電動キックボードが免許不要に 法改正で一番注目すべき会社は「ヤマハ発動機」「トヨタ自動車」である理由

FNNプライムオンラインは4月19日、一部の電動キックボードは免許不要になる改正道交法が国会で成立したと報道した。


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FNNプライムオンライン

最高速度20キロ以下の電動キックボードは免許不要になる改正道交法が国会で成立した。 関連写真はこちら…

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日本国内だけでなく、欧州や北米でシェアモビリティの1つとして注目されている電動キックボード。筆者はかつて、様々な電動キックボードに試乗したことがあるが、持ち運びを重視したモデルは直進安定性が低く、安定性が高いモデルは大柄で、立ち乗りなので長時間走行するのは厳しいと感じた。直進安定性の低さに関しては、国民生活センターでの電動キックボードのテストでは、進行方向を合図しながらの片手運転では、乗車状態が不安定になっている場面を見ることができる。

電動キックボードでの公道走行に注意(国民生活センター) https://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20220317_1.html

小径ホイールにより直進安定性が低く不安定で、荷物も殆ど積むことができない電動キックボード。すでに議論を呼んでいる状況だ。今回の電動キックボード関連の法律改正では、様々なベンチャー企業が注目されている。しかし、今回の法律改正で一番注目すべき会社は、ベンチャー企業ではなく「ヤマハ発動機」と「トヨタ自動車」だ。

なぜ、ヤマハ発動機とトヨタ自動車を注目するべきなのかと言うと、この2社は、既に既存の電動キックボードよりも安定性が高くて誰でも乗れるパーソナルモビリティを発表しているからだ。

ヤマハ発動機は、3輪パーソナルモビリティ「TRITOWN」を発表し、実証実験を行っている。TRITOWNはLMW(Leaning Multi Wheel)テクノロジーを採用する電動モビリティ。重量は約40キロ、速度は最高で時速25キロ(状況により最高速度を制限することができる)。インホイールモーターで出力は500W。リチウムイオンバッテリーは、48V 380Wh。充電時間は約2時間で走行可能距離は約30キロで、未発売モデル。

トヨタ自動車は、歩行領域BEVを発表している。歩行領域BEVには様々なモデルが用意されているが、その中でもこのジャンルに近いのが「C+walk T」だろう。C+walk Tは「業務効率アップやシニアの活躍などを目指して、施設内での歩行業務を支援」をコンセプトにしたモビリティ。重量は約29キロ、速度は最高で時速25キロ(状況により最高速度を制限することができる)。インホイールモーターで出力は350W。リチウムイオンバッテリーは25.2V 10.8Ahの272Wh。充電時間は約2.5時間で走行可能距離は約14キロ。価格は34万1000円(税込)から。

筆者は、かつて東京モーターショーでTRITOWNとC+walk Tに試乗したことがある。

TRITOWN
C+walk T(左)

TRITOWNは、常に走行しないといけない2輪の電動キックボードとは違い、停車した状態でも安心して立ち乗り状態を維持することができつつ、自在に曲がることができるハンドリングを実現しており、安心・安全に移動できる性能を持ちつつ、自在に走らせる性能を持たせることで運転の面白さを持たせていると感じた。

一方でC+walk Tは、TRITOWNとは違い、足腰が弱い人でも安全に移動できる立ち乗り式パーソナルモビリティという立ち位置だ。最高速度は僅か10キロで、降坂時は速度によって自動減速する機能や、操舵角を検知して速度を抑える旋回時速度抑制機能を搭載。また、Safety Supportには、周辺検知センサーが前方の人や物などの障害物を検知すると、音と状態表示パネルのマーク表示で警告し、速度を時速2キロまで減速する障害物検知機能もある。タイヤもブリヂストンのノーパンクタイヤを装備している。TRITOWNと比較すると、運転の面白さは無いが、誰でも運転できることで移動の自由を実現しようとしていると感じた。

ヤマハ発動機のTRITOWNや、トヨタ自動車のC+walk Tに試乗した後だと、電動キックボードはシェアモビリティで運用するために、安全等のコストを落として作られた乗り物で、過渡期のマイクロモビリティにしか過ぎないと感じるだろう。場合によっては、かつてのオート3輪のように消える可能性もある。

ヤマハ発動機とトヨタ自動車は、関連企業などの力を使えば、製造から販売、レンタル、シェアリング、リースまで一貫して行うことができる。この2社がパーソナルモビリティのトップ企業として君臨できる可能性は非常に高いだろう。

また、電動キックボードのシェアリング事業者に関しては、マイクロモビリティをシェアリングで短距離移動のサービスを提供するために、コストがかからない電動キックボードを使用しているだけなので、電動キックボードにはこだわっていないと思われる。TRITOWNやC+walk Tなどの安定性が高いパーソナルモビリティが安価で手に入るのなら、恐らく電動キックボードから乗り換えるだろう。

文:松本健多朗

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