽めのギア(ウルトラライト7はフロント47T、リア10T)を採用している、カラーリングが3種類と豊富、という特徴がある。ライト8はAL-FDB140と名前に書いてあるが、DAHON OEM時代のFIAT AL-FDB140とは違うようだ。

ライト8を買う時に注意すべき所は車体重量1kgの違い。自分は最初、ライト8を買おうと思ったがライト8とウルトラライト7を持ち上げて見て、1kgの違いに驚いてウルトラライト7を購入した。

ウルトラライト7は多段変速化できるのか?


ウルトラライト7を多段化を行う場合、中国で販売されているBYA412(DAHON DOVE)用の外装3段変速用キットを搭載する方法が知られている。この方法は中国の通販サイトから購入するのが一般的で敷居が高い。

また、ウルトラライト7を購入して外装3段変速化するよりも、多段変速仕様の14インチ折りたたみ自転車を買うのが一番安い方法だ。2019年6月現在、14インチ折りたたみ自転車の多段仕様キットの入手は難しいので、3段変速仕様の自転車を購入するのがベストだ。

 

ブロンプトンとルノーウルトラライト7を比較する。

中型コインロッカーに入れることができる折りたたみ自転車として知られているルノーウルトラライト7。同じように中型コインロッカーにギリギリ入れることができる折りたたみ自転車にブロンプトンがある。

ブロンプトンの利点は、ルノーウルトラライト7よりも車輪径が大きい16インチを採用し、複雑な折りたたみ機構を採用していることだ。車輪径が大きく複雑な折りたたみ機構を採用するおかげで、高身長でも普通に乗車することができる。

ブロンプトンがルノーウルトラライト7に劣っている所は、車体重量が11kgを越える(スチール製部品を多用してこの重量で抑えることができるのは本当は凄いが)、ウルトラライト7よりも車輪径が大きいため発進時はウルトラライト7と比較すると普通の自転車に感じる所だ。

筆者はかつて、ブロンプトンを購入しようと思って試乗に行った時、外側変速仕様のブロンプトンS2に試乗した。この時、ウルトラライト7のようにネズミみたいなダッシュ感が無く、ウルトラライト7の感覚を期待して肩透かしを感じた。これは、車体重量と車輪径、ギア比が関係しているのだと思う。

ブロンプトンは折り畳みのシティコミューターでコミューターとしての性能は非常に高い。その一方、完成度を限界まで高くするために専用部品を採用したため高価だ。ルノーウルトラライト7はコストを抑えながら小さく折り畳むようにするため、車輪径を小さくした。これにより、段差の安定性やスポークの強度、乗車姿勢に欠点はあるが、車体価格が安価であることと、軽い車体と14インチの超小径車輪のおかげでネズミのようなスポーティな走りを得ることができた。ウルトラライト7とブロンプトンは折り畳みサイズは近いが、車体のコンセプトは違うので競合車種にはならないだろう。

後継モデル「ルノー・ウルトラライト7F」とはどんな自転車か?

ウルトラライト7の後継モデル「ウルトラライト7F」は、鍛造フロントフォークを採用し、見た目の質感を向上させた。また前後ホイールは六角レンチで脱着できる構造にしたため、パンク修理が簡単にできるようになった。購入するのなら後継モデルのウルトラライト7Fが良いだろう。

総評:合う人には合うが合わない人には合わない自転車

ルノー・ウルトラライト7に限らず14インチ折りたたみ自転車は、大径車と比較すると走りに癖があり、合う人には合うが合わない人には合わない自転車だ。ネット上ではウルトラライト7をやたら持ち上げるメディアがあるが、そのような記事を見たら無知だと思っていいだろう。14インチ特有の段差の弱さや不安定さは誰にでも薦めることができる自転車ではないからだ。自分は20インチのTern Link N8や20インチ小径車のASAMA BETAを持っているが、14インチのウルトラライト7はこれらの小径車の代替品にはならず、減車する気は無い。

一方、ウルトラライト7のような折りたたみ自転車が合ったら非常に気に入るだろう。「自転車をサブに使う旅行で持っていく自転車」では、これほど頼もしい自転車は無く行動範囲が大きく広がるからだ。購入するときはできるだけ試乗して走行特性を理解して購入するのを薦める。

ルノー・ウルトラライト7

14インチ折りたたみ自転車「ルノー・ウルトラライト7」のライバルで思い浮かぶのは、本家DAHON DOVE/DAHON DOVE PLUSだが、DAHON以外にもウルトラライト7のライバルは存在する。ウルトラライト7の兄弟車のルノー・ライトシリーズのライバルだろう。ここでは10万円以下で購入できる14インチ折りたたみ自転車を紹介したい。

ルノー・ライトシリーズ(14インチモデル)

ルノー・ライトシリーズには、20インチモデル、16インチモデル、14インチモデルと様々なモデルがラインナップされているが、一番ラインナップが多いのが14インチモデルだろう。実売価格3万円台で購入が可能なライト8から、重量7kgを切るプラチナライト6、外装3段変速を搭載したウルトラライト7トリプルといった様々なモデルが存在する。

ルノー・ライト8

14インチ折りたたみ自転車の中では、3万円台で購入できるのがライト8。本体重量は8.3㎏と、ウルトラライト7よりも重いが、一般的な折りたたみ自転車と比較すると軽量だ。手軽に超小径折りたたみ自転車ライフを楽しみたい人に向いている。

ルノー・ウルトラライト7 TRIPLE

ウルトラライトシリーズでは貴重な外装3段変速を搭載したモデル。多段仕様のキットは入手が難しいため、変速機付きモデルを購入したほうが良いだろう。

ルノー・ウルトラライト7 NEXT

ルノー・ウルトラライト7Fに、リアサスペンションを搭載したモデル。ウルトラライト7Fよりもホイールベースを長くしたため、直進安定性が向上している。タイヤは14×1.35と細い軽量タイヤを装備したことで、車体重量は7.5㎏と軽くなった。

ルノー・プラチナライト6

ウルトラライト7よりも軽い折りたたみ自転車が欲しい人向けのモデルがルノー・プラチナライト6。ルノー・ウルトラライト7よりも軽量なフレームやタイヤ、ステムを採用することで、車体重量6.8㎏を達成した。

ルノー・ミラクルライト6

プラチナライト6に、高級感がある特殊塗装に超軽量パーツを装備したモデル。車体重量は6.7㎏とプラチナライト6よりも軽くなった。

DAHON

DAHON DOVE(2019年モデルは廃盤)

折りたたみ自転車総合ブランドで知られているDAHON。DAHONの中でも14インチ折りたたみ自転車のDOVEは特殊な折りたたみ自転車で、元は中国市場向けの折りたたみ自転車とのことだ。中国市場では相当ヒットしているらしく、中国の通販サイトではDOVEの型式名「BYA412」と検索すると数々のBYA412の専用部品が登場する。ルノー・ウルトラライト7は、DAHONとは関係無いとのことだが、設計や折りたたみヒンジのデザイン等を見ると、BYA412シリーズの類似品と言っても良いだろう。

現在、日本国内でもDAHON DOVEを購入することができる。DOVEはウルトラライト7よりもハンドル~サドル間が短く、折りたたみサイズもウルトラライト7よりもコンパクトになる。フレームにはフロントラックが装着できる台座があるので、実用性を重視する人ならウルトラライト7よりもDOVEが良いだろう。

14インチ折りたたみ自転車 RENAULT ULTRA LIGHT7とDAHON DOVEを比較する

DAHON DOVE PLUS

Dahon Doveシリーズの中でも軽量仕様なのがDOVE PLUS。タイヤはDOVEよりも細い1.35インチを採用し、軽量化を行うことによってアルミフレームながら6.97kgを達成。DOVEには装着されている上下調節可能ステムや、フロントラック装着用台座は無い。ウルトラライト7よりも軽量なモデルが欲しいのならDOVE PLUSを選ぶべきだろう。

DAHON DOVE i3

14インチ折りたたみ自転車では珍しい内装3段変速搭載モデル。停車時でも変速でき、衝撃に強くメンテナンスフリーが売りの内装変速機を搭載している。欠点は重量で、車体重量9.5㎏と少し重い所だろう。

DAHON K3

スポーティ超小径折り畳み自転車 DAHON K3 ライバルの比較も

 

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