手首が痛くない新感覚バーグリップ「SPIRGRIPS+」インプレ サイクリングからレースまで使える待望のパーツ

サイクリングを楽しむ上で大きな問題と言えるのが手首の痛みだろう。手首の痛みに関してはフラットハンドルの自転車に多い。その理由は、フラットハンドルを握る時、手首を曲げた状態になり余計な負荷がかかるためだ。

手首の負荷を抑えるには、ドロップハンドルやバーエンドバー、手前に曲がったトレッキングバイク用のハンドルがある。

そんな中、新たに登場したのが、今回注目するSPIRGRIPS+(スピアグリップス プラス)だ。SPIRGRIPS+はグリップ形状を、腕の関節を正しく揃えることで、手首の位置を自然に修正するように設計されたハンドルバーグリップ。今回、M&Y TRADEの協力により、発売前のSPIRGRIPS+を実際に装着したインプレションを実施できた。

SPIRGRIPS+のデザインをチェック

今回のインプレションで使うSPIERGRIPS+は、22.2ミリ用のフラットハンドル用で、コンポジットタイプ、ブラックカラーを装着した。最初に実物を見た感想は「プレスリリースや3Dレンダリングよりもカッコいい」ということだろう。

プレスリリースの画像から

プレスリリースでの写真は、白とグレーのカラーという、販売予定のカラーリングには無いものが公開されている。白とグレーのカラーリングの写真を公開しているのは、全体的な形状がわかりやすくするためと思われるが、これのカラーリングに質感が非常に低く見える問題がある。SPIRGRIPS+はカーボン仕様もあるが、実際の品を見てみたい所だ。

外観をひと目で言うと、馬などの動物の耳を思いおこさせるデザインとなっている。大きさは大人の手で握って丁度いいサイズで、ハンドルに取り付けた状態では大きすぎる感じはない。ハンドルバー装着部分の使用幅に関しては20ミリほどあれば良いだろう。取り付けに関してはオープンクランプで、ハンドルグリップやシフトレバー、ブレーキレバーを外す必要が無いのは良いだろう。

SPIRGRIPS+はパッドの有無で違いが生まれる

SPIRGRIPS+は、本体に装着されているパッドを取り外すことができる。このパッドの有無で握っている時の感覚は大きく変わる。

パッドを装着した状態では、パッドが柔らかいため長時間握っていても、硬く感じる感覚が少ない。ずっと握って使うというよりは、握ったり手を添えたりして使ったり、長距離を走るロングライドにオススメだ。

パッドを外した場合は、パッドを装着した状態と比較してコンパクトになり握りやすくなる。その一方で、パッドが無くなるため硬い感触がある。その一方で、形状がよりコンパクトになるため、頻繁に握ってスポーツライドを楽しむひとならこちらのほうがベストだろう。

SPIRGRIPS+をインプレ 実際の使い勝手は?

SPIRGRIPS+にはハンドルバー31.8ミリ、22.2ミリ用の2種類を用意。素材はカーボンタイプとコンポジットタイプの2種類があり、カラーは8色展開している。今回のインプレションは22.2ミリ用のフラットハンドル用で、コンポジットタイプ、ブラックカラーとなっている。使用車種はSpecialized Turbo Vado SL 4.0だ。

まず、SPIRGRIPS+を使わない状態でブレーキレバーを握った場合。基本的には、街乗りや下り坂などはSPIRGRIPS+を使わないのが一般的。この状態では、SPIRGRIPS+は特に邪魔だとは思わなかった。

Bosch Purion(出典:Bosch E-Bike System)

E-Bikeに装着する場合、「Bosch Purion」など、ハンドル端に装着するオンボードコンピューターとの組み合わせでは、干渉する可能性があるため注意しよう。

そしてSPIRGRIPS+を使用する場合、手は写真の状態となる。この状態はサイクリングロードや上り坂で多用するだろう。

SPIRGRIPS+を使った状態を一言で表すとすれば、「ドロップハンドルのブラケットを握った状態」だ。フラットハンドルを握った状態ではできない、腕の関節が自然な位置に揃えることができ、肘の関節がリラックスした状態で走ることができる。この状態でも、ブレーキレバーに指が掛かっており、安心感は高い。

ドロップハンドルのブラケットを握った状態に近いため、長い平地ではリラックスして走ることができ、上り坂や加速したい場合は、力を入れて漕ぐことができ、今までのフラットハンドル車にあった「手首が痛い」「力が加わりにくい」という欠点は解消された。

SPIERGRIPS+の説明書から

SPIERGRIPS+の取付角度は、地面に平行に装着するか、少し上に上げて装着する方法がある。因みに極端に上に上げるのは駄目とのこと。

地面に平行に装着する場合、腕の力を使い引きつけるのより、手を添えて使うのを重視する人向け。また、この装着角度だとブレーキレバーに手がさらに届きやすい利点がある。少し上に上げて装着する場合、腕の力を使って引きつけて力強く走るのに向いている。

SPIRGRIPS+を購入する時、ブレーキレバー近くに、バーエンドバーを装着する事例と比較すると思うが、SPIRGRIPS+のほうが遥かに優れている。バーエンドバーはあくまでもハンドルバーの端に装着するための部品なので、非常に握りにくく、モノによっては走行中に手がすっぽ抜ける事もある。筆者も試したことがあるが直に外してしまった。SPIRGRIPS+に関しては独特の反り上がった形状のおかげで手がすっぽ抜けることは無く、非常に気に入っており、今の所、外す事は無いだろう。

今回、SPIRGRIPS+をSpecialized Turbo Vado SLというE-Bikeに使用した。E-Bikeに使う理由は、腕の力を使うことで電池消耗を抑えるためだ。安易にアシストを多用すると、バッテリーの消耗が大きくなるため、長距離でも電池消耗を抑えるために、SPIRGRIPS+のようなパーツが重要になるだろう。

フラットハンドルを多用するサイクリスト待望のパーツが誕生

フラットハンドル車でサイクリングを行う上で大問題だったのがハンドルが扱いにくいこと。ハンドルの問題は変速の段数なんかよりも遥かに重要な問題だ。特にハンドルは自転車、オートバイなど2輪車の設計に関わる根幹部分なので、安易にハンドルを変更すると、ハンドリングが極端に悪化する、ポジション設定が非常に難しい問題がある。

 

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例えば、手首が痛くなりにくいアップハンドルを装着すると、上半身が起き上がるため後輪荷重が増えるためリアセンターを長くする必要がある。また、ゆったりとした乗車姿勢にするためにトップチューブを長くする必要がある。アップハンドルでもハンドリングを安定させるためヘッドアングルも寝かす必要がある。これを知ればわかると思うが、ハンドル変更がいかに車体設計に関わるか理解できるだろう。

SPIRGRIPS+は、ドロップハンドルのブラケットを握った感覚を持ちつつ、ハンドル変更をしなくても良く、フラットハンドルを多用するサイクリスト待望のパーツだろう。また、サイクリングやロングライドを楽しむユーザーだけでなく、MTBレースを行う人にも朗報だ。公式サイトではマウンテンバイクレース参加者にも使われているらしいが、実際に使ってみると納得できる。

価格に関しては、一般販売予定価格はコンポジットモデルがMTB用(フラットハンドルタイプ)で1万3000円。ロード用(ドロップハンドルタイプ)で1万4000円。カーボンモデルがMTB用(フラットハンドルタイプ)で1万6000円。ロード用(ドロップハンドルタイプ)で1万7000円でいずれも税込。現在、Makuakeでは2021年4月2日現在、最大32パーセントOFFで購入できる。ハンドルで長年にわたり辛酸を嘗めている筆者からすると、1万円ちょっとでハンドル関連に決着をつけることができれば買いだと思う。

文:松本健多朗

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