本田技研工業(Honda)は、手持ちの自転車を含む様々な自転車を電動アシスト化し、スマートフォンと連携させるサービス「SmaChari(スマチャリ)」の新たな展開として、後付け可能な「SmaChari Kit」のライセンス事業を開始したと発表した。総合自転車メーカーのホダカ(埼玉県越谷市)が自転車メーカーや販売店向けに同キットの販売を始め、搭載された完成車は2026年1月以降、順次市場に登場する予定だ。
同キットは、電動アシストユニットとソフトウェアをパッケージ化したもの。従来はホンダとライセンス契約を結んだ特定の自転車メーカーが共同開発した完成車のみで利用可能だったが、今後はより多くの自転車メーカーや販売店がSmaChari搭載モデルを開発・販売できるようになる。これにより、スポーツバイクやシティサイクル、小径車(ミニベロ)など、幅広い車種への搭載が進み、消費者の選択肢が大きく広がることが期待される。
「SmaChari」の最大の特徴は、日本で初めて(2025年10月、ホンダ調べ)、取り付けた自転車の種類に合わせてアシスト出力を国の法規に準拠するよう自動で最適化する出力制御技術だ。利用者は専用のスマートフォンアプリを通じて、電動アシストの起動や個人の好みに合わせた出力調整、速度やバッテリー残量の確認などができる。
さらに、スマートフォンと連携する「コネクテッド機能」も充実しており、走行データの管理や駐輪場所の共有、急発進の抑制、急ブレーキ多発地点での注意喚起といった安全運転支援機能も利用可能だ。
このサービスは、ホンダの新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」から生まれた。開発のきっかけは、自転車で通学する高校生の坂道での負担や交通事故への不安といった課題を解決し、より快適で楽しい移動を提供したいという想いからだった。
ホンダは今後も搭載車種の多様化やアプリの機能拡張を進めるとしており、身近な移動手段である自転車に「電動化」と「コネクテッド化」という新たな価値を提供することで、次世代の移動の喜びを創造していく構えだ。