バケモノみたいに売れているトヨタ・シエンタ

3列目に人を乗せるのに、なぜかヒンジドアを採用し、坂では役立たずな4速ATに環境性能が低いエンジンを採用した、3列シートミニバンとして見ると、褒めるところがダッシュボードの作りしかないくらい褒めるところがないパッソセッテ/ブーンルミナスが爆死して、復活したシエンタ。

今年(2013年)で、登場してからついに10年目に突入するという異例ともいえるくらい長く販売されている。どのくらい売れていたのかというと、2012年度の新車乗用車販売台数ランキングで27位に入っているほど売れている。 

10年近く前の車が販売台数ランキングTOP30に入るのは異例だ。昔から、時代から見ても古い車を販売している例はいくつもあるが、大抵の理由は3つに分かれている。

1つ目は、一部の層向けに売る。たとえば、40年間も売られていた初代ミニや、ベスパのビンテージシリーズは、末期は日本のファッションに敏感な層に売られていた。これはクラシックデザインがファッションに敏感な人に受けていたのだと思う。スーパーカブも、90年代にはファッションに敏感な人に受けて、カスタムする人が登場するようになったという話もあるので、スーパーカブもこちらに若干入るかもしれない。

2つ目は、コスト削減。80年代に登場したローバーメトロは、ローバーの開発費が無かったため、多少変更しながら90年代後半までローバー100として売られていた。また、日本ではあまり見られないが、ヨーロッパでは、新型車を売る一方、安価なモデルにのみに絞った旧型車を併売する会社もある。

3つ目は、今までのユーザーを手放したくないこと。日本では90年代から、衝突安全対策のためワンボックスカーにボンネットがつくようになったが、ボンネットが付くことに違和感を持つユーザー向けに、旧型のワンボックス車を販売していた。(トヨタ・ハイエースレジアス/ハイエースワゴン、三菱デリカスペースギア/デリカスターワゴン、マツダ・ボンゴフレンディ/ボンゴワゴン等)

シエンタは、2と3の合わせ技で、新型車を作らなくてもフリードに対抗でき、コンパクトミニバンが欲しい人向けに復活したのだろう。

この3つの理由で古い車が新車でも売られているが、一般個人ユーザーは、ファッションだけで買わないし、値段が安いだけでも買わない。今までのユーザーを手放したくなくて、旧型車を併売しても、ほとんどは新型車に駆逐される。例えば、旧来の乗用仕様のワンボックスカーが完全に消えたのは、ボンネットつきのほうが多少室内が狭くても、性能が段違いに上がったから、ボンネットつきのワンボックスカーに流れたからだ。

こういうことを知っているので、10年近く前の車が販売台数ランキングTOP30に入るのは本当に異例なことだ。個人的にはバケモノクラスだと思っている。

これは、シエンタの基礎設計が古くなってないのも背景にあると思う。10年前に販売されていた、トッポBJ等の既存部品を流用して、復活した三菱のトッポは、過激化する軽自動車競争によって一気に旧態化してしまい、忘れ去られた存在になっているからだ。

これだけ売れているシエンタは、新型車がいつ登場するのかわからない状況になっている。2012年に、ポルテ・ラウムと統合し、新型車が出ると言っていたが、結局それは2列のみの、ポルテ/スペイドとして登場し、シエンタは続投。今年(2013年)に出るという噂もあるが、それなら、新型車がすぐにスクープされているはず。

そんなこんなで、ミニバンのスーパーカブになりそうなシエンタだが、トヨタ側は、もしかしたら、パッシセッテで大失敗したので、開発に慎重になっているのかもしれない。

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