電動アシスト自転車やE-Bikeの型式認定とはどういう物なのか? 欧州市場との違いは?

電動アシスト自転車選びでよく言われているのが型式認定を通した自転車を選ぶことだが、型式認定とは一体どういうものなのか。

型式認定とは、電動アシスト自転車が道路交通法などに規定されている基準を適合しているのを表す制度で、日本交通管理技術協会の型式提出書類の項目を元に試験審査を行っている。この評価は、単なる実機評価だけでなく、品質保証体制や、製品の組み立ての概要、自転車の取り扱い説明書、改造防止等についても審査しているようだ。

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電動アシスト自転車の型式認定は任意なのが実情だ。実際、電動アシスト自転車の型式認定対象品検索を見ると、有名な電動アシストユニットを搭載していても、型式認定を通していないのは存在する。筆者が知る限りでは有名なのはSpecialized Turbo SLシリーズ全車で、型式認定対象品検索で調べても表示されない。

また、一般的にドライブユニットを供給するサプライヤーは、部品メーカーでしかなく、自転車メーカーが費用と人的リソースを割いて、型式を取得している。某有名ドライブユニットサプライヤー広報担当者曰く、型式認定に関しては、型式に関わる費用を払わない代わりに、完成車メーカーに型式取得の指示(強制)は行っておらず、その権限も無いとのことだ。

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電動アシスト自転車の型式認定の取得に際しては、アシスト比等の電動システムに関わる箇所の検査だけでなく、完成車に対する企業としての品質管理体制や、取り扱い説明書等も重点的に検査されている。

これは、型式認定と言うものは、悪質な企業が粗悪な電動アシスト自転車を売りつけようとしてないかどうかという目線で審査が行われており、品質保証しないような悪質な企業、粗悪な自転車を摘発する目線で審査しているとのこと。しかし、悪質な企業ほど型式を取得しない為、摘発できていない実情で、現時点では、全国に販売店を展開する非常に真面目な企業が、”優等生”だと公的な証をもらっているのが現状のようだ。

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型式認定を取得しない電動アシスト自転車の欠点とは

ROCKA FLAMEは型式認定を取得している。http://www.yellowsoul.jp/new/2020-06-02-132552.html

電動アシスト自転車の型式認定は取得しなくても良いのが実情だが、多くの自転車メーカーは型式認定を取得している。それは何故か。

型式認定の取得でよく言われているのが、万が一事故が発生した場合、法律に適合した電動アシスト自転車だと示すことで、トラブルの発生を抑えること。

他にも、型式認定を取得することで自転車店で整備を受けることができる。サイクルベースあさひ等、自転車店によっては型式未取得の自転車は整備しない方針を示している所がある。

Specializedは型式認定を取得していないが、長年のブランドの積み重ねで型式認定が無くても支持されている。

また、型式認定を取得していないと製造元が信頼できないという話もある。新興企業が自転車販売店に信頼を得るために型式認定を取得する話も聞くことがあり、実際、とあるE-Bikeブランドは、型式認定を取得した後は自転車販売店の取り扱いが増えたという話を聞くこともあった。

因みに、筆者も新興の電動アシスト自転車やE-Bikeを紹介する際の選定で型式認定は参考にしており、型式認定を取得していない某ブランドの日本仕様街乗りE-Bikeを紹介する際、本当に日本仕様なのか確認するために、そのE-Bikeに搭載されているドライブユニットのサプライヤー担当者から、わざわざ確認を取っていた。

ヨーロッパではCEマーキング(自主認定)方式を採用している

E-Bikeの本場である欧州市場では、CEマーキング方式を採用している。これは、その製品がEU指令の要求事項に適合していることを表すため、製品にCEマークを表示する制度のこと。欧州市場では電動アシスト自転車は、自転車という扱いのため型式認定を免除しCEマーキング方式を採用している。そのため、Specialized S-WORKS Turbo Levo フレームキットのように、大手メーカーからE-Bike用フレームキットを展開していることもある。

Specialized S-WORKS Turbo Levo フレームキット 出典:https://www.specialized.com/de/de/s-works-turbo-levo-frameset/p/199111?color=318060-199111

CEマーキング方式は、適合宣言を行った企業が自らCEマークを表示するもので、製品が適合していると確認したら宣言書にサインを行い、CEマークを表示することができる。

CEマーキングは自主認定のため、日本と比較して法律が緩く感じると思うが、EU各国では、市場監視の取り締まりを行っており、CEマークの不正利用や構造上の不適合等、CEマークに適さない事実が発覚した場合は違反行為として処罰の対象となる。摘発された場合は、市場への出荷制限、販売の停止、市場からの撤収、不正メーカーの公開、稼働停止や、反則金の指示等が出される。また、適合宣言書にサインした人は拘置処置が行われることもあるとのこと。因みに、CEマーキングで違反が発覚し摘発された事例はRAPEXで確認できる。

追記記事

電動アシスト自転車・Eバイクの防犯登録は型式認定が必要になるか?課題も紹介

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