THIRDBIKES FESMOTOR 10万円台の本格クロスバイクタイプE-Bikeの実力は?【レビュー】

E-Bikeを購入する際、気になることと言えば価格だろう。E-Bikeはモーターやバッテリーといった電気関連の部品が装備されているため、従来の自転車よりも高価だ。また、E-Bikeの主要市場である欧州では、プレミアムなマイクロモビリティとして人気があり、大手ブランドのE-Bikeだと40万円台からスタートなのが一般的だ。そのため、日本でも大手E-Bikeの価格は30万円台から40万円台の価格がスタートラインの場合が多い。

そんな中、貴重な10万円台のE-Bikeとして登場したのがTHIRDBIKES FES MOTORだ。THIRDBIKESは、ホダカの自転車ブランド。「ファン」「イージー」「セーフティー」を大切に考え、「あらゆる人が気軽に楽しめるスポーツバイク」をコンセプトにしており、低価格の街乗り用スポーツ自転車をラインナップしている。

FES MOTORは同ブランドで初めてのE-Bike。BAFANG M200ユニットや、脱着可能なインチューブバッテリーを搭載し19万8000円(税込、以下同)と、低価格で登場したことで注目されている。今回、THIRDBIKES FES MOTORを借りることができたので、レビューしよう。

THIRDBIKES FES MOTORの車体をチェック

最初にTHIRDBIKES FES MOTORの車体をチェックしよう。アルミフレームを採用した車体は、脱着式のインチューブバッテリーを採用。この価格帯の電動アシスト自転車・E-Bikeは、一般的に外付け式の出っ張ったバッテリーを採用していることが多いため、10万円台ですっきりとしたデザインは貴重だろう。

バッテリー容量は36V 10.4Ah 374Wh。コスト削減のためかフレームサイズは1種類のみ。シートポストも一番下まで下げることができるように、短いシートポストが装着されている。身長175センチメートル以上の人は、別途シートポストを購入することをオススメする。

ギアはシマノ・ターニー 外装7段変速でボスフリーを採用。ブレーキは機械式ディスクブレーキ。

ヘッドライトはHapysonで、パナソニックの電動自転車用ライト、バッテリーライト等を製造していた会社。ディスプレイはBAFANGのLED表示タイプ。LEDでアシスト力の強さやバッテリー容量を表示する低価格タイプとなっている。

コスト削減で安い部品を装備しているが、抑えている所は抑えているパーツ類

E-Bikeの本場である欧州市場では、大手ブランドのE-Bikeは40万円からスタートするのが一般的だ。日本では高価格だと思う人が多いが、ドイツでは、これだけ高価なE-Bikeがオートバイの10倍以上の年間200万台の販売台数を達成(記事)している。大手ブランドのE-Bikeの価格は、本場欧州市場の動向などから見て、値上がりはあると思われるが、値下がりはありえないと思って良いだろう。

そのような状況から見るとTHIRDBIKES FES MOTORの19万8000円は非常に安い。他社の類似モデルでも、10万円台でクロスバイクタイプのE-Bikeがあるが、そのようなE-Bikeは、ホイールにモーターを装備したインホイールモーターを採用しているのがほとんどだ。

THIRDBIKES FES MOTORに搭載されている「BAFANG M200」はBAFANGが製造するミッドモーター「Mシリーズ」のエントリーモデル。車体中央部に装着し、クランクにアシストを加えるミッドモーターは、重量配分の適正化、モーターが大きくすることができるため、出力向上を行うことができるなど、様々な利点がある。そのため、Bosch、Shimano、Yamaha、Brose、Specialized SL(MAHLE)など、大手プレミアムブランドのE-Bikeがミッドモーターを採用している。

一方で欠点は、モーター単体の重量が比較的重い、構造が複雑なのでモーターの価格が高価になること。THIRDBIKES FES MOTORのBAFANG M200モーターの価格は公表されていないが、恐らくその辺を走っている安売り電動アシスト自転車と同じか、それ以上に高価だろう。

某社いわく「我が社はBAFANG M200を搭載して、この価格に抑えるのはできない」と言わしめたほど安いTHIRDBIKES FES MOTORだが、実際に見ると、ブレーキレバーは本体にプラスチックを採用している廉価版を装着しているなど、安いパーツを採用している。ただ、タイヤはブランド名は不明ながら、E-Bikeの走行にも耐えることができる硬めのタイヤを装備しており、抑えている所はきちんと抑えている。

長距離を走ると馬脚を表すFES MOTOR

今回、THIRDBIKES FES MOTORを街乗りからヒルクライムまで試してみることにした。FES MOTORに搭載されているモーター「BAFANG M200」のスペックは定格出力250W、最大トルク65Nmを発揮する。モーター音は無音クラスで静かなのが特徴だ。

BAFANGはモーターは供給するが、アシストのチューニングはメーカー独自で設定できる。THIRDBIKES FES MOTORのチューニングに関しては、長距離を走ると馬脚を表していると感じた。

FES MOTORのチューニングを言葉で表すと、「いきなり発進させないように弱いアシストで発進し、そのまま弱い踏力トルクの状態で漕ぐと弱いアシストで走る。さらに踏力を強くすると、モーターが力強いアシストが必要だと判断し、アシスト力を増やす」という感覚でアシストを行うようだ。

E-Bikeで時速20キロ以上で走行し、そこからさらに加速する場合、人間の脚はトルク重視で踏んで加速するより、脚を高回転で回してパワーを出したほうが速く走ることができる。この時、モーターは脚を高回転で回しており、踏力トルクが少ないため、FES MOTORのモーターは「いきなり発進させないように弱いアシストを作動させ、そのまま弱い踏力トルクの状態で漕ぐと弱いアシストで走る」と判断しているようだ。そのため、平地では他のE-Bikeと比較して、時速20キロ以上で走行する場合のアシスト力が弱い。

 

「いきなり発進させないように弱いアシストを作動させ、そのまま弱い踏力トルクの状態で漕ぐと弱いアシストで走る」というアシストチューニングで一番問題なのが、長い上り坂を走る場合だ。

今回、総距離約58キロ、獲得標高1618メートルのヒルクライムコースである青梅駅から柳沢峠までテストで走行した。

このような長い上り坂を走る場合、弱い踏力トルクでペダルをクルクル回すようにして上るのが一般的。これは、強い踏力でトルクをかけ続けると人間が直ぐに疲れてしまい走れなくなるのと、弱い踏力トルクでペダルをクルクル回すと脚力側のパワーが強くなる。出力(w)の式「2π xトルク(Nm)×ケイデンス(rpm)/60」を計算すれば直ぐにわかるだろう。

しかし、FES MOTORの場合、弱い踏力トルクでペダルをクルクル回すようにして走ろうとすると「そのまま弱い踏力トルクの状態で漕ぐと弱いアシストで走る」と判断し、弱いアシスト力で走ろうとする。今回の柳沢峠ヒルクライムでは、今までのE-Bikeでは、比較的アシスト力が弱いモードで走る場面でも、一番パワフルなモードを使わざるをえないことが殆どで、頂上まであと5キロの地点で電池切れとなった。

なぜ、このようなアシストチューニングになったのか推測すると「平地のみでチューニングを行った」「初心者向けで発進時の飛び出しを抑えている」だと思われる。「初心者向けで発進時の飛び出しを抑えている」に関しては、THIRDBIKESのコンセプトである「ファン」「イージー」「セーフティー」を意識しているのだろう。

可能ならアシストチューニングを「”時速0キロからの発進では”いきなり発進させないように弱いアシストで発進し、そのまま弱い踏力トルクの状態で漕ぐと弱いアシストで走る。さらに踏力を強くすると、モーターが力強いアシストが必要だと判断し、アシスト力を増やす。”走行中はいきなり発進させないように弱いアシストで発進するアシストはキャンセルし、通常のアシスト力を作動させる”」と、複雑な条件設定にすれば、飛び出し抑止とスポーティなアシストは両立すると思われる。

また、シンプルな解決方法としては、アシストチューニングを通常の仕様と同じにしつつ、ブレーキを握った時にアシストを遮断する「ブレーキカットオフ機能」を入れる方法も考えられる。

なぜ、THIRDBIKES FES MOTORのアシストチューニングが悪いと明確に言うことができるのは、THIRDBIKES FES MOTORと同じモーター「BAFANG M200」を搭載した「ESR VENTI」(記事)に乗っているからだ。

ESR VENTIのBAFANG M200(ESRチューニング)は、Bosch Active Line PlusやShimano STEPS 6180を上回り、YAMAHA PW-SEに迫る大手ブランド並のチューニングを行っており、THIRDBIKES FES MOTORよりも1歩、2歩先を行くチューニングを行っている。THIRDBIKES FES MOTORにESR VENTIのアシストチューニングを入れれば名車確定だろう。

アシストチューニングを改善すれば大きく化けるTHIRDBIKES FES MOTOR

THIRDBIKES FES MOTORは、モーターのアシストチューニングだけを改善すればオススメできるE-Bikeになっただろう。10万円台を実現するために、車体サイズは1種類しかない、細かいパーツがチープなどの欠点があるが、バッテリー容量は374Whと比較的大容量で、モーター単体の実力は高いBAFANG M200を搭載。車体性能自体もこの価格では不満は感じない。

評価を落としている全ての元凶が、コスト削減とは関係ないアシストチューニングで、この部分を改善しないと大手を振ってオススメすることはできない。現在のTHIRDBIKES FES MOTORは、街乗り電動アシスト自転車止まりの性能だが、それなら、3年間盗難補償や前かごなどのオプションがあるブリヂストンサイクル・TB1eやパナソニック・ハリヤ、ジェッターを選ぶ人が殆どだろう。

ただ、これを逆に考えると、アシストチューニングを改善すれば、評価ががらっと変わる。ESR VENTIレベルのアシストチューニングを搭載すれば、オススメできる1台となる。THIRDBIKES FES MOTORは早急にマイナーチェンジを実施したほうが良いだろう。

THIRDBIKES FES MOTORのスペック

  • フレーム: アルミ
  • フロントフォーク:アルミ
  • 重量:-
  • ブレーキ:機械式ディスクブレーキ
  • ギア(前):
  • ギア(後): 14-28t ボスフリー
  • フロントホイール:700C
  • リアホイール:700C
  • タイヤ: 700x32c
  • ドライブユニット:BAFANG M200(定格出力250W、最大トルク65Nm)
  • アシスト方式:ミッドドライブ
  • バッテリー:36V 10.4Ah 374.4Wh
  • 充電時間:約6.5時間
  • アシストモード:5段階
  • 航続距離:最大130キロ

文:松本健多朗

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