ホンダの電動アシスト自転車化・コネクテッド化「Smachari」の特徴は?ホンダはEバイクに本格参入するのか?【サイクルモード2023】

2023年4月15日から4月16日まで開催されたサイクルモード東京2023。ワイズロードブースでは、ホンダと共同開発を行った「Smachari」が展示されていた。

Smachariは、既存のスポーツ自転車に電動アシスト自転車キットを装着して、電動アシスト化、コネクテッド化を行う事業。SmaChari搭載車「RAIL ACTIVE-e」は、株式会社ワイ・インターナショナルが展開する、スポーツ自転車専門店「ワイズロード」ならびに「ワイズロードオンライン」で発売する予定で、価格は220,000円(税込み)だ。

一般メディアなどはSmachariを評価する声は多くあるが、乗り物業界では一般メディアだけが評価が高い商品は怪しいという悪いジンクスがある。有名なのが一般メディアやインフルエンサーが褒めていた粗悪Eバイク「HONBIKE」だろう。Smachariに関しても、一部では疑問の声を聞くが、実際の所はどうだろうか。

ホンダのオウンドメディア「Honda Story」の「自転車を電動アシスト化・コネクテッド化現代版“バタバタ”「Smachari」とは」を読めば分かる通り、モーター自体は他社製品を使用している。ベースは恐らくTONGSHENG TSDZ2Bで、同系統モーターを使用していた某自転車会社の営業担当によると、取り付けは自転車整備士なら簡単にでき信頼性が高いと語っていた。バッテリーもボトルケージ台座装着タイプで、某自転車会社の営業担当によるとこちらも同じく信頼性が高いとのこと。バッテリー容量は24V 10Ah 240Whだ。

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SmaChariのハード面は平凡と言えるが、注目したいのはソフトウェアだろう。スマートフォンアプリ、オンラインアカウントを活用して自転車の所有者情報の管理や、ホンダ四輪車から集まる走行データやSmaChariユーザーから収集・蓄積された走行データに基づいて急ブレーキの多い地点などで注意を換気するなど、様々なコネクテッド機能を搭載している。

出典:https://www.honda.co.jp/news/2023/c230329.html

プレスリリースも「Smachariを搭載した自転車を製造・販売する企業に対して、電動アシストユニットの制御ソフトウェアに関する技術を始めとする各種ライセンス、ならびにSmaChariを運用・管理するコネクテッドプラットフォームを有償で提供します」と書いてあり、ハードよりもソフトウェアをアピールしている所を見ることができる。ただ、Smachariのプラットフォームは、どのメーカーのモーターに対応するのか不明。また、電動アシスト自転車・Eバイクはモーターを製造するメーカーの力が強いため、自転車製造会社がモーターメーカーを無視して簡単にSmachariを導入できるのかという疑問もある。

今回のSmachari搭載の電動アシスト自転車は、クロスバイク「KhodaaBloom RAIL」に、モーターとバッテリーを装着したモデルとなっている。ハード面は寄せ集めなのは、ホンダは10年以上前に電動アシスト自転車「ラクーンシリーズ」の製造から撤退しており、ハードを製造する能力を持っていないのもあるのと思われる。

ホンダはEバイクに本格参入するのか?

写真のEバイクはヤマハ・YPJ-MT Pro

日本国内では電動アシスト自転車やEバイクは低価格帯が主流だが、Eバイクの中心地であるドイツを中心とした欧州では、平均価格40万円と高額なことで知られている。また、販売台数もドイツだけで200万台と非常に多くオートバイを超える一大産業となっている。

今回のSmachariは、世界の主流から外れた電動アシスト自転車だが、ホンダは世界的に主流となっているEバイクに本格参入するのか?と疑問に思う人もいるだろう。

Eバイク業界というのは、一般人ではなく様々な業界のトップクラスの人から注目されている。日本の某Eモビリティ製造工場の技術顧問曰く「殆どの自動車業界、オートバイ業界はEバイクに参入を考えている」と語っていたほどだった。海外ニュースではリビアンやポールスター、ポルシェといった名だたる自動車メーカーが参入を考えている事を聞く。ホンダに関しては取材を行った限り、多くを語っていないが、Eバイクの参入は高い確率で考えているだろう。

しかし、殆どの自動車業界、オートバイ業界はEバイクに参入を考えていると言われているのに対して、実際に参入していない。それは、既存の自転車、Eバイク企業が市場に君臨しているためで、特にモーターに関しては、ボッシュ、シマノ、ブローゼ、ヤマハ発動機などの既存の会社が抑えておりこの牙城を崩すのは並大抵の事ではできないだろう。実際、コンチネンタルは撤退し、戦車で有名なラインメタルEバイク用モーター製造企業をSRAMに売却したという噂があり、日本電産は2015年に海外情報で試作モデルが公開されてから、2023年4月現在未だに量産販売車が登場していない。たとえホンダでも、安易に参入しようとすると永遠と開発だけを行って日本電産の二の舞になる。少なくとも牙城を崩すには3歩先まで見据る開発を行わないといけないだろう。

Smachariに関しては、グラベルロード「Cannondale Topstone」や、折りたたみ自転車「Tern Link」に搭載されている車種も展示されていた。これらモデルも発売される可能性はあるのかもしれない。

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