マンスリーアーカイブ 12月, 2019

【試乗】折りたたみとBosch製E-Bikeユニットを合わせた Tern Vektronの利点とは?【E-Bike】

欧州を中心に注目されているE-Bike。日本でも様々な企業からE-Bikeが登場しており、E-Bikeブームの気配が見えている。折りたたみ自転車でもE-Bikeの流れがあり、その中でも有名なE-Bikeと言えばTern Vektronだ。Tern Vektronは、折りたたみ自転車やストリートタイプのスポーツサイクルで有名な「Tern」のE-フォールディングバイク(電動アシスト折りたたみ自転車)。一般的なE-フォールディングバイクは、折りたたみ性能を重視し、パワーよりも軽さを重視した電動アシストユニットを搭載した物が多い。しかし、Tern VektronはE-Bike用ユニット「Bosch Active Line Plus」を搭載することで、E-クロスバイク(クロスバイクタイプのE-Bike)らしいスポーティなフィールを採用したE-フォールディングバイクだ。 今回紹介するVektronは、時間の関係でBosch Japanが所有しているモデルをお借りした。カラーはかつて存在したVerge S11iを連想させる量産車には無いBoschオリジナルのシルバーを採用。カラーリングが違うだけで、ドライブユニットの変更は無い。 高い汎用性と低重心化を実現した車体 Tern Vektronを他のE-Bike比べた時、一番の利点なのが折りたたみ機構だろう。車体重量が19kgを超えるため折りたたみは簡単ではないが、ハンドルポストが折りたためるため、家の空いたスペースに置くことができる貴重なE-Bikeだ。 折りたたみ自転車には、フレームサイズが1種類しかないためハンドルやサドル高さの調整域を取ることで、高い汎用性を実現しているモデルが多い。それはTern Vektronも例外ではない。ハンドルはワンタッチで高さを上下に調節できるため、幅広い身長に対応している。 積載量に関しては前後にラックの取り付けが可能だ。リアラックはVektronの専用品があり、バッグ類やチャイルドシートが装着できる。小径ホイールのおかげで重心が低いため、重い荷物を載せても比較的安定して走行できるだろう。 バッテリーはE-Bikeでは珍しく車体中心近くに搭載。車体前方に荷重がかからず、従来の自転車に近い自然な感覚で運転できる。タイヤはSchwalbe Big Apple 20×2.15インチと、太いタイヤを採用。これにより、小径折り畳み自転車特有の硬い乗り心地や、一般的な自転車よりも神経質なハンドリングが解消されているだけでなく、小径自転車と感じさせない重圧感がある乗り心地を実現。歩道の段差や多少荒れた道でも安心して走る事が可能だ。 本格E-Bike用ドライブユニット「Bosch Active Line Plus」を搭載 Tern Vektronに搭載されているE-Bikeユニット「Bosch Active Line Plus」は、定格出力250W、最大トルク50Nmのサイクリング用E-Bikeユニット。一部クラッチ機構の削除により、40-50Nmクラスでは、アシストがかかった時のダイレクトで直結感があるフィールを実現している。 このドライブユニットの利点はアシスト音が静かなこと。今回、街乗りからサイクリング、急坂での走行等一通り行った。E-Bikeによってはアシスト時の音が大きいのがあるが、Active Line Plusはどんなシチュエーションでもモーターのノイズが静かなのが印象的だった。欠点はアシストが切れた時のゴリっとした感触。これはスポーツライドで急に脚を止める時に感じる事が多い。しかし、今回乗車した場面では、そのようなシチュエーションが無いため特に問題なかった。 バッテリーは36V 8.2Ah。近年のE-Bikeでは36V/10.0Ah以上の大容量バッテリーを搭載しているモデルが多いため、Vektronのバッテリー容量は少ない。しかし充電時間は0~100パーセントの場合、僅か2.5時間(0~50%の場合は1時間)と短い時間で充電できる。充電器もE-Bike用ではコンパクトなため、休憩中に充電を行う事も可能だ。 Tern Vektronのインプレッション 今回、Tern Vektronを街乗りからサイクリング、子ノ権現等のヒルクライムまで、様々な道を運転したが、Vektronの乗り味を一言で表すと「クルマ」みたいな感覚だ。その理由は、ドライブユニットと車体設計Vektronに搭載されているE-Bikeユニット「Bosch Active Line Plus」は、トルク重視のスムーズなフィーリングで、クルマのように静かに力強く発進する。そして、マウンテンバイク並の太いタイヤは、一般的な小径自転車では不安な、ひび割れた路面や歩道の段差をいなしてくれるため、神経質にならずリラックスした運転ができる。太いタイヤとバッテリーを車体中心近くに載せた事により、自転車のグライダーのようなヒラヒラとした軽快感が無く、重圧感がある走行感を実現した。ブレーキはMagura MT4油圧ディスクブレーキを採用。マウンテンバイクにも使われるレベルで、軽いタッチで瞬時に止まってくれる。 アシストモードはECO、TOUR、SPORT、TURBOモードの4段階を用意。ECOモードでもアシストされている感覚はあるが、上り坂になるとアシスト力が少ない。上り坂を走るのならTOUR、SPORT、TURBOモードを使うのがベストだ。 Vektronにはハンドルやフレームに折りたたみ機構が搭載されているが、この辺りの剛性面に関しては不安は無い。油圧ブレーキ特有の強力な急減速でも、ガタやしなりが無いので安心だ。 E-Bikeの大きな利点と言えば上り坂が楽に走行できることだが、それはVektronも同じだ。一般的な折りたたみ自転車はヒルクライムが苦手だが、E-Bikeユニットを搭載したVektron、他のE-Bikeと同クラスのヒルクライム性能を実現している。アシストのおかげで一般的な坂なら、軽いジョギングの感覚で走ることができる。 折りたたみ機構は便利な反面、使いにくい事も https://www.youtube.com/watch?v=HbawpQqxNSo E-Bikeは従来の自転車よりも重いため、クルマに載せての移動は厄介だ。しかしVektronは折りたためるため、気軽にクルマに載せることができる。しかし、その折りたたみに関しては問題がある。それは車体重量が19.8kgと重いこと。Vektron等のフレーム横折れタイプの折りたたみ自転車は、車体を持ち上げながら折りたたむ必要があるため一苦労する。 Vektronで頻繁に折りたたみたい場合、2つの方法を覚えておいたほうがいいだろう。 1つ目は、バッテリーを外して事前にバッテリーを外して折りたたむ事。Vektronに搭載されているバッテリー「Bosch Powerpack 300」のバッテリー重量は約2.5kg。バッテリーを外した場合の車体重量は17.3kgと多少は軽くなる。(外したバッテリーはバックパックに入れて持ち歩く) 2つ目はダブルレッグ(2本足)タイプのセンタースタンドを装着する方法。このタイプのスタンドは一般的なセンタースタンド(1本足)よりも安定しているだけでない。前輪を浮き上がらせた状態にすれば、折りたたむ時、スタンドが車体を支えてくれるため簡単に折りたたむことができる。また、Vektronは、スタンドを出した状態でもシートポストを底まで下げることが可能だ。この2つの方法は使う、使わないに関わらず覚えておいて損はないだろう。 クルマに積めるE-Bikeという独特のポジションにある「Tern Vektron」 小径折りたたみ自転車というのは乗り心地が硬い、ハンドリングがシビア、フレームが分割されているので加速が鈍い等、多少の癖がある乗り物として知られている。しかし、Tern Vektronは電動アシストと折りたたみ自転車の癖を抑える味付けにすることで、小径自転車に不慣れな人でも運転できるE-Bikeを実現した。それだけでなく一般的なサイクリングレベルなら他のE-Bikeと同等のサイクリングが楽しめる事が可能だ。 そして、E-フォールディングバイク(折りたたみ自転車タイプのE-Bike)の中でも、Vektronは、本格E-Bikeユニット「Bosch Active Line Plus」を搭載したことにより、クルマに積めることができる本格E-Bikeという貴重な1台となった。かつては、アシストが無いクロスバイクと折りたたみ自転車では、折りたたみ自転車のほうが長距離サイクリング(ロングライド)やヒルクライムは不利なのが実情だった。しかし、E-Bike化により、折りたたみ自転車は性能が一気に引き上げられる事が可能になった。 運転する絶対的な面白さはTern Vektronよりも他のE-クロスバイクが上だが、E-Bikeでは性能格差が少なくなりつつある。街乗りやサイクリング目的のE-クロスバイクを購入するのなら、Tern Vektronを試乗して比べるのをお薦めする。 フレーム:Vektron G2 アルミフレーム フロントフォーク:6061アルミ 重量:19.8kg ブレーキ:Magura MT4油圧式 ディスクブレーキ ギア(前):52T ギア(後):SHIMANO...

子ども用スポーツ自転車「シェファードシティキッズ20」に「クリスマス」限定セットモデルが登場

スポーツバイクブランド「RITEWAY」の企画・製造・販売を行うライトウェイプロダクツジャパンは、子供用クロスバイク「シェファードシティキッズ20」にフレームのカバーをセットにした「クリスマス限定セット」の販売を実施している。 「シェファードシティキッズ20」はクロスバイク「シェファード シティ」をそのまま子供向けの20インチにサイズダウン。フロントトリプルギア搭載のアーバンキッズバイクだ。 クリスマスをイメージしたカバーは、駐輪場での接触などからフレームを守る実用性も持たせている。また、カバーは日本人作家の手により、1枚ずつ丁寧に作成されている。シェファードシティキッズ20クリスマス限定セットの価格は67,800円(税抜)。2019年12月26日まで、全国のライトウェイバイク取扱店で販売する。 ライトウェイプロダクツジャパン:https://www.riteway-jp.com

注目のE-ロードバイク「Specialized Turbo Creo SL」を読み解く 他とは何が違うか?【E-Bike】

2019年12月にSpecializedからE-ロードバイク「Turbo Creo SL」シリーズが発表された。 Turbo Creo SLは、日本のE-Bikeでは見られなかった数々の機能を採用したE-ロードバイク。重量わずか12.2kgと超軽量級E-Bikeを実現した最上級モデルのS-Works Turbo Creo SLの価格は1,485,000円(税込み)と、他のE-Bikeでも見られない100万円オーバーのE-Bikeだ。今回、Turbo Creo SLを読み解く事で、どのようなE-ロードバイクなのか考察する。 フレームはオンロードとグラベルに両方対応 Turbo CREO SLは、日本のE-Bike界では数少ないカーボンフレームを採用している(FACT 11r カーボンフレーム)。ステムは衝撃吸収仕様のFuture Shockを車体設計はロードバイクというよりもグラベルロードに近く、タイヤクリアランスは700Cホイールの場合、最大42mmのタイヤが装着でき、フェンダーを装着した場合でも、最大38mmのタイヤに対応している。 また、Turbo CREO SLは650Bホイールに対応しており、最大47mmのタイヤが装着可能。ラインナップも、Specializedモデルに関しては700×28ミリタイヤにカーボンシートポストを装着したE-ロードバイクの「Turbo Creo SL」と、700×38ミリタイヤに、ドロッパーシートポストを搭載した「Turbo Creo SL Evo」の2種類を用意している。(S-WORKSモデルはE-ロードバイクのみ) デュアルバッテリー化が可能なバッテリー Turbo Creo SLには、フレーム内蔵型バッテリーに加え、ボトルケージに装着するバッテリー「レンジエクステンダー」も用意されている。航続距離は内蔵バッテリーで130キロメートル。レンジエクステンダーで65キロメートル。両方使用すると195キロメートルとなる。 充電方法は、ボトムブラケット真上にあるシートチューブ上のポートに挿し込む方式を採用。内蔵バッテリーを充電のために取り外すことが不可で、フレームに取り付けたまま充電を行う必要がある。バッテリーを取り外す場合モーターを取り外す必要がある。そのため、Turbo Creo SLで飛行機輪行を行う場合、内蔵バッテリーを取り外す必要がある。(レンジエクステンダーのみを使用してTurbo Creo SLに乗ることも可能) 充電時間は内蔵バッテリーを残量3%から100%に充電する場合、約2時間35分。レンジエクステンダーを残量3%から100%に充電する場合は約3時間20分。内蔵バッテリーとレンジエクステンダー両方充電する場合、Y字型ケーブルを使用すると約3時間20分となる。 レンジエクステンダーはS-Worksモデルに標準装備。他のモデルではオプションで用意されている。装着方法は通常のボトルケージに収まるサイズで、荒れた路面を走る場合はSpecializedのZee Cageと固定力を高めるバンドの併用を推奨している。レンジエクステンダーを使用した場合、レンジエクステンダーと内蔵バッテリーを同時に消費するよう初期設定されており、Mission Control アプリでレンジエクステンダーを最初に消費するよう、設定を変更することもできる。 コンパクトに収まりスマートフォンと連携できるドライブユニット Turbo Creo SLに搭載されているSpecialized SL 1.1 モーターのスペックは最高出力240W、最大トルク35Nm、重量1.95kg。Bosch Performance Line CX(最高出力250W、最大トルク75Nm、重量2.9kg)等、他のE-Bikeユニットよりも低トルクなのに対し、他のミッドドライブタイプのクランク駆動式ユニットよりも軽量だ。 Sprcializedによれば、アシストはさまざまなケイデンス範囲で一貫したパワフルなアシストを発揮させ、自然なペダリング感覚を得られるようにチューニングを施したとのこと。走行モードはECO、SPORT、TURBOの3種類。アシスト力は、ECOモードでモーター出力の30%、SPORTモードで60%、TURBOモードで100%となる。また、モーターから一切のアシストを受けたくない非アシストモードも搭載されている。 E-Bikeとスマートフォンを連携するMission Control アプリは、3種類のアシストモードの各モードで最大出力およびアシストの持続力の両方をほぼ際限なく調整可能。それだけでなく、走りたい距離や時間を入力するだけで、ライドを完了するのに必要なバッテリー残量の確保できるだけでなく、ライドの内容を記録してサードパーティーのアプリに送信や、各種数値をANT+対応のコンピュータに送信するパワーメーターまでも内蔵している。 リンク Specialized Turbo Creo SL :https://www.specialized.com/jp/ja/stories/turbo-creo 関連記事 https://www.cyclorider.com/archives/34815