電動キックボードなどのシェアサービス「LUUP」を展開するLuupは8月5日、三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」のコンセプトモデルを発表した。年齢や性別を問わず“できるだけ多くの人が使える移動手段”を掲げ、2026年度中の複数地域での実証実験を目標に据える。車両区分は特定小型原動機付自転車で、16歳以上は免許不要。車道は最高20km/h、一部の歩道や路側帯では6km/hで走行できる。まずは8月25〜31日に大阪・関西万博の「ロボット&モビリティステーション」で一般初公開される予定だ。
開発はアイシンと共同、デザインはGKダイナミックスが協力。最大の特徴はアイシンの「リーンアシスト制御」だ。車速やハンドル角から車体の傾斜を自動補助し、三輪ならではの安定性と二輪並みの取り回しを両立させるという。Luupはアプリ連携により最高速度や走行補助の“パーソナライズ”も視野に入れる。車体サイズは長さ130cm、幅59.5cm、高さ120cm、重量は約60kg。既存のLUUPポートに駐輪可能な寸法に収め、IoTモジュールで遠隔管理にも対応させた。
背景には、同社サービスの利用者が20〜50代に偏る現状がある。免許返納後の移動や“最後の1マイル”の足として、より広い層に届く公共的なマイクロモビリティを目指すのが狙いだ。岡井大輝CEOは、各地域の声を聞きながら改良し、「将来的に“これが一番いい”という車両に統一する可能性もある」と構想を語る。
一方で現時点の課題は「コスト」。コンセプト段階ゆえ高スペックだが、量産やシェア導入に向け仕様の最適化と低コスト化を進めるという。2025年度は試乗会を重ね、姿勢制御の設定などについて幅広いユーザーの意見を取り入れていく。
発表直後からネットでも反応が広がった。「やっときたか。本命だ」と歓迎する声が上がる一方、「本当にいいものなら世界でも売れるのでは」と冷静に市場性を問うコメントも見られた。実証開始時期(2026年度)や法区分・最高速度といった基礎情報を押さえつつ、期待と慎重論が同居しているのが現時点の世論の空気だ。
Luupは近年、危険行動検知「LUDAS」やジオフェンシングといった安全対策を強化しており、ユニモでもその知見を生かす方針だ。新車両の投入で安全性・安定性・操作性を底上げしつつ、既存の自転車・キックボード・電動シートボードとあわせて用途に応じた“車両の最適解”を探る。同社は「街じゅうを『駅前化』する」インフラ事業の中核にユニモを位置づけ、公共交通の空白や高齢者の移動課題の解消に挑む。まずは万博での一般公開と試乗会を通じ、社会受容性の見極めと制度・インフラ側の磨き込みが問われる。
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