国民生活センター 組み立てが必要な通信販売の自転車について注意喚起を実施 不完全な整備状態での使用は事故につながるおそれあり

独立行政法人国民生活センターは2022年3月29日、組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車を組み立てや整備が不完全の状態で使用することで発生する事故を防ぐため、消費者への注意喚起を行った。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「密」を避ける移動手段として、また、人との接触を避ける外出自粛時の気軽なレクリエーションとして、自転車への関心が高まっている。通信販売で購入できる自転車の中には中には組み立てが必要な状態のまま消費者に届けられ、消費者自身が別途組み立てや検査及び整備の手配を行う場合も存在する。また、専門知識を持たない消費者自らが組み立てを行い、不完全な整備状態で使用することで、重大な事故につながるおそれがある。

国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース「PIO-NET」では、2016年度以降の約6年間に、通信販売で購入した自転車に関連する危害・危険事例が206件あり、そのうち組み立てが必要な状態で届いた自転車を消費者が組み立て、使用していると推定される事例が少なくとも31件あるとのこと。

事例では前輪がついていない状態で届き、自分で前輪を取り付けたため。坂道を下る途中で段差に前輪が乗り上げた際に前輪が外れて、前に倒れて左腕の手首を骨折した事例や、装着済みのブレーキワイヤーが外れ、販売業者とトラブルに合う、購入店とは別の自転車店に持ち込んで整備を断られた事例を紹介している。

危害・危険事例206件のうち、危害に分類される事例90件の中で危害程度の内訳を調べたところ、1カ月以上及び3週間~1カ月に分類されるものが合計35件(39%)あった。この35件の危害内容については、腕などの骨折が12件。なお、未完成の自転車を消費者が組み立て、検査及び整備したと推定される事例31件のうち危害に分類される20件について、危害程度の内訳を調べたところ、1カ月以上及び3週間~1 カ月に分類されるものが合計5件あり、この5件の危害内容については、腕などの骨折が3件あった。

他にも、契約購入金額の内訳では、3万円以上5万円未満が61件(30%)と最も多く、次いで3万円未満の38件(18%)でした。また、価格帯別の車種では、3万円以上5万円未満では「電動アシスト自転車」が、3万円未満では「スポーティ車」が最も多くみられた。

国民生活センターは、過去3年以内に、通信販売で一部工具を用いた組み立てが必要な自転車を購入したという消費者500人(自転車技士及び自転車安全整備士のいずれの資格も有していない人に限定)に対して、商品購入・組み立て・使用などに関するアンケート調査を実施した。

通信販売で自転車を購入した理由は、「安かったから」「自宅に届けてくれるから」など、安価で店舗に出向かずできることをメリットと感じており、7割近くの人が自分1人で組み立てを行い、誰かに協力してもらった人も2割程度いた。また、自分1人または誰かに協力してもらって組み立てた人のうち2割が、組み立てができなかった、組み立てることができても不安があると回答した。

また、組み立て作業で困ったことでは、梱包材の処分や、取扱説明書の内容が理解できなかった、記載されていなかった、説明が不十分、組み立てに必要な作業スペースの確保が多く、組み立て作業の難易度について組み立てることができたと回答した人のうち2割が難しいと回答した。

他にも、自転車の利用者は防犯登録を受けることが法律で義務付けられているが、今回の調査の対象者では3割が防犯登録をしていないと回答。また、購入店から防犯登録の案内がなかったと回答した人が4割以上いた。

国民生活センターは、通信販売で入手できる一部に工具を用いた組み立てが必要な自転車に関して、商品を受け取ってから使用するまでの過程についてのテストを実施。テスト対象銘柄は、PIO-NETの契約購入金額別の車種の調査結果から、インターネット通信販売で、一部工具を用いた組み立てが必要と表示されていた「スポーティ車」3銘柄と、「電動アシスト付きシティ車」3銘柄を使用。商品受け取りや開梱は1人で持ち運ぶことや、箱を壊さずに自転車を取り出すことは困難と考え、自転車の組み立ての際は、具体的な締付トルクの記載がみられない商品がほとんどで、付属されている工具では、適切に締め付けることが困難と考えられている。さらに、あらかじめ組み付けられている部分にも、調整や修正が必要な箇所があったと論じている。

消費者へのアドバイスでは、組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車の組み立てには、自転車についての正確な知識が必要で、不適切に組み立てられた自転車に乗ると事故の危険がある事。購入する際には、どのような組み立てが必要なのか確認するだけでなく、購入後、組み立て方法について不明な点があれば販売事業者に確認する必要や、通信販売で購入した自転車であっても防犯登録の必要性などを語っている。

また、販売事業者への要望では、自転車を未完成状態で販売する際は、自転車技士等による組み立てが望ましいことを伝える必要性や、組み立て状態で販売することや、組み立てに係るサポート、点検、修理をするサービスの提供、自転車の防犯登録のさらなる周知を要望している。

関連リンク

国民生活センター 組み立てが必要な状態で届く通信販売の自転車 報告書本文  https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20220303_3.pdf

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