電子書籍の歴史と現状・そして課題について その2

電子書籍の利点と課題

第1節 電子書籍の利点

電子書籍の利点は主に4つある。

1つ目は買った瞬間に読めることだ。Amazon Kindle等、端末に通信回線が内蔵されている端末なら、通信回線が繋がっていれば、書籍をダウンロードしてすぐに読むことができる。今まで紙媒体の書籍を買うときは、書店等に行く時間の削減や、営業時間を気にすることがなくなるだろう。

2つ目は、本棚が必要なくなることだ。紙媒体の書籍は、保管場所が必要になる。本が増えていけば、最終的には、保管しきれなくなり、書籍を手放すことになるだろう。ま

た、紙媒体の書籍は大量の本を簡単に持ち運ぶことはできない。一方、電子書籍なら、保管場所を気にすることもなく、書籍を大量に保管することができ、簡単に書籍を持ち運ぶことができる。大量に書籍を手軽に持ち運ぶことができるので、本の内容を簡単に調べることができ、素早く目的の情報へたどり着くことが可能になる。

3つ目は、生産コストが少ないことだ。紙媒体の書籍は、印刷、在庫、流通コストがあるが、電子書籍はそれらのコストが減ることにより、今までの紙媒体の書籍よりも安くて済むようになる。紙やインク、書籍カバーを省くことができ、トラックの燃料等の必要がないので、環境にやさしい。また、今までの紙媒体の書籍は、個人が費用を出して出版する自費出版を行うのには、多額の料金を支払う必要性があったが、電子書籍では、多額の費用を出さずに、手軽に書籍を作ることが可能になった。日本では、2001年から携帯電話の性能が向上し、ケータイ小説と呼ばれる、携帯サイトで小説を投稿する現象が発生し、一部のケータイ小説は書籍化され、映画化されるケータイ小説も登場した。海外でも、アマゾン キンドルの、自費出版サービスを使用して、小説を投稿したところ、大勢の人に読まれ、紙媒体の書籍化されることも登場している。

4つ目は、本を読みかたが多様化できることだ。例えばアマゾンキンドルには、電子書籍を合成音声で読み上げる機能がついている。合成音声で読み上げたり、文字のサイズを調整したり、画面の明るさや濃淡を変更する事が可能になる。視覚障害者や本を読むのに疲れた場合や、満員電車の中で、本の内容を知ることが可能になる。また、タブレット形パソコン電子書籍の場合は、動画や音楽を入れることが可能になり、表現の幅が広がることができる特徴がある。

第2節 電子書籍の課題

電子書籍は、紙媒体の書籍よりも販売価格を安く設定してあることが多い。しかし、電子書籍は、端末を購入しないと本が読めない。また、紙媒体の書籍は、中古書籍が売られている場合がある。新品の書籍と比べると、電子書籍は安いことが多いが、紙媒体の中古書籍の書籍の値段を比べた場合は、電子書籍の値段は安くないと見ることもできる。

(1)表現方法の問題

紙媒体の本は、ハードとソフトが一体になっている。しかし、電子書籍は、スマートフォンからパソコンまで、幅広いハードがあるが、端末によって画面のサイズが異なり、表現方法に問題が出る。また、紙媒体の書籍は、見開きの表現ができるので、一度に2ページ分の内容を表示できるが、大半の電子書籍専用端末は、1ページ分しか表示できな

い。漫画の表現方法で、紙媒体で出来た見開きの表現が、電子書籍端末等では見づらくなる等の欠点がでる。ITmedia eBookUserサイト内の「電子書籍における漫画インタフェースを大いに語る」という漫画家が対談する特集では、漫画家の小沢高広は、電子書籍の普及で文字のサイズを大きくし見やすくしていると語っている。また、同じく漫画家の一色登希彦は、電子書籍を意識するなら、見開きを全廃する覚悟が必要と、対談内で語っているi。電子書籍端末で電子インクを使用している電子書籍リーダーは、目が疲れにくい利点があるが、端末に動画や音声を組み込むことができなくなり、現在はモノクロしか表現できないので、著者が望む表現ができなくなる問題がある。

(2) 課金方式の問題

大半の電子書籍販売サービスは、基本的にはクレジットカードを使わないといけない販売会社が多い。クレジットカードを発行することができない人や、クレジットカードを出せない若年層は電子書籍を購入することが出来ない問題がある。一部の電子書籍販売サイトでは、年齢制限や身分証明などの制約がないプリペイド型の電子マネーを使用しているところがある。

(3) 自炊問題

本を裁断し、スキャンして、本の内容をデジタルデータに変換する自炊行為が登場するようになった。また、自炊行為を本人に代わって自炊を代行する、スキャン代行業者が登場するようになった。自炊した書籍は、デジタルデータ化した画像だが、著作権保護がされていないため、インターネット上に流出してしまい読まれる危険性があるため、出版業界は自炊行為について懸念する意見があり、自炊代行業者と対立している。自炊代行業者が行っている、自炊代行業は、著作権の関連で法律的議論が発生している。個人が自分で利用するために行う自炊行為は、著作権法では問題はないとされる。しかし、自炊代行業者による、自炊代行業は、業務として書籍を電子化し、依頼者へデータを譲渡する自炊代行行為は複製権を侵害する行為であり、違法である可能性があると主張しているii

20109月には角川書店等7社の出版社と、作家・漫画家・漫画原作者の連名により、書籍を裁断・スキャンして電子化する全国の事業者に対して質問状を発送した。自炊業者の回答は「今後も依頼があればスキャン事業を行う」が2社、「行わない」ほか、「事業終了」「サイトを閉鎖した」と答えた事業者が37社だったiii

iITmedia eBook USER「うめ・小沢高広×一色登希彦×藤井あや:電子書籍における漫画インタフェースを大いに語る(前編) (1/3) – 電子書籍情報が満載! eBook USER

2011624日作成<http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1106/24/news033.html>(20118月参照)

iiITmedia eBookUSER 「出版社からスキャン代行業者への質問状を全文公開、潮目は変わるか 電子書籍情報が満載! eBook USER

201196日作成<http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1109/06/news064.html>(201111月参照)

iii ITmedia eBookUSER 「自炊業者の回答、86%が「スキャン事業は行わない」など 電子書籍情報が満載! eBook USER

2011930日作成<http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1109/30/news071.html>(201111月参照)

スポンサーリンク