E-Bikeとサイクルトレーラーの組み合わせは非常に便利! バーレー・トラボーイV2をレビュー

自転車で沢山の荷物を積む方法には様々な種類がある。その中でも大容量の荷物を積み、安定性が高いのがサイクルトレーラーだ。

サイクルトレーラーとは、自転車の後部に自転車の後方に連結し、荷物や子供を運搬する被牽引車のこと。トレーラーを装着すると普通自転車扱いにならないため、歩道の走行ができない、東京都など一部地域では交通の頻繁な道路において運転してはいけないなどの制限がある。一方で通常の荷台ではできない沢山の荷物を積んで走ることができる。特にE-Bikeに関しては、モーターアシストがあるため重い荷物を積載しても、楽々と走ることができるので、うまく使用すればサイクリングに役立つだろう。

今回、ライトウェイプロダクツジャパンが取り扱いを行っている「バーレー・トラボーイV2」(4万8400円)を借用し、トラボーイV2を使用して、只見サイクリングを実施。実際に使用した上での解説する。

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シートポスト装着型の利点と欠点は?

一般的なサイクルトレーラーは後輪のシャフトに取付金具を装着する方法を採用しているのに対し、トラボーイV2はシートポストに専用アダプタを装着する方法を採用している。

このタイプの特徴は、シートポストが装備されている自転車なら多くの自転車に装着することができ、後輪シャフトの種類を気にせず使用できること。そのため、マウンテンバイクやクロスバイク、折りたたみ自転車、ママチャリなど様々な自転車、E-Bikeに装着することができる。

トラボーイV2で荷物を積む際、気を付けることは?

トラボーイV2が、他のサイクルトレーラーと違うのが、荷物を縦方向に積むことを考える必要があることだろう。バーレーのサイクルトレーラーの中でもノマドやフラットベッドのように、荷台が地面と水平ではなく、斜めになっている。

これは、トラボーイV2を自転車本体から外した際、キャリーカートとして使うのを想定しているためで致し方ない所だが、荷物の積載する際、考える必要がある。

荷物をトラボーイV2に載せる場合、一般的には何かしらの袋を使うのがベストだろう。輪行などを行う際トラボーイV2に載せるバッグは、万が一の時に背負うことができるバッグパックや手提げバッグなどを使用するのが良いだろう。プラスチックのアウトドア用の箱に関しては、カーサイクリングや自宅からの走行では有効だが、トラボーイV2を折りたたむ際、持ち運ぶときに問題になる可能性がある。

トラボーイV2に荷物を積んで長い距離を走る場合、大きいバッグを1つだけ使用するか、バッグ2つに分けて使うかは甲乙つけがたい所。バッグ1つの場合、輪行の際に簡単に持ち運ぶことができるが、利便性では劣る傾向にある。バッグ2つを載せる場合利便性は向上する一方、荷物を上下に置く必要があるため、綺麗に荷物を載せることができる組み合わせを考える必要がある。

また、使用するバッグはできるだけ蓋付きを使ったほうがいい。万が一トラボーイV2が倒れた場合、荷物が散乱してしまう可能性があるためだ。

トラボーイメッセンジャーバッグ

トラボーイV2にバッグ2つを装着する場合、筆者なら1つはバッグパックなど大容量の持ち運びが容易なバッグと、オプションのトラボーイメッセンジャーバッグなどをトラボーイの荷台上部に装着するのが良いだろう。下には着替えなど大容量の荷物を入れて、上は飲食物などサクッと取り出すことができる物を入れるのに便利だ。これらオプションは、トラボーイV2の左右フックに取り付けを前提に設計されているので、斜め上に積むのを考えなくて済むためだ。

また、水たまりを通過するとバッグに泥がかかりやすいため、積載するバッグはできるだけ防水加工を行っているのが望ましい。

荷物を積載することだけを考えると、一般的なベッドタイプのノマドやフラットベッド、COHO XC等、荷台と地面が水平になっているタイプのほうが荷物は載せやすい。しかし、トラボーイV2は高性能キャリーカートとして利用できるため、大きな問題ではないだろう。

E-BikeとトラボーイV2でのサイクリングの利点と欠点

サイクルトレーラーを使用する時に気になるのが、重い荷物を積んだ際の走行感覚だろう。今回、トラボーイV2に10キロ近い荷物を積んで走行した。このぐらいの重量の荷物だと、車体に装着する場合、重さを感じるが、トラボーイV2に積載した感覚では、引っ張られる感覚はあまりなく、車体にバッグを装着してのサイクリングよりも面白いと思うぐらいよく走ってくれる。

サイクルトレーラー(トラボーイV2)とE-Bikeの組み合わせに関してを一言で表すと「サイクルトレーラーはE-Bikeのために存在する」と断言したいほど便利だ。通常の人力自転車なら、後ろに沢山の荷物を載せて移動する場合、荷物が重いと加速が悪くなり、上り坂は急激にスピードが落ちる。

しかし、E-Bikeの場合、モーターのアシストモードを積極的に強いモードを多用することで、非牽引時と変わらない速度で走ることが可能だ。

これは上り坂に関しても同じで、上の写真のような上り坂の場合、E-Bike(Specialized Turbo Vado SL)なら、時速15キロで上ることができる。E-Bikeを所有しているとこのような事は当たり前となるので、もはや何とも思わなくなっているが、ロードバイクなどの人力自転車でトラボーイV2を牽引していたら、おそらく、このような上り坂は苦痛で引き返しているだろう。

もちろん、トラボーイV2を牽引している時の欠点はある。一番わかりやすいのがバッテリーの消費だ。E-Bikeを所有して様々な所を走ると、アシストモードと道の舗装状況や斜度を、地図や実際に走行するとおおよその航続距離がわかるようになる。

今回、Specialized Turbo Vado SLで只見エリアを走行したが、非牽引時で走行した時の航続距離を100パーセントとすると、牽引時で重い荷物を積んだ場合は70~80パーセント程度の航続距離となった。

これは、重い荷物を牽引しているだけでなく、電池消費が大きくてもパワフルなアシストで走行しているのもある。E-Bikeの航続距離を向上させる方法で、アシストを弱くして人力で頑張る方法があるが、これは、荷物を積載していないE-Bikeで可能な技で、サイクルトレーラーを牽いている場合、アシストが弱いとスピードが遅くなるので苦痛になり、到着するまでの時間もかかるため、一番力強いアシスト力を使用し、通常時と同じ感覚で運転するようになる。サイクルトレーラーを牽引時の航続距離対策なら、アシストモードを弱めた省エネ運転を行うよりも、バッテリーの積載や充電器を積んだほうが良いだろう。また、引っ張っている感覚が希薄なため、非牽引時と同じ感覚で走行するという欠点もある。説明書では、牽引しているときは直線の多い舗装路では時速24キロ、曲がるときや路面状況の悪い道では時速8キロと書いてあるので、スピードを出して運転するのでは無く余裕を持った走行を心掛けたい。

ブレーキをかける時、高速走行中に減速を行うと後ろから押される感覚がある。牽引するE-BikeはキャリパーブレーキやVブレーキよりも、より制動力が高い油圧ディスクブレーキを搭載したモデルが良いだろう。

障害物を避ける際は、通常の自転車よりも左右にこぶし1個以上のゆとりを持って回避する、下りのコーナーは、スピードを落としてゆとりを持って曲がろう。

砂利道などの荒れた道に関しては、あくまでも低速で通過できるレベルだろう。トラボーイV2は2輪タイプでサスペンションが無いリジッドタイプのため、トレーラーが跳ねやすく、荷物を積んだ時、重心が高いため不安定になりやすい。トレイルライドなど荒れた道を走る場合や、カーブを快適に走るのなら低重心でサスペンションを装着しているCOHO XCが良いだろう。

トレーラー自体の横転に関しては、無理な運転をしないかぎりは横転しにくいだろう。恐らく、自転車と接続する牽引バーが、トーションバーのようにねじりを利用して安定性を出しているのもあると思う。また、トレーラーが横転すると、その場合はトレーラーだけが倒れるだけで自転車は倒れなかった。

トラボーイV2と輪行の可能性は?

トラボーイV2で輪行サイクリングを行う際に気になるのが、輪行の可能性だろう。トラボーイV2に載せている荷物は、押したり引いたりすることで移動できるため、輪行袋を持って移動しても、肩の負担が少ない。但し、エレベーターが無いエリアでの移動は注意が必要だ。トラボーイV2に重い荷物を積載した状態で階段に遭遇すると、輪行袋とトラボーイV2を別々に持ち上げて移動することになるので時間がかかるためだ。

また、トラボーイV2にEバイク本体を載せて積載を行うことは難しい。トラボーイV2は積載重量の制限(一番下は18キロ)があり、それに加えて積載エリアの幅が狭いためホイールと干渉する問題がある。下に箱を置けばトラボーイV2の車輪に接触せず移動することが理論上可能だが、幅が広いためエレベーターや狭い場所を通行するのが困難になる。車体ではなくホイールだけをトラボーイV2に置く場合も同じ理由があるため難しい。軽量な折りたたみE-Bikeなら、トラボーイV2での折りたたみ輪行の可能性はあるのかもしれない。このあたりに関しては、今後の課題だろう。

多くのE-BikeをSUVに進化させるトラボーイV2

E-Bikeとサイクルトレーラーの組み合わせは、航続距離が若干少なくなる、トレーラーの扱いに注意すればE-Bikeの世界観を大きく広げることができる。リアキャリアを使用するよりも積載量を大幅に上げることができるため、キャンプ道具やホームセンターでの買い物、予備バッテリーと充電器を積んで長距離ライドを行うなど、E-Bikeのライフスタイルを広げることが可能だ。

また、車種を選ばないのも大きい。通常のクロスバイクタイプやMTBタイプのEバイクに使うだけでなく車体サイズが小さく、荷物の積載を想定していない小径E-Bikeや、ママチャリタイプの電動アシスト自転車でも沢山の荷物を積載することができる。

トラボーイV2を使用するのに合っている人は、サイクルトレーラーをキャリーカートに使いたい、折り畳める機能が欲しい人だろう。積載性能に関しては、荷台と地面が水平になっている同社のノマドやフラットベッドの方が積載しやすい。また、オフロード性能など走行性能を重視するのなら、2輪よりもライントレースが行いやすいと言われている、1輪タイプのCOHO XCを選んだほうがいいだろう。

そのような欠点があっても、トラボーイV2は取付可能車種が幅広い、自転車から外すとキャリーカートになるといった、代えがたい大きな利点があり、買い物から舗装路のサイクルツーリングまで可能性を大きく広げてくれるだろう。

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