軽トラックのような電動アシスト3輪自転車「KAITO」はどんな自動車か

人力にモーターの力で補助する電動アシスト自転車と言えば、一般車(ママチャリ)タイプや、E-Bike(電動アシストスポーツサイクル)を思い出す人が多いだろう。しかし、商用電動アシスト自転車というタイプを思い浮かべる人は少ないだろう。

商用電動アシスト自転車には、一般的な電動アシスト自転車を頑丈にした物から、沢山の荷物を運べる3輪タイプまで様々な物がある。今回、注目した電動アシスト3輪自転車「KAITO」軽トラックのような実用性を重視した商用電動アシスト自転車だ。

出典:https://alumisdendo.jp

公式サイトの制作秘話を見る限りでは、年配者が畑や近所へ出かけるときに使う軽トラックの代わりをイメージして作られた電動アシスト3輪自転車のようだ。

開発秘話によると、軽トラックを使用していた年配者が、年齢とともに諸事情で運転させてもらえなくなる人が多く、乗れる車両がシニアカーのみという状況を見て、「なにかほかに便利な乗り物はないのだろうか」と考えていたようだ。そこで、中国へ海外出張したときに見た三輪車を見て 製品の開発が始まったとのことだ。

日本ではブリヂストンサイクルやヤマハ、パナソニックといった大手電動アシスト自転車会社も電動アシスト3輪自転車を製造しているが、KAITOと何が違うのかと思う人もいるだろう。

KAITOは、これら大手会社の電動アシスト3輪自転車と、KAITOのほうが重い荷物を積める所だ。例えば電動アシスト3輪自転車「ヤマハ・PASワゴン」の積載重量は17kg(リアバスケット)と、軽い荷物しか積めない。一方、KAITOの積載重量は60kgと、大手の電動アシスト3輪自転車よりも重い荷物を運べる。また、シニアカーのように方向指示器やストップランプが装備されており、シニアカーに近い感覚で運用が可能だ。

また、KAITOは、年配者だけでなく広い工場内や学校内で使う所があるとのこと。一般的な電動アシスト3輪自転車では見られない運用ができ、軽トラックのような電動アシスト3輪自転車と言えるだろう。

豊田トライクとSTROKE CARGO TRIKEとの違いは?

3輪商用電動アシスト自転車「KAITO」を見て、豊田トライクとSTROKE CARGO TRIKEとは、どのような違いがあるのか?と思う人もいるだろう。豊田トライクは120kg、STROKE CARGO TRIKEは60kgの荷物の積載を目標としており、KAITO並かそれよりも重い荷物を積める。しかし、豊田トライク、STROKE CARGO TRIKE、KAITOの3車種のコンセプトはまったく異なる。

豊田トライクは自立機能がない代わりに、安楽な乗り心地と2輪車らしいハンドリング+3輪の安定性を求めている。また豊田トライク・カーゴモデルに関しては車体前方に荷物を積む設計となっており、KAITOのように高い荷物を積載するのには適していない。車体中心部に荷物を積めるSTROKE CARGO TRIKEは、重い荷物を搭載しても安定でき自立可能な利点があるが、こちらも車体前方に荷物を積むため、後荷台仕様のKAITOとは違うコンセントだ。

KAITOの弱みは恐らく高速走行だ。前1輪・後ろ2輪のトライクタイプは、直進安定性が高い一方、車体自体を傾けることはできず、無理にコーナーを回ると内側の車輪が浮く問題もある。そのため、自転車、オートバイの3輪車では、2輪車のハンドリングと3輪車の安定性を求めるために、倒し込み可能な前2輪に後ろ1輪のリーニングリバーストライクが主流だ。しかし、セニアカーの代用にもなるKAITOの場合、高速走行を捨てて低速走行に振っているため、このあたりは問題ではないだろう。

気になる所はドライブユニットと重量。豊田トライクはヤマハ・PASタイプ、STROKE CARGO TRIKEは現時点は不明(2018年8月時点ではBAFANG)だが、話を聞いた限りでは有名ブランドのドライブユニットを搭載したいニュアンスだった。KAITOに関しては、前輪インホイールモーター仕様で詳しいブランドは不明だ。電動アシスト自転車/E-Bikeでは有名ブランドのドライブユニットでないと、部品供給やサポートで不安がある。

車体重量が重いのも気になる。豊田トライクが基本モデルで30kg。STROKE CARGO TRIKEはベースフレームで35kgの重量なのに対し、KAITOは66kg(KAITO SS)と重い。豊田トライクの30kgですら持ち上げるのに躊躇する現状、車体重量66kgのKAITOを起こすのは大変だろう。

豊田トライクやSTROKE CARGO TRIKEと比べると、細部が荒っぽいKAITO。しかし、軽トラックのような電動アシスト3輪自転車は、よくできたアイデアだ。今後の発展に期待したい。

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