既存の自転車をE-Bike化する後付キット「CYC MOTOR X1シリーズ」を解説

サイクルモード東京2022のE-Bike関連の中でも異色だったのが「oldschoolmtb.jp」ブースだろう。このブースでは、既存の自転車をE-Bike化する後付キット「CYC MOTOR X1シリーズ」の展示、試乗を実施していた。

Cannondale SUPER Vをミニベロ仕様にした「Super Hooligan」

oldschoolmtb.jpは、後付けE-Bikeキット「CYC MOTOR」の日本代理店を行っている会社。アシスト比率は日本の規格であるJISD9115:2018へ対応したものを販売している。今回は、「CYC MOTOR X1シリーズ」を解説する。

(解説の前に必読)後付けE-Bikeキットの現行法や海外での事情に関して

CYC MOTOR X1シリーズを紹介する前に、後付けE-Bikeキットの現行法の解釈や海外での事情に関して紹介する。

日本国内では、小排気量のオートバイや電動アシスト自転車、人力自転車は製造して公道で走らせるのはさほど難しくない。

例えば、小排気量のオートバイ「ホンダ・モンキー」は長年にわたり、様々な会社からパーツが販売されており、カスタムを楽しみ人が少なからずいることで知られている。そのため、部品から組み立てて、ナンバーを取得して公道走行を行う人もいる。

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また、スクーターのパワートレインに自転車の前部分を装着し、理屈ではスクーターの改造車として原付登録した「殺人君」や、50CCオートバイ「ホンダ・NSR50」に250CCエンジンを搭載したカスタム、50CC格安スクーター「チョイノリ」に140CCエンジンを搭載し高速道路を走行する事例など、意外と自由度は高い。

電動アシスト自転車・E-Bikeの自作に関しては、日本国内に関しては、後付けE-Bikeキットで電動アシスト自転車やE-Bikeを自作するのは法律的には問題ないが、何かしらのトラブルが発生した場合、自作した電動アシスト自転車やE-Bikeが日本国内法に適合しているか証明する必要があると思われる。

ちなみに、E-Bikeの本場である欧州市場では、後付キットはグレーゾーンでマイナーな存在となっている。E-Mountainbike Magazineの”eMTBを自作するのは合法か?DIY ebikeに関する最も重要な情報と法規制のすべて”(原題:Is it legal to build your own eMTB? All the most important information and legislation regarding DIY ebikes)によると、欧州で後付キットが衰退したのは、取り付けキットをディーラーが装着すると、取り付け業者がCEマークを貼り、E-Bikeとして宣言してメーカーとして責任を負うリスクがあるためだ。

関連リンク

「eMTBを自作するのは合法か?DIY ebikeに関する最も重要な情報と法規制のすべて(原題:Is it legal to build your own eMTB? All the most important information and legislation regarding DIY ebikes)」 (E-Mountainbike Magazine) https://ebike-mtb.com/en/build-your-own-e-mtb/

欧州市場で行われているCEマーキング方式は、適合宣言を行った企業が自らCEマークを表示するもので、製品が適合していると確認したら宣言書にサインを行い、CEマークを表示することができる。

CEマーキングは自主認定のため、日本と比較して法律が緩いと思うかもしれないが、EU各国では、市場監視の取り締まりを行っており、CEマークの不正利用や構造上の不適合等、CEマークに適さない事実が発覚した場合は違反行為として処罰の対象となる。摘発された場合は、市場への出荷制限、販売の停止、市場からの撤収、不正メーカーの公開、稼働停止や、反則金の指示等が出される。また、適合宣言書にサインした人は拘置処置が行われることもある。

日本国内に関しては、後付けE-Bikeキットで電動アシスト自転車やE-Bikeを自作するのは法律的には問題ないが、グレーゾーンの物だと理解しよう。

日本仕様のように減退が行われているCYC MOTOR X1シリーズ

今回、展示、試乗されていたCYC MOTOR X1は36V電圧で出力は250W(Street Mode)、600W(Race Mode)、170ミリクランク、38Tチェーンリングの構成となる。出力は250Wと600Wの2種類があるが、定格出力ではなく最大出力のようだ。

今回、CYC MOTOR X1 Stealth を搭載したE-Bikeに試乗することができた。日本国内で販売するCYC MOTOR X1はJISD9115に準拠する日本仕様を販売すると謳っている。実際、今回試乗したモデルはきちんとアシストの減退があるので日本国内仕様だろう。

モーター作動時の音は、Bosch Performance Line CXのようなやや低音系。アシストに関してはStreet Modeの250Wは無難なパワーのアシストだ。一方で、Race Modeの600Wはパワフルだが、欧州仕様Brose Drive Sを搭載したFANTIC E-MTB(記事)のように、パワーバンドやトルクバンドが非常に太くなった感じはなく、日本国内仕様のように減退があるので、欧州仕様とは違う感覚だ。

Specialized Turbo Vado SL

個人的に気になるのが、E-Bike化を行った車体の劣化だろう。様々なE-Bikeの試乗やE-Bikeを試乗している人ならわかると思うが、E-Bikeは通常の人力自転車と比較して、車体に使われているパイプが太く、剛性も非常に高い。写真のSpecialized Turbo Vado SL(記事)のようなオンロード向けクロスバイクでも、昔のマウンテンバイクよりも太いパイプを使用しており、しなりを感じさせないほどの剛性を持っている。従来の人力自転車にCYC MOTORを搭載してE-Bike化を行う際、モーターパワーで車体に急激な劣化が発生する可能性を考えた方がいいだろう。

E-Bikeや電動アシスト自転車業界は、1に金、2に金、3に金、4に金、5に金の世界で、自動車やオートバイのように大企業が世界を動かしていると思っていい。後付コンバージョンキットを装着して、TREK Railシリーズ、Specialized Turbo Levo SL、YAMAHA YPJ-MT Pro、FANTIC XTF1.5 Carbon(記事)のような、本格的なE-Bikeと同等の性能を持つのは無理だろう。CYC MOTORは可変アシストが主流の中で可変がないトラッドなアシスト設計、多くの自転車に装着できるボトルタイプのバッテリーは252Whクラスと非常に容量が少ない、E-Bike専用車と比較するとヤワな車体に、E-Bikeのパワーを想定していないパーツなど、非常に大きな差がある。

CYC MOTORを購入する人は、単純に性能や費用対効果で購入して装着するのではなく、全てを理解して一種のロマンで買う物だ。もし、すべてを理解してCYC MOTORを装着するのなら、アルミ製やクロモリ製のマウンテンバイクに装着するのが良いだろう。特に、ちょっと古いフルサスマウンテンバイクならCYC MOTORを搭載すれば面白いかもしれない。

CYC MOTOR X1 Stealthの価格は12万円(税込、以下同)。36V 7Ah ボトル型バッテリーの価格は2万9700円。

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