中国車は日本にやってくるか? 中国車の問題点

中国車には、どういう問題点があるのか?今回は、それについて考えてみたい。

衝突安全テスト関連

ヨーロッパ市場に初進出した中国車「江陵汽車 陸風」や「Brilliance BS6」「Brilliance BS4」は、ヨーロッパでの衝突安全テストで安全性の問題が取りざたされたが、これ以外にも、ロシアの自動車雑誌の「AvtoRevu」が、チェリーの小型乗用車、アミュレットにヨーロッパの衝突安全テスト基準「Euro N CAP」に準じた基準で実施したところ、前部の生存空間が無いほど潰れ、安全性は最悪だと、アメリカのWall Street Journal紙が報じた。

最近では2010年に、中国の吉利汽車の小型セダン「CK1 1.3」南米の衝突テスト「ラテンNCAP」規定の速度、64km/hでCK1 1.3の前面オフセット衝突テストを実施。最高5つ星のところ、星ゼロという評価に終わった。

これらの中国車は乗員なぜ、中国車の安全性が低いのか。

中国車の衝突安全テストで問題になった方法は、いずれもオフセット衝突というテストである。オフセット衝突は、衝突時に変形するアルミハニカムを装着した障壁に、自動車前部の運転者席側一部を衝突させる試験方法である。この方法は、実際の交通事故に近い方法のテストであると言われている。

中国でのオフセット衝突の基準では時速56キロでバリアに衝突させるが、この基準は1998年のEU加盟国と同レベルの衝突安全テストである。現在のヨーロッパ、アメリカ、日本等の先進国のオフセット衝突の基準は時速64キロと高まっているため、中国の衝突安全基準は甘いと言わざるを得ない。

また、2008年6月に「新聞晩報」の報道では、中国の衝突安全試験自体に疑問性を持つ報道がある。

実際の衝突試験よりも評価が高い事例があったため、業界内ではC-NCAPは信用できない意見が多数を占めているという。

中国車の安全性が問題になっている一方で、先進国レベルの衝突安全テストを通過している中国車も存在する。

長城汽車のX240(中国名Hover)はオーストラリアの自動車衝突安全テスト「Australia Ncap(ANCAP)」で5つ星中星4つを獲得している。
ここ2・3年の内に発売されている先進国の自動車は星5つを獲得しているのが大半なので、決してトップレベルの安全性能では無いが、中国車の衝突安全性能も、その後先進国の自動車と同じレベルになるのは、考えられる。

排気ガス規制問題

欧州市場に進出した華晨汽車は、衝突安全テストで出鼻をくじかれ、2010年に欧州市場から撤退した。その理由は2011年に実施されるヨーロッパの自動車排出ガス規制「ユーロ5」の規定に適合をするのを諦めて撤退したと、記事には書かれていた。

中国は自動車の排気ガスにより、かつての日本のように大気汚染が深刻化し、酸性雨や光化学スモッグが一部地域で発生している。場所によっては年間200日以上も光化学スモッグが発生している地域もある。

そこで中国は2011年から排出ガス規制を、欧州のユーロ3レベルからユーロ4レベルに引き上げるとの発表をした。ユーロ3は欧州では2000年から始まった排出ガス規制で、ユーロ4は欧州では2005年に始まっている。

華晨汽車の中国撤退の記事によると現在の欧州の排気ガス規制、ユーロ5を通過するには、国内メーカーから部品を手に入れるのが不可能で、欧米から買い付けた部品を、中国で組み立てないといけないため、コストがかかり撤退することを決めたと、記事には書いてあった。

低コストで排気ガス規制を通過させる部品をできないかぎり、中国車の海外進出は難しいだろう。

低い安全性や排気ガス規制でも中国車がヨーロッパで販売できた理由はなぜか。

ヨーロッパにはプラモデルのように自分で自動車を作る「キットカー」という自動車があり、国にもよるが少数生産、少量販売する自動車には、大量生産、大量販売する自動車よりも緩い規制があり、中国の自動車会社はこれを使用して、中国車を販売していた。

一方、長城汽車は2009年9月に、「炫麗」「酷熊」「哈弗5」「風駿5」の小型車からSUVまでの4車種はEUの自動車認証を受けたとの情報がある。自動車認証を取ると自動車の大量販売が可能で、今後はEU加盟国内で制限を受けずに自由に販売が行えるようになった。

II.模倣問題

中国では模造品が盛んだが、自動車の世界にも模造品が登場するようになった。

アメリカの自動車会社、ゼネラルモーターズは、自社の小型車「Chevolet Spark」が中国の自動車会社、Chery QQに似ているとして裁判を起こした。最終的にChery QQとChevolet Sparkの模倣問題は和解したが、これ以外にも中国の自動車には、日本車から欧州車までさまざまな模倣した車が存在し、裁判で争っている。

中国で似たような形の車が登場したのは、中国の自主産品の推奨も1つあると予測される。

外資系自動車会社は、法律で中国の自動車会社と合弁している。これは、外資系の技術を手に入れる意味合いがある。欠点は、海外輸出の制限があり、利益も外資系自動車会社と分けないといけない。また、外資系自動車会社から提携関係も打ち切る可能性もある等の欠点がある。

そのため、中国政府は外資系自動車会社に頼らず、自動車を自力で開発する自主開発を2004年から奨励している。

自動車を生産方法は主に3つあり、1つ目は提携している会社から譲りうけることだ。
外資系自動車会社と提携関係を結んでいる自動車会社は、外資系自動車会社が使用していた車体骨格や設計を使うことがある。この場合は最新型の車体骨格や設計を使うことはできず、数年前の旧モデルの車体骨格や設計を元にして作られる。

一例としては、トヨタの2004年から2009年まで発売されていた、クラウンマジェスタを元に作られた、第一汽車の紅旗HQ3や、2002年から2006年までマツダのアテンザを元にした同じく第一汽車の奔騰(ベスターン)B70がある。

2つ目は設計委託がある。国内や海外のエンジニアリング会社に自動車の設計委託をする場合がある。

華晨汽車のBS6のスタイリングはイタリアの高級スポーツカー「フェラーリ」のデザインもしている、イタリアのピニンファリーナがデザインし、設計は、ドイツのポルシェエンジニアリングが担当していた。

自動車エンジニアリング会社は中国にも登場しており、中国最大の自動車エンジニアリング会社は、上海同捷科技股份有限公司(TJ Innova)という会社である。TJ Innovaは30社以上の自動車会社がクライアントになっている。乗用車から、トラック、バス、モーターショー用のコンセプトカーまで多種多様な自動車の設計をしているTJ Innovaは、スポーツカー「S11」をTJブランドで発売する予定もあり、自動車の設計だけに自動車メーカーに進出する。

3つ目は自社設計であるが、エンジンやデザイン等を自社で設計する自動車会社は、現時点ではほとんど存在していない。そのためエンジン等の部品や技術を買う、先進国の自動車をコピーする等して自動車を作る事態が発生している。

中国の自動車会社は自社設計ができないのが問題の1つになっているが、ヨーロッパの自動車会社を買収し、研究開発力不足を補おうとする会社も登場してきた。

イギリスの自動車会社、MGローバーが破綻した後、中国の南京汽車と上海汽車がMGローバーを買収しようと競った結果、南京汽車はMGブランドの自動車設計、ブランド等を手に入れ、上海汽車は、中型乗用車ローバー75の生産設備や、MGローバーの知的財産権を手に入れることができた。

MGローバーの知的財産権の中には、イギリスにあるMGローバーのデザインスタジオがあったため、自社で自動車の研究開発ができる施設を上海汽車は手に入れた。

上海汽車はローバーの登録商標を手に入れようとしたが、アメリカの自動車会社フォードが手に入れたため、上海汽車はローバーに近い発音を持つ「荣威(Roewe)」ブランドを作り、ローバー75をベースにした「Roewe750」を中国で発売。南京汽車はMGローバー時代に発売されていたオープンカー「MG TF」の生産をMGローバー時代の時と同じ工場で生産し、イギリスで販売する等をしていたが、その後、上海汽車は南京汽車を買収した。

経営が良くない自動車会社を買収して、技術を短期間で手に入れる所や、独自開発をしつつある中国の自動車会社は、日本にもやってくるのだろうか?

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