マンスリーアーカイブ 5月, 2018

補助ブレーキレバーのすべて 利点と欠点・お薦めの補助ブレーキレバーを紹介

ドロップハンドルやブルホーンハンドルのフラット部分に装着する補助ブレーキレバーは、賛否両論がある部品の一つだ。一般的にエントリーモデル用のロードバイクに標準装備されているのが多い。そのため補助ブレーキレバーは初心者が装着する物と認識されている部品の1つとなっている。 そんな補助ブレーキレバーだが、自分はドロップハンドルやブルホーンハンドルの自転車を所有するのなら、補助ブレーキレバーは絶対装着したい部品の1つと考えている。2018年にグラベルロード「Specialized Diverge E5」を購入し、ドロップハンドルを復活したが、購入時に敢えて補助ブレーキレバーをつけてもらったほどだ。今回は補助ブレーキレバーの利点と欠点について解説したい。 補助ブレーキレバーの利点 補助ブレーキレバーの一番の利点は、ハンドルのフラット部分にブレーキレバーが付くためポジションを増やすことができることだ。フラット部にブレーキレバーが付くことで、アップライトなポジションを有効利用することができるようになる。補助ブレーキレバーが有効な場所は、主に街中などを低速で走行する場面や、アップライトな姿勢で走る場面に向いている。補助ブレーキレバーが無くてもフラット部を握った状態で走行することはできるが、自動車や人が飛び出した場合では緊急時の回避を行う時に非常に不利になるため、補助ブレーキレバーを装着したほうが安全だ。 因みに補助ブレーキレバーに慣れると、補助ブレーキレバーが無いドロップハンドル/ブルホーンハンドルの自転車に乗れなくなる場合がある。自分もその1人で、街中、サイクリングロード、峠の下り等で補助ブレーキレバーを長年使用してきたおかげで、補助ブレーキレバーが無いドロップハンドル/ブルホーンハンドルの自転車は所有したくないと思うほど、補助ブレーキレバーの恩恵を受けている。 補助ブレーキレバーの欠点 補助ブレーキレバーには様々な欠点がある。有名なのはカッコ悪いという意見だが、カッコだけで語る人は話にならないので無視していい。なぜならばカッコ以上に重要な問題が隠されているのに気付いていないからだ。 最初に問題になるのがアクセサリーの装着が難しくなること。ハンドルに、スマートフォンやGPSホルダー・フロントバッグ・ライト・ベル等、取り付ける物が沢山あるが、それが殆どハンドルに集中するため、補助ブレーキレバーを装着してしまうと、アクセサリーを装着するスペースが少なくなってしまう。 また、補助ブレーキレバーは適当に装着すると制動力が下がる問題がある。ケーブルの長さを適当にするなど、考えてないで装着すると補助ブレーキレバーの戻りが悪くなるなど、補助ブレーキレバーの効きが悪くなるのだ。対策としてはアウターケーブルが適切な長さにしていること、補助ブレーキ本体の角度を調節すること、補助ブレーキを作動させる時はもう片方のブレーキワイヤーと接触しないようにする、ワイヤーのアウターケーブルと本体装着部にグリスやシリコンオイルを挿す等、様々な事を考える必要がある。 補助ブレーキレバーの種類 補助ブレーキレバーには様々な種類があるが、ここでは主に3種類に分けて紹介したい。殆どの補助ブレーキレバーは一般的な形状の物が殆どだ。 一般的な補助ブレーキレバー:テスタッチ・エイドアーム等 特に奇をてらっていない一般的な形状の補助ブレーキレバー。ほとんどのドロップハンドルやブルホーンハンドルに装着が可能だ。この形を活かして、ブルホーンハンドルの先端に装着する方法もある。主なブランドはTESTACH・TEKTRO・PROMAX等。価格も2,000円から低価格で購入できる。 Dixna ジェイクルーレバー 通常の補助ブレーキレバーよりも、ブレーキレバーの形状が大きく、ドロップハンドルのショルダー部分でもブレーキが効くのを売りにしている。通常の補助ブレーキレバーでは手が届かない場所でもブレーキをかけたいと思う人に向いている。 ダイアコンペ DC165-EX ブレーキレバーと補助ブレーキレバーが合わさった商品。これは昔のランドナーなどに装着されていたブレーキレバーを意識して作られた物とのこと。補助ブレーキレバーを取り外しての使用はできないとのことだ。 シマノ・GRX BL-RX812 グラベルロード用コンポーネント「シマノ・GRX」で用意されている補助ブレーキレバー。貴重な油圧ブレーキタイプだ。

【未発売車種】ブリヂストン・プロトタイプ3輪自転車を試乗した感想

2018年4月25日、東京都小平市にあるブリヂストン技術センター・Today館で、開発中の新型三輪車に試乗するイベントに参加した。今回のイベントは、開発者の解説・ブリヂストン技術センター・Today館の駐車場をコースにして2週するタイムトライアルや試乗が行われた。今回、この新型三輪車がどういう自転車なのか解説していきたい。 ブリヂストン・プロトタイプ3輪自転車はどういう自転車か? ブリヂストン・プロトタイプ3輪自転車は、左右スイング式の前2輪セミリカンベントの設計を採用した自転車だ。前2輪はサスペンションが無いリジッドとなっている。今回の3輪自転車の試乗イベントでは、直線での試乗、特設コースを2週するタイムトライアル、空いている場所で初期モデルの試乗を行うことができた。 自分はリカンベントを購入した経験はなく、試乗したリカンベントは自転車は豊田トライクとTartaruga Type-Fの2種類しかないのを考慮してほしいが、試乗した感想は、「直線をまともに走るのすら難しい」と思った。プロトタイプ3輪自転車を試乗した人を見ると、乗りこなせない人と乗りこなせる人に分かれていたが、開発関係者によると自転車に乗り慣れている人ほど乗りにくく、逆に自転車に乗っていない人は乗りこなしているとのこと。因みに、今回試乗したプロトタイプ3輪自転車は、意図的に乗りにくくセッティングしたと言っており、とある開発関係者の1人は「あの状態では自分も乗りこなせない」と語っていた。個人的には、乗りやすくした仕様にも乗ってみたかった。 素人ながら、乗りにくいと思った理由は3つある。前2輪がサスペンションが無いリジット仕様となっており、路面が僅かに斜めになっていると、反応してハンドルがとられそうになる問題が1つ。サドルが車体と連動して左右スイング式となっていて、ハンドルが取られると車体も斜めに傾くが、体も一緒に傾くため車体をまっすぐに戻そうとして、ハンドルに頼ろうとするが真っ直ぐに戻らないのが2つ。車体がどこまで傾かせると倒れるのかわからないため、挙動に敏感になりすぎてまっすぐ走るのが難しいのが3つ目だ。 開発者いわく、コーナーを曲がる時はリーンアウト(自転車の傾きに対して上半身をアウト側にずらす姿勢)ぎみにして曲がるのがコツと語っていたが、プロトタイプ3輪自転車のように、前に脚を伸ばした乗車姿勢は、サドルにしっかりと座って運転する乗り物と体に染み込んでいたため、リーンアウトを意識して運転しようとしても運転できなかった。 素人ながら改善を考えるのなら、車体が斜めになっても車体が中心に戻りやすい機構を採用するのがいいのではないかとおもう。例えば、ドライブトレインとサドル部は傾かせない設計にしてステアリングユニット周辺を傾かせるとか、スイングユニットに車体が傾いても戻りやすい機構を搭載するのがベストだと思う。 プロトタイプ3輪自転車と豊田トライクとの違いは? ブリヂストンのプロトタイプ3輪自転車を見て、真っ先に思い浮かぶのが豊田トライクだろう。今回のイベントで複数の開発関係者と話すと豊田トライクは全員が知っており、開発の参考として試乗したと語っていた。どうやら様々な3輪自転車に試乗し、敢えて他社と被らない機構にしたとのことだ。 https://www.cyclorider.com/archives/21024 今回の試乗ではブリヂストンのプロトタイプ3輪自転車と豊田トライクを比較しようと思ったが、ブリヂストンのプロトタイプ3輪自転車は現時点では市販化は不明。市販化目前の豊田トライクとは比較できないため、ブリヂストンのプロトタイプ3輪自転車が様々な欠点を解決した場合と仮定して豊田トライクと比較してみる。 豊田トライクとプロトタイプ3輪自転車の大きな違いは前2輪機構だと思う。豊田トライクは自立せず停車時に足をつく必要があり、通常の自転車の乗りやすさにプラスして積載性などを加えた3輪自転車だ。一方、プロトタイプ3輪自転車は自立して停車時は足をつく必要が無いという特徴を持っている。 プロトタイプ3輪自転車が目指す所は、次期型のミンナでは無いかと思う。ミンナとは、ブリヂストンの前2輪型3輪自転車で、誰でもあんしん自転車というキャッチコピーで売られていて、自転車が運転できない人のための自転車として知られている。ミンナの商品紹介サイトでは警告が載っており、ミンナは時速は5km以下の低速での利用を推奨している。時速5kmでは歩きよりは少しマシなレベルだ。せめて時速10km以上出すことができれば良いのではないかと思う。 今回のイベントで一番凄いのは、一般客にプロトタイプの自転車を試乗させたことだと思う。市販化が不明瞭な乗り物を公開して一般ユーザーに試乗するイベントは事故のリスクが高い。実際に関係者と話した所一部の人から事故の危険性などで反対意見があったとのこと。今回のイベントでは事故が無く好評の内に終わったので、今後もこのようなイベントを行ってほしい。