電子書籍の歴史と現状・そして課題について その1

電子書籍の歴史と現状・そして課題について

電子書籍の歴史

第1節 電子書籍とは何か

「電子辞書」という語は新しい語であって、広辞苑などの辞書には出ていない。インターネットで調べると、WIKIPEDIAには次のように書かれている。

電子書籍(でんししょせき)とは、古くより存在する紙とインクを利用した印刷物ではなく、電子機器のディスプレイで読むことができる出版物である。電子書籍はソフト

ウェアであるコンテンツだけを指すが、ハードウェアである再生用の端末機器(電子ブックリーダー)も重要な要素であり、・・・・・i

呼称については電子書籍の他、電子ブック、デジタル書籍、デジタルブック、Eブックといった呼称が存在するようだ。コンテンツの流通と再生の方式の違いによって分けられるが、携帯電話や携帯情報端末などで携帯電話ネットワークやインターネットからダウンロードして閲覧する。大きく二つに分けると、

1.PC等でインターネットからダウンロードして閲覧する

2.PC等でインターネットからダウンロード後、さらに再生用小型機器にダウンロードして閲覧する

の二つがある。

このように、電子辞書はソフト面だけでなくハード面の進歩・変化に密接に結びついている。それで、以下、ハード面とソフト面に分けて、歴史を見てみることにする。

第2節 ハード面での電子書籍の歴史

電子書籍は、電子書籍専用端末やスマートフォン、携帯電話、タブレットPC等の携帯端末以外に、パソコン等の据え置き型の端末で読むことができる。多種多様な電子書籍端末があるが、本の特徴の1つである「コンパクトで持ち運びがしやすい」という特徴を持つ携帯端末に絞り、ハード面での電子書籍の歴史について論ずる。

(1)電子辞書

電子書籍の中で、早くから電子化されたのは辞書や辞典である。1979年にシャープが日本で初めて電子辞書を発売した。ソフト面でも、辞書は書籍の中で電子化が速く、広く販売されている。辞書や事典が早くから電子化された理由は、辞書の特性が、内容を調べるために、項目を引くのが速いためだと思われる。

(2)ソニーの電子ブック

 1990年に、ソニーは電子辞書の発展したものとして、データディスクマンを発売した。データディスクマンは電子ブックという規格を採用していた。電子ブックは、CD-ROMよりも小さい8cmCD-ROMにプラスチックの専用ケースを収めた電子書籍の規格だった。プラスチックで内臓してあるので汚したり、傷つけたりする恐れがなく、電子ブックを入れ替えることによって複数の書籍が引ける特徴がある。電子ブックを利用させるための端末は電子ブックプレーヤーとよばれた。電子ブックプレーヤーを販売していた会社は、電子ブックの規格を開発し、推進していたソニー以外に、松下電器や三洋電機等から発売されていた。電子ブックという企画を採用していた電子ブックプレーヤーは、名前の通り電子書籍の一種だが、電子ブックの種類は、用語を調べるための辞典や辞書が中心で、端末の形状が折りたたみが可能で、キーボードがあるので、電子辞書の発展型と言っていいと思われる。

(3)NECのデジタルブック

1993年にNECが開発したデジタルブックプレーヤーの登場によって、辞書や事典等の内容を調べるために項目を引く書籍以外の書籍が電子化されるようになった。デジタルブックプレーヤーは、紙の書籍のように画面のサイズは縦長で、画面のサイズは自動車用ナビゲーションと同等の5.6インチの画面サイズを採用した。モノクロ液晶でカラー表示はできず、書籍データが入っているフロッピーディスクを読み込むことで、本を読むことができた。田中康夫の「なんとなく、クリスタル」や、朝日新聞社の「天声人語」など、小説やエッセイ、ビジネス書等、様々な書籍が電子化されたが、その後、生産中止となった。

(4)パナソニックのシグマブックとソニーのリブリエ

 2004年にはパナソニックが、シグマブックを発売した。シグマブックは電子書籍専用端末では初めて見開きの画面を採用しており、画面には記憶型液晶を採用していて、単3アルカリ缶電池2本で3ヶ月使用が可能であった。同年に、ソニーはリブリエという電子書籍専用端末を発売した。リブリエの画面はE-inkという電子ペーパーを採用した。

電子ペーパーは、表示中に電力を消費しなく、紙と同じように反射光を利用して表示を行うため、直射日光に当たっても見やすいため、目に対する負担が少ない。また、リブリエは朗読機能も付属するなど、現在の電子書籍専用リーダーとほぼ変わらない性能である。しかし、両社の電子書籍専用端末の価格は34万円台と高いのが問題だった。また、コンテンツが少なく、リブリエにいたっては、コンテンツを購入することができず、レンタルしかなく、普及するまでにはいたらなかった。リブリエは2007年には生産を中止した。パナソニックはシグマブックの後継機ワーズギアを2006 年に発売した。ワーズギアは、シグマブックの後継機として発売され、シグマブックではできなかったカラー表示に対応した。しかし、端末使用時間は6時間とシグマブックよりも短く、端末の価格も4万円以上し、普及せず、2008年には端末の製造、サービスを中止し、パナソニックは電子書籍事業から実質的に撤退することとなった。

(5)電子書籍の定着へ

 2006年にソニーは北米市場限定で、電子書籍端末Readerを発売した。端末の性能はリブリエと同等だったが、リブリエは電子書籍がレンタルのみで提供されていたのに対し、Readerは買い切り方式で提供された。また、リブリエはBBeBというソニーが独自に開発した電子書籍規格しか読み込むことができなかったが、Readerは、Adobe社が開発、提唱するPDFファイル、国際電子出版フォーラムが普及、促進しているEPUBファイル等、普及されているファイルの閲覧が可能である。ハード面以外でも、北米での発売時に、電子書籍数を1万点用意したり、Google社の電子書籍サービスGoogle Booksに対応することにより、北米市場では、2009年に電子書籍市場のシェアの2位を握るまでになった。2010年には日本で発売することになった。

 2007年には、北米でアマゾンキンドルが登場した。基本的な端末性能はソニーのリブリエ、Readerと同等の性能だが、キンドルには、Sony Readerにはない無線通信機能が端末に内臓されていた。通信機能を内臓しているため、パソコンを使わず、電子書籍を購入することが可能になった。 また、携帯電話の通信網を使用する端末もあり、携帯電話通信網を使用して電子書籍を購入した場合でも、通信料は、消費者は払わなくて良い特徴を持っている。

 2010年に、Apple社がiPadを発表した。iPadはタブレット形状のパソコンであり、画面は液晶を採用しているため、フルカラーで表現できる。iPadは電子書籍以外にも、インターネットや動画再生、ゲームなどを楽しむことができ、電子書籍はiPadで行えることの1つでしかなく、汎用的な端末であるといってもいいだろう。同年には日本で、シャープが電子書籍専用端末Galapagosを発売した。Amazon KindleSony Reader等の電子書籍専用端末がE-inkを採用した電子ペーパーを採用した一方、Galapagosは電子書籍としては珍しく、液晶画面を使用していた。しかし、売れなかったため、後継機として、汎用機を出し、専用端末は販売中止となった。

以上のような過程を経て、ようやく電子書籍は定着したと言えるようになった。

第2節 ソフト面での電子書籍の歴史

次にソフト面での歴史を見てみたいと思う。

ハード面での電子書籍は1970年代に電子辞書の登場により、書籍の電子化が始まったが、ソフト面での電子書籍もほぼ同時期の1971年に、マイケル・S・ハートは、プロジェクトグーテンベルグを立ち上げたことに始まる。プロジェクトグーテンベルグは著作権切れの書籍を電子書籍にするプロジェクトで、イソップ物語などの童話から、聖書、歴史文献まであらゆる文献を電子書籍にしている。

1990年から、パソコン用のCD-ROMの本が登場した。また、1991 年には、アップル社の子会社のボイジャー社が、マッキントッシュ社のノートパソコン向けにエキスパンドブック と言うフロッピーディスクの小説を発売し、読むための電子ブックが初めて登場した。

1996年にWindows95が登場し、一般家庭にパソコンが普及する。同時に一般人のインターネットの利用が大幅に増えることになった。一部の人は、本は消えていくと考えたようだ。インターネット津野梅太郎の「本はどのようにして消えてゆくのか」では、ホームページを電子書籍と考えていた記述がある。しかし、一般の人には今日までホームページは電子書籍とはみなされていない。

パソコンが一般家庭に普及することによって、ソフト面での電子書籍が一気に広がりを見せた。1997年に、手塚治虫漫画全集をDVD-ROMに収録した電子書籍が市販され、同年には日本国内での著作権が消えた文学作品を収集し公開する、青空文庫が発足した。1999年には電子書籍販売サイト、電子書店パピレスやebookJapanなどが開始するようになった。

インターネットの登場により、出版社を通さないで、自分で電子書籍を販売また、20003月に、ホラー作家のスティーブン・キングは、短編小説『ライディング・ザ・ブレット』が、インターネット上で2ドル50セントで販売した。48時間で50万人以上の人がよみ、話題になった。

日本では、2001年以降から、携帯電話で読む、ケータイ小説が登場する。ケータイ小説の特徴は、素人による小説投稿が盛んになった。また、今まで、文字しか表示できなかった携帯電話が、性能が向上により、携帯電話で読む携帯コミックが登場した。

 2007年には、アマゾンは電子書籍サービス、キンドルを発足させた。ハード面では、キンドルは、電子書籍端末単体の性能は、通信回線に接続できること以外は、ソニーが出した電子書籍端末リブリエやリーダーと変わらない性能であった。しかし、ソフト面から見ると、今まで登場した電子書籍サービスよりも、遥かに先進的なサービスを提供していた。

今までの電子書籍サービスは、電子書籍専用端末でしか、電子書籍を読むことができなかったが、キンドルは、電子書籍専用端末以外に、パソコンやスマートフォン、タブレット型パソコンにソフトを入れることによって、電子書籍専用端末を購入していない人にも、キンドルのサービスを受けられることが可能になった。また、アマゾンはキンドルを普及させるにあたり、電子書籍の値段を、一部のベストセラーの本には卸値よりも安い価格に設定して販売し、電子書籍の割安感を出し、早期にキンドルを普及させた。ベストセラー本の価格を、安く設定して価格競争力を出す以外にも、アマゾンはキンドルに自費出版や教科書貸し出しサービス、作者のサインを手に入れることができるなど、 独自のサービスを提供することによって、キンドルの独自性を保っている。

i 電子書籍‐Wikipedia 2004625日作成・2011119日更新

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%9B%B8%E7%B1%8D201112月参照

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