デイリーアーカイブ Sep 15, 2025
マイアミ沖・キー・ビスケーン、電動アシスト自転車を「島内全面禁止」に
フロリダ州マイアミの沖合に位置するバリアアイランド、キー・ビスケーン(Village of Key Biscayne)が、島内の電動アシスト自転車(eバイク)および電動キックボードの全面禁止を継続する方針を決めた。WLRN パブリック ラジオ アンド テレビジョンによると、8月20日の村議会(評議会)では、成人の限定解禁を含む見直し案が僅差で否決され、2024年から続く「島内全域での電動マイクロモビリティ走行禁止」が維持された。可決は4対3。これにより、クラス1(ペダルアシスト)の低速型も含め、島内の公道でのeバイクは一律に違法となる。
同島では2024年2月、住民で教育者のメーガン・アンドリューズ氏(66)が、電動自転車に乗った12歳の少年と衝突して死亡する事故が発生。これを受け、村は2日後に緊急の全禁止措置を導入し、その後も段階的に延長・恒久化してきた経緯がある。2024年5月には2025年8月までの延長を視野に入れた条例が第1読会を通過、違反時の罰金(初回250ドル、再犯500ドル)と車両の一時押収などの執行手続きも整備された。
今回の採決では、成人に限ってクラス1のみを認める穏健案も議論されたが、評議会は最終的に現行の全面禁止を選んだ。米テック系媒体の報道によれば、警察当局は「成人の限定解禁」を提案していたものの、評議会は安全性を最優先に全面禁止を据え置いたという。いずれにせよ、決定により「島内のどこでもeバイクは不可」という、全米でも例の少ない厳格な体制が当面続く。
法制度面でも動きがあった。フロリダ州では従来、eバイクは通常の自転車と同様に扱われるのが原則だったが、2025年7月1日に発効した州法改正で、地方政府が年齢制限などのきめ細かな規制を設けられるようになった。キー・ビスケーンはこの権限拡大を受けてもなお、年齢緩和ではなく「全面禁止の継続」を選択した形だ。
地理的な特殊事情も判断に影響している。島内の大動脈であるクランドン・ブールバードは郡道のため、かつては自転車レーンの通行が合法と整理されていたが、2024年秋、マイアミ・デイド郡と村の間で「2年間の実験的協定」が成立。村が当該区間の運用ルールを独自に設計できる余地が広がり、島内の規制を事実上、一本化しやすくなった。こうした権限の明確化は、島全体での厳格な運用を後押ししている。
一方で、地域社会の意見は割れている。島内の自転車販売業者や一部の住民からは、「ヘルメット義務化や年齢制限など、段階的な規制で安全を確保すべきだ」との声が根強い。市民の移動手段としての有用性や渋滞緩和効果を評価し、「全面禁止は過剰」とする見解も少なくない。2024年の時点から、将来的な規制緩和に含みを持たせるべきだという論点は繰り返し提起されてきた。
今回の採決前後、南フロリダ広域ではeバイクや類似電動車両が絡む重大事故が相次ぎ、議論の緊張感は高まっていた。NBC Miamiによれば、マイアミ圏の幹線橋ではeバイクと自動車の衝突や、未成年が運転する電動ATVによる死亡事故が報じられたばかりで、世論の安全志向が改めて強まった格好だ。
国・州の大局では、eバイクは温室効果ガス削減や高齢者・子どもの移動支援などで期待が大きく、全米の多くの自治体は「利用促進」を軸に安全対策(速度抑制、歩道走行禁止、ヘルメット義務化、教育・取締り強化)を重ねる。だが、歩行者と車両が密に交錯する小規模コミュニティでは、実効的な取り締まり体制の構築が難しい現実もある。キー・ビスケーンは「迅速な安全確保」を優先し、全面禁止という“強い薬”を選び続けている。
観光・滞在者への影響も無視できない。島はリゾートや州立公園を擁し、マイアミ本土からリッケンバッカー・コーズウェイで結ばれる人気の行楽地だ。今後も島内では電動アシスト車の持ち込み・利用で取り締まりや罰金の対象になり得るため、訪問者は「ペダルのみの自転車」や徒歩、公共交通・タクシーなど代替手段の検討が必要となる。見直しの機運がないわけではないが、現状では「eバイクは使えない島」という現実を前提に計画を立てるのが賢明だ。
キー・ビスケーンの決定は、マイクロモビリティと安全・秩序の折り合いをめぐる全米の縮図でもある。交通弱者・低炭素移動の推進という大義と、狭い生活道路・観光客混在エリアのリスク管理。その板挟みのなか、同島は「ゼロトレランス」で臨む。今後、教育・取締り・インフラ整備を組み合わせた“中庸解”が再浮上する可能性もあるが、足元では厳格運用が続く公算が大きい。
スズキ、「エブリイ」特別仕様車 Jリミテッド を発売 レジャー志向の外装強化で差別化
スズキは8月20日、軽商用車「エブリイ」に特別仕様車「Jリミテッド」を設定して発売した。ベースは「エブリイ JOIN ターボ」で、趣味やレジャー利用を意識した装備を追加することで、従来の業務用途中心の印象から一歩踏み込んだ味付けを施している。
外観の変更点は視覚的なインパクトが中心だ。車体には専用デカールを配し、ホイールキャップをガンメタリック塗装に変更。ドアハンドル、フロントバンパー、ドアミラー、B/Cピラーをブラックで仕上げ、ヘッドランプは専用のLEDユニットを採用して「精悍さ」を強調している。
これにより標準モデルでは商用車の雰囲気が強かった外観が、流行のアウトドア仕様車の印象となり、個人ユーザーのレジャー需要に応える狙いが明確となった。
価格は2WD仕様が1,835,900円、4WD仕様が1,989,900円(税込)と発表された。標準のJOINターボに比べて専用加飾分の価格上乗せがあるが、装備の差分を考慮すれば競争力のある価格帯に収まっている。
仕様面では、Jリミテッドの出自がJOINターボであることから、後席両側ワンアクションパワースライドドアやフルオートエアコンといった快適装備を備える点はそのまま継承される。安全面でも「サポカーSワイド」対応や、国土交通省の「ペダル踏み間違い急発進抑制装置(PMPD)」認定車に該当するなど、普段使いの安心感を確保している。軽ワンボックスバンでも初期から機能が豊富なのは、JOINターボというグレードが、荷物を沢山運ぶ商用的な使い方だけでなく、通常の街乗りやドライブを両立したい人向けのグレードだというのもある。
では通常のエブリイ(JOINターボ含む)と何が違うか。根本的には走行メカニズムや室内基本仕様、パワートレインは同一であり、走行性能や実用性に大きな差はない。差分は主に外観の専用化と一部の外装・照明のアップデート、ならびに装備の「見せ方」である。つまり、仕事用ユースの効率重視モデルと比べ、見た目の個性やレジャーで映えるスタイリングを優先したモデルと言える
スズキは今回のJリミテッドを「仕事も遊びもこなす」選択肢として位置付け、軽バン市場での用途拡大を図る。軽商用車が個人の趣味用途へ取り込まれるトレンドを反映した一手であり、アウトドアや自転車、サーフィンなどのレジャーと組み合わせた提案が今後の販売戦略の柱となりそうだ。
エブリイ Jリミテッド|スズキ
Luup、三輪・小型の「ユニモ」発表 “誰もが使える”短距離モビリティで公共交通の隙間を埋める
電動キックボードなどのシェアサービス「LUUP」を展開するLuupは8月5日、三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」のコンセプトモデルを発表した。年齢や性別を問わず“できるだけ多くの人が使える移動手段”を掲げ、2026年度中の複数地域での実証実験を目標に据える。車両区分は特定小型原動機付自転車で、16歳以上は免許不要。車道は最高20km/h、一部の歩道や路側帯では6km/hで走行できる。まずは8月25〜31日に大阪・関西万博の「ロボット&モビリティステーション」で一般初公開される予定だ。
https://youtu.be/1V19-9JwR1o
開発はアイシンと共同、デザインはGKダイナミックスが協力。最大の特徴はアイシンの「リーンアシスト制御」だ。車速やハンドル角から車体の傾斜を自動補助し、三輪ならではの安定性と二輪並みの取り回しを両立させるという。Luupはアプリ連携により最高速度や走行補助の“パーソナライズ”も視野に入れる。車体サイズは長さ130cm、幅59.5cm、高さ120cm、重量は約60kg。既存のLUUPポートに駐輪可能な寸法に収め、IoTモジュールで遠隔管理にも対応させた。
背景には、同社サービスの利用者が20〜50代に偏る現状がある。免許返納後の移動や“最後の1マイル”の足として、より広い層に届く公共的なマイクロモビリティを目指すのが狙いだ。岡井大輝CEOは、各地域の声を聞きながら改良し、「将来的に“これが一番いい”という車両に統一する可能性もある」と構想を語る。
一方で現時点の課題は「コスト」。コンセプト段階ゆえ高スペックだが、量産やシェア導入に向け仕様の最適化と低コスト化を進めるという。2025年度は試乗会を重ね、姿勢制御の設定などについて幅広いユーザーの意見を取り入れていく。
発表直後からネットでも反応が広がった。「やっときたか。本命だ」と歓迎する声が上がる一方、「本当にいいものなら世界でも売れるのでは」と冷静に市場性を問うコメントも見られた。実証開始時期(2026年度)や法区分・最高速度といった基礎情報を押さえつつ、期待と慎重論が同居しているのが現時点の世論の空気だ。
Luupは近年、危険行動検知「LUDAS」やジオフェンシングといった安全対策を強化しており、ユニモでもその知見を生かす方針だ。新車両の投入で安全性・安定性・操作性を底上げしつつ、既存の自転車・キックボード・電動シートボードとあわせて用途に応じた“車両の最適解”を探る。同社は「街じゅうを『駅前化』する」インフラ事業の中核にユニモを位置づけ、公共交通の空白や高齢者の移動課題の解消に挑む。まずは万博での一般公開と試乗会を通じ、社会受容性の見極めと制度・インフラ側の磨き込みが問われる。
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