オートバイ風Eバイク「スーパー73」にアシスト比率違反疑惑 今後はどうなるか

SNS上でオートバイ風Eバイク「スーパー73」のアシスト比率の違反の疑いが話題となっている。

日本国内での道路交通法上の電動アシスト自転車のアシスト比率の基準は、人がペダルを踏む力とモーターによる補助力の比(アシスト比率)が走行速度時速10km未満では最大で1:2で、時速10km以上時速24km未満では走行速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少し、時速24km以上では補助力が0
にならないといけない。(道路交道路交通法施行規則 第1条の3第1項 人の力を補うため原動機を用いる自転車の基準)。そのため、日本国内法に合致した電動アシスト自転車を作る場合は、踏力を測定するために必然的にトルクセンサーを搭載する必要がある。

ホンダ ラクーンの機械式トルクセンサーの設計 出典:RACOON 1994.12 (honda.co.jp)

1990年代に登場した初期の電動アシスト自転車にも機械式ながらトルクセンサーが使われていた。ヤマハ発動機の初代PASは遊星歯車機構、スプリング及びポテンショメータを使用し、ホンダ ラクーン(UB01)は、トーションバースプリング及びポテンショメータを組み合わせた機械式トルクセンサーが使われていた。


一方で、動画のスーパー73は、クランクにトルクが加わっていない状態で、回しただけでアシストが作動するようになっている。恐らくトルクセンサーではなく、回転だけを感知するケイデンスセンサーのみだと思われる。ケイデンスセンサーだけでは、踏力からアシスト比率を測定することはできないため、日本国内法に合致したEバイクを作ることはできないだろう。

FANTIC XTF 1.5 CARBON(欧州仕様車、日本国内での公道走行は不可)

因みに海外ではケイデンスセンサーだけでも問題ない場合が多いが、トルクセンサーが無いケイデンスセンサーのみのEバイクは、安物扱いで評価が低い。これは、ケイデンスセンサーの特性が関係している。ケイデンスセンサーのイメージはオートバイのスロットルに近く、低回転で漕ぐ場合は弱い力でアシストが働き、高回転で漕ぐと強い力でアシストが働くようになっている。

しかし、Eバイクの本質は自転車のため、タイトコーナーなど、低回転でも強大なトルクを活用する場面が多くあり、パワーだけでなく踏力を活かしたトルクの制御が求められる。そのため、海外仕様でもトルクセンサーを装着しているのが一般的だ。

スーパー73のアシスト比率違反疑惑はどうなるのだろうか。一般的には何かしらの処罰が加わるだろう。また、仮に日本国内法規に合うように変更するとしても、センサーなどの様々な部品を変更する必要がある。現在の日本国内法のアシストで、スーパー73のように車体が小さくて膝が大きく曲がった乗車姿勢で快適に走ることはできない。

アシスト比率違反疑惑に関しては、2022年時点でEバイクの製造や輸入を行う業界関係者の間では有名な話として知られている。今回の動画でアシスト比率違反疑惑は決定的となり、既に様々な企業に拡散されている。この件に関して、某自転車ブランド営業担当は「真っ当な自転車店なら完全に出入り禁止となる」と語っていた。

ロカフレーム
ブロンクスバギー

既に、日本国内法の電動アシスト自転車に合致したオートバイ風Eバイクは、ロカフレーム、マイケルブラスト、ブロンクスバギーなど様々なブランドがある。しかも、これらモデルは真っ当な自転車店で購入することができ、スーパー73よりも価格も安いのに、質感が高く、車体も大きいため迫力がある。

日本国内法のアシスト比率では、車体が小さすぎてきちんと漕げないスーパー73を選んだ時点で乗り物のセンスが無いと言えるが、スーパー73を選ばず、車体重量は25キロと軽量で、80万円超えのE-MTBにも使われているボッシュ パフォーマンスラインCXを搭載し、本国ではサドル高を調節できるアダプターがあるラフサイクルズのリルバディを選んでおけばこうはならなかったが、時既に遅しだ。

業界関係者からすれば、あのHonBikeと同レベルの存在と言えるほどになったスーパー73。将来性に関しては非常に期待できないだろう。

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